仕事をしていると忍び足でやって来て、足にスリスリしていた「のりまき」。気づくと足元にいない。あれ?どこへいったと近くを見回すと、いた。
死んだセミのように手足をちぢこめ、ぼぉぉぉぉぉ~っと天井を見る「のりまき」がいた。
「ぼぉぉぉぉぉぉ~」っと音が聞こえそうなほど、ぼおっとしている黒猫が「のりまき」である。
実はのりまきは、オマタの部分だけ、三角に白い毛が生えている。獣医さんの看護婦さんからは「パンツ君」と呼ばれている。
死んだセミのように手足をちぢこめ、ぼぉぉぉぉぉ~っと天井を見る「のりまき」がいた。
「ぼぉぉぉぉぉぉ~」っと音が聞こえそうなほど、ぼおっとしている黒猫が「のりまき」である。
実はのりまきは、オマタの部分だけ、三角に白い毛が生えている。獣医さんの看護婦さんからは「パンツ君」と呼ばれている。
rider家のネコは全員、自分の名前を呼ばれると呼ばれたヤツだけ返事をしてすりよってくる。
実はなすびが子供を5匹産んで、問題が生じた。「なすびぃ~」と呼ぶと、子供5匹まで「うにゃ~」と返事するようになったのだ。これはいかん、ということで、rider、ない知恵を搾り出す。
■ない知恵一番搾り
名前は3文字程度。長い名前は覚えられない。
■ない知恵二番搾り
高い声で呼ぶ。ネコは低い音を聞き取るのが苦手。
■ない知恵三番搾り
近くに来たときに名前を呼び、なでる・遊ぶ。
その名前で呼ばれるといいことがあると訓練。
なすび・ふじこ・いなりはこの方法で1ヶ月以内に自分の名前を覚えた。たいていは三番搾りでいけるはず。
問題はのりまきだった。結局彼は1年たっても自分に名前があることを覚えなかった。「のりまき」という4文字が聞き取りにくかったのか。しかしせっかくの「助六ブラザーズ」のセットを崩したくない。で、
■ない知恵四番搾り
「のんまぁ~き」と抑揚をつけ、テンポ良く呼ぶようにした。
言葉が覚えられなければ「音」として聞き取らせる。
半年後、名前を呼ばれると「ふぇ~」と変な声を出してすりよる「のりまき」が出来上がった。結局のりまきは自分に名前があることを知ったのは2歳になってからである。
実はなすびが子供を5匹産んで、問題が生じた。「なすびぃ~」と呼ぶと、子供5匹まで「うにゃ~」と返事するようになったのだ。これはいかん、ということで、rider、ない知恵を搾り出す。
■ない知恵一番搾り
名前は3文字程度。長い名前は覚えられない。
■ない知恵二番搾り
高い声で呼ぶ。ネコは低い音を聞き取るのが苦手。
■ない知恵三番搾り
近くに来たときに名前を呼び、なでる・遊ぶ。
その名前で呼ばれるといいことがあると訓練。
なすび・ふじこ・いなりはこの方法で1ヶ月以内に自分の名前を覚えた。たいていは三番搾りでいけるはず。
問題はのりまきだった。結局彼は1年たっても自分に名前があることを覚えなかった。「のりまき」という4文字が聞き取りにくかったのか。しかしせっかくの「助六ブラザーズ」のセットを崩したくない。で、
■ない知恵四番搾り
「のんまぁ~き」と抑揚をつけ、テンポ良く呼ぶようにした。
言葉が覚えられなければ「音」として聞き取らせる。
半年後、名前を呼ばれると「ふぇ~」と変な声を出してすりよる「のりまき」が出来上がった。結局のりまきは自分に名前があることを知ったのは2歳になってからである。
引越しの後の掃除をスーパーおかんと叔母が手伝ってくれた。
掃除も終え高速を走っていると、浜名湖が見えた。夕日で赤く染まる浜名湖は美しかった。叔母と私の会話がはずむ。
「おばさん、浜名湖だよ」
「……。ほんとだ、琵琶湖だねぇ」
