ハリス氏(左)とトランプ氏は大統領選に向けて集金も追い込みをかける=ロイター
【ワシントン=芦塚智子】
11月5日の米大統領に向けた選挙終盤戦で、民主党候補ハリス副大統領の選挙資金の集金額が引き続き、共和党のトランプ前大統領を上回っている。
ハリス陣営は政治広告に多額を投入しているが、激戦州の支持率は僅差だ。両陣営とも最後の追い込みに向け、支持者に献金を訴えている。
連邦選挙委員会(FEC)への報告によると、ハリス氏の選対が10月1〜16日に集めた献金額は約9700万ドル(約147億円)。トランプ氏選対の約1600万ドルの6倍に上った。
ハリス氏は同時期に約1億6600万ドルを支出し、その多くが政治広告などのメディア費だった。トランプ氏の支出額は約9970万ドルで、やはりメディア費に多額をあてた。
ハリス氏は手持ち資金でも優位に立つ。ハリス氏の10月16日時点の手持ち資金は約1億1900万ドルで、トランプ氏は約3600万ドルとなっている。
両氏は、政治献金の集金・支出に上限がない「スーパーPAC」と呼ばれる政治団体の支援も受ける。
FECの記録によると、トランプ氏を支援するスーパーPACの「アメリカPAC」は10月前半に4660万ドルを集め、そのうち4360万ドルが起業家のイーロン・マスク氏からだった。
ハリス氏を支援するスーパーPACの「FF PAC」の同時期の集金額は約8900万ドルで、米アサナのダスティン・モスコビッツ最高経営責任者(CEO)が2500万ドルを献金した。関連非営利団体を通じた献金者が不明の献金も目立つ。
米調査会社アドインパクトによると、ハリス選対が7月下旬から10月9日までに支出したテレビ広告費は4億5630万ドルに上り、トランプ選対の約2倍だった。
ただ、11月5日の投開票日までの広告の予約額は10月初め時点でトランプ氏が6030万ドルとハリス氏の5760万ドルを上回っている。
両氏とも激戦州に広告を集中する。アドインパクトの調査ではトランプ氏側はインフレや経済、移民などをテーマにした広告が多く、ハリス氏側は税制、ヘルスケア、中絶に関する広告が多い。
ハリス陣営は25日、トランプ氏が大統領在任中にナチス・ドイツの独裁者ヒトラーについて「良いこともやった」と言及していたとの元側近の暴露を使った政治広告を始めた。
トランプ陣営は、ハリス氏がトランスジェンダー(出生時の性と自認する性が一致しない人)の権利を過剰に擁護していると批判する広告を流している。
保守派や、トランスジェンダーの女子スポーツ参加に批判的な親などを狙った広告とみられる。
2024年に実施されるアメリカ大統領選挙に向け、ハリス副大統領やトランプ氏などの候補者、各政党がどのような動きをしているかについてのニュースを一覧できます。
データや分析に基づいて米国の政治、経済、社会などに走る分断の実相に迫りつつ、大統領選の行方を追いかけます。
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