トランプ氏は28日、ウクライナのゼレンスキー大統領をホワイトハウスに招く=ロイター
【ワシントン=坂口幸裕】
米政府高官は27日、米国とウクライナの首脳が28日に署名予定の資源権益の協定案に停戦後の米国による資金援助を保証する内容は含まないと表明した。欧州が主導するウクライナへの平和維持部隊に米軍が加わることも否定した。
トランプ米大統領とウクライナのゼレンスキー大統領は28日、米首都ワシントンのホワイトハウスで会談する。
ウクライナにある石油・ガスを含む資源の共同開発で合意する見込みだ。資源開発から得られる収益の50%を拠出する基金を設立し、ウクライナの復興や安全確保に充てる。
トランプ氏は27日、記者団に資源協定がウクライナへの「後ろ盾になる。我々がそこにいるからだ。ウクライナ国内で活動する」と主張した。一方「後ろ盾と言っても心理的なものなのか、軍事的なものなのかわからない」と訴えた。
米国はウクライナ支援の見返りとしてレアアース(希土類)を含む資源の権益譲渡をウクライナに迫っていた。2022年2月にロシアの侵略が始まって以降、米国は巨額の支援をウクライナに実施してきた。
ウクライナ側は停戦後に再びロシアがウクライナを侵略しないように米国が安全保障支援の継続を確約するよう求めている。
米政府高官は27日、記者団にウクライナと結ぶ協定案に「将来の戦争遂行のための資金に関する特定の保証は含まれていない」と明言した。米軍を念頭に「米当局者を現地に派遣することも約束していない」と話した。
トランプ氏は停戦後のウクライナの安全保障について、地理的にロシアの直接の脅威に直面する欧州が主導すべきだとの立場を繰り返す。
26日には米国の支援を否定しなかったものの「それほど多くの安全保障を請け負うことはない」と述べた。
ウクライナとの協定締結をにらみ、米国の事業参画を想定する。
トランプ氏は資源開発にかかわる米企業がウクライナに入ればロシアから攻撃を受ける抑止力になるとの認識を示す。「我々がそこにいる限り、誰も我々の仲間を邪魔しようとはしないからだ」と持論を展開した。
一方、ゼレンスキー氏は26日、記者団に「協定は米国との広範な合意の一部であり、恒久的で公正な平和を確保するためにウクライナに安全の保証を提供できるだろう」と語った。
トランプ氏が1月20日に大統領に返り咲いて以降、ゼレンスキー氏と対面で会談するのは28日が初めてになる。ゼレンスキー氏を「独裁者」と決めつけるなどして応酬した両首脳が関係改善を探る場となる。
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