「?! 浜名湖だよ」
「うんうん、琵琶湖は大きいねぇ」
「琵琶湖は滋賀県だがね」おかんが普通に答える。
「ちょっと待て、ここは浜名湖だぁぁぁぁぁぁ~! おのれらは何の話をしとんのじゃ! 聞いとんのかい、こら」
「おばさん、琵琶湖だと思っとったがね、うっひゃっ、ひゃっ」
やっぱり、スーパーおかんの妹だった。
掃除も終え高速を走っていると、浜名湖が見えた。夕日で赤く染まる浜名湖は美しかった。叔母と私の会話がはずむ。
「おばさん、浜名湖だよ」
「……。ほんとだ、琵琶湖だねぇ」
「?! 浜名湖だよ」
「うんうん、琵琶湖は大きいねぇ」
「琵琶湖は滋賀県だがね」おかんが普通に答える。
「ちょっと待て、ここは浜名湖だぁぁぁぁぁぁ~! おのれらは何の話をしとんのじゃ! 聞いとんのかい、こら」
「おばさん、琵琶湖だと思っとったがね、うっひゃっ、ひゃっ」
やっぱり、スーパーおかんの妹だった。
ネコ4匹を連れての引越しを4月にしたばかりである。
ネコを車に積み、荷物の運び出しを確認して、早々に新居へと移動する。ラジオの音もかき消されるほどの鳴き声を聞きながら高速を走った。
高速に乗って1時間後、閉じ込めらるのを異常に嫌う「なすび」は、キャリーバックを食いちぎって出てきてしまった。うろうろと車内を歩き回られ、ブレーキの下でくつろがれたらたまらないと思ったが、意外にも彼女は大人しく、私の肩に乗り景色を楽しんでいた。料金所のオヤジさんが目を見開いたまま、「なすび」と見つめあっていたのを今も鮮明に覚えている。
ネコを車に積み、荷物の運び出しを確認して、早々に新居へと移動する。ラジオの音もかき消されるほどの鳴き声を聞きながら高速を走った。
高速に乗って1時間後、閉じ込めらるのを異常に嫌う「なすび」は、キャリーバックを食いちぎって出てきてしまった。うろうろと車内を歩き回られ、ブレーキの下でくつろがれたらたまらないと思ったが、意外にも彼女は大人しく、私の肩に乗り景色を楽しんでいた。料金所のオヤジさんが目を見開いたまま、「なすび」と見つめあっていたのを今も鮮明に覚えている。
4年前の秋、後輩の家の近くで捨て猫生活をしていたなすびは、あまりの人懐っこい性格から、後輩が拾ってきてしまった。
「ネコ、欲しがってましたよね」と半強制的に彼女はネコを連れてきた。
痩せたまだ仔ネコだ。茶と黒のまだらで、模様としては可愛くない。
飼いたいのは山々だったが、当時はペット禁止のボロアパート。さあ、どうしよう。
結局、その風貌が焦げた焼きナスに似ていることから「なすび」と名づけ、飼う事になってしまった。
まず、お腹に虫がいたのでその駆除をする。なかなかうまくいかず1ヶ月くらいかかってしまった。
そして困ったのが異常な食欲と朝の早いことである。
早朝4時、なすびは私のまぶたを思いっきり舐めるのだ。
朝寝坊の私も一発で起きるほど痛い。それでも布団にしがみついていると、顔の上に乗ったりするので、「なすび」のお尻の穴と私の唇が接触したりして(ToT) 真冬の早朝、しゃばしゃばと顔を洗っていたりした。
あくびをすれば口の中に顔を入れてきたりもした。これはなかなか苦しい。息を吐けないし吸えない。
とにかく大変な生き物だった。
ネコをはじめて飼う人の元へ行かなくて良かった。
いくらなんでも毎日4時起きはつらいので、6時に食事をするということで、お互いの話し合いは済み、現在は6時に起こされる毎日である。
あれから4年半が経つ。なすびも5歳になった。
大人になり、まぶたを思いっきり舐めることなくなり、まるで自分のお尻を舐めるように加減するようになった。
(私の顔は尻か!)
