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2日目からの続きです。
● 静かな湖畔の朝
前日のように物騒なアラートで起こされることなく、ぐっすりと眠れた夜。
あのアラートが鳴らされたのは北関東以北の地域限定だったそうですね。横浜の親も友人も聞かなかったとのこと。
2度も飛び起きることができたなんて、なんてラッキー!(やけくそ)
早朝に一度起きた時、毎朝3時起きのJBさんから「みんなちゃんと帰ってる?」とメッセージが入っていたので、ジェニーのベッドを見てみました。
布団の中から手が出ていたので、ひと安心。「戻ってきてる」とレスを送ります。
夜はもう冷える時期。少し身を起こしただけで寒くなり、布団の中にもぐって、再びぬくぬくと寝に入りました。
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● 二日酔いメンバー
外が明るくなり、さわやかな朝になりました。
ところが、カオリンと私が起きた後も、ジェニーは布団の中から出てきません。
朝ご飯を作って食べる時になってもまだ寝ているので、「起きて~」と声をかけます。
「起きれない~」と布団の中から地を這うような声。
気持ちが悪いようなので、そのまま寝ててもらい、JBさんに出発を1時間延ばしてもらいました。
コテージ滞在はこの日まで。片づけて、後にします。
JBさんがやってきて、車に乗せてもらいながら、夕べ別れてからの話をしました。
「三沢で、このコテージが分からないタクの運ちゃんなんているかなあ?」とJBさん。
私たち「でも首をひねっていたから、行先を温泉に変えてもらって、結局山道を歩いて帰って」
JBさん「