バイデン米大統領㊨とハリス副大統領=AP
3日の米株式市場でダウ工業株30種平均は小幅反落し、前日比23ドル(0.1%)安の3万9308ドルで引けた。
独立記念日前日のため取引時間は通常より短く、積極的な取引は控えられた。方向感が乏しいなかで市場のテーマとなったのは、前週の大統領候補討論会からくすぶるバイデン大統領の撤退シナリオだ。
半導体最大手エヌビディアは反発し、S&P500種株価指数は史上最高値を連日で更新した。
朝方に米サプライマネジメント協会(ISM)が発表した6月の非製造業(サービス業)景況感指数が市場予想を大幅に下回り、米長期金利が低下(債券価格は上昇)したことも指数を支えた。
株式市場の関心は大統領選の行方に向く。「予想サイトにおける次期大統領の予想確率で、ハリス副大統領がバイデン大統領を上回り、明確に突き抜けた」。
米調査会社ビスポーク・インベストメント・グループは指摘する。
各種予想サイトのデータを集計する「エレクション・ベッティング・オッズ」では、米東部時間3日正午時点でトランプ前大統領は57.8%で首位となり、次いでハリス氏が20.2%、バイデン氏は9.8%だった。前日まではバイデン氏が常にハリス氏を上回っていた。
与党・民主党内で「バイデンおろし」が表面化してきたからだ。テキサス州選出のロイド・ドゲット下院議員は2日、「バイデン氏が撤退という苦渋の決断をするよう望む」とする声明を出した。
討論会でバイデン氏の目はうつろで精彩を欠き、トランプ氏が繰り返す虚偽の主張にうまく反論できない場面が目立った。
討論会は81歳というバイデン氏の高齢に改めて不安を抱かせるとともに、トランプ氏優勢との印象を有権者や金融市場に与えた。
ただ、ハリス氏や西部カリフォルニア州のニューサム知事が民主党の大統領候補になるなら争点は変わりうる。
前出の集計サイトによるとハリス氏が候補に指名された場合の勝利確率は4割強。バイデン氏が選挙戦を続けたときの勝利確率、4割弱より高い。
新たな民主党候補がトランプ氏に対して巻き返しを図るシナリオに備えなくてよいのか。
こうした気迷いが透けるのが、再生エネルギー関連銘柄の株価動向だ。
トランプ氏勝利の際には、バイデン政権が掲げた気候変動対策を覆すのは確実。再エネ関連銘柄は選挙戦に対する市場の見方を色濃く反映する。
米住宅用太陽光パネルなどを手掛けるサンランやサノーバ・エナジー・インターナショナルは討論会以降、株価の下落が続いてきたが3日にはそろって急反発した。
低位株なので値動きが軽いという前提はあるが、サンランは前日比11%高となった。
取引時間中に「バイデン氏が選挙戦を継続すべきかどうか熟慮していると周辺に語った」とする米紙ニューヨーク・タイムズ電子版の報道が伝わると、朝方から上げていたサンランの株高にいっそう弾みが付いた。
バイデン氏は5日、米ABCテレビの独占インタビューに臨む。バイデンおろしをなだめられるかどうか、目先の関門となる。市場参加者も固唾をのむ。
(ニューヨーク=竹内弘文)