両親と離れてすむようになって7年ほど経つ。
以前は「こんな狭い部屋にはおりたくない」と、そこに住む私の前で堂々とのたまうおかんは、めったに来ることはなかった。
それでもたまに来ては、ネコが嫌がるほどでかい声で「のりまきか! よしよし!」と追いかけるもんだから、のりまきは風呂場に入ったきり出てこなかったりした。
その記憶があるのか、今だにのりまきは、おかんが来ると布団の中に避難する。
しかし、スーパーおかんはお構いなしで布団をまくりあげ、「あんた、なんでこんなとこにおるの!でてこやぁ」と脅す。
いなりが怯えてトイレの棚に避難したときも、「こんなとこにおるのか!どうやってのったの?困った子だねぇ。はよ降りといで!」と大声でのたまう。頼むからトイレで大声出さんでくれ。上下の階に響くのじゃ~!
しかし、ふじこだけはそんなおかんでもいいらしい。おかんを見るとぴーぴーないて、なでなでして~とすり寄っていく。しかし、おかんは「あんたんとこのネコはうるさいね~」と知らん顔だ。
おかんよりうるさい動物は存在し得ないんじゃと、世界の中心で叫びたい気持ちに駆られた。
こんなおかんから出てきてしまった私は、やはり60を超えるとこんなふうになるんだろうか。
婚期はどんどん遠のいていく。
以前は「こんな狭い部屋にはおりたくない」と、そこに住む私の前で堂々とのたまうおかんは、めったに来ることはなかった。
それでもたまに来ては、ネコが嫌がるほどでかい声で「のりまきか! よしよし!」と追いかけるもんだから、のりまきは風呂場に入ったきり出てこなかったりした。
その記憶があるのか、今だにのりまきは、おかんが来ると布団の中に避難する。
しかし、スーパーおかんはお構いなしで布団をまくりあげ、「あんた、なんでこんなとこにおるの!でてこやぁ」と脅す。
いなりが怯えてトイレの棚に避難したときも、「こんなとこにおるのか!どうやってのったの?困った子だねぇ。はよ降りといで!」と大声でのたまう。頼むからトイレで大声出さんでくれ。上下の階に響くのじゃ~!
しかし、ふじこだけはそんなおかんでもいいらしい。おかんを見るとぴーぴーないて、なでなでして~とすり寄っていく。しかし、おかんは「あんたんとこのネコはうるさいね~」と知らん顔だ。
おかんよりうるさい動物は存在し得ないんじゃと、世界の中心で叫びたい気持ちに駆られた。
こんなおかんから出てきてしまった私は、やはり60を超えるとこんなふうになるんだろうか。
婚期はどんどん遠のいていく。
このタイトル、私と同居中のネコの名前である。
見たままを名前にしたのだが、病院に行ったとき、普通の名前にすればよかったと後悔した。
看護婦さんも私の苗字で呼んでくれればいいのに、わざわざネコの名前で呼ぶ。
「なすびちゃ~ん。次お入りくださぁい。」
「の、のりまきちゃんは今日はどうしました?」
先生が言い難そうだったりする。
「すみません、黒いのでこんな名前にしました」と謝る。
ここ1年ほどは病気をしていない。
健康が一番である。
見たままを名前にしたのだが、病院に行ったとき、普通の名前にすればよかったと後悔した。
看護婦さんも私の苗字で呼んでくれればいいのに、わざわざネコの名前で呼ぶ。
「なすびちゃ~ん。次お入りくださぁい。」
「の、のりまきちゃんは今日はどうしました?」
先生が言い難そうだったりする。
「すみません、黒いのでこんな名前にしました」と謝る。
ここ1年ほどは病気をしていない。
健康が一番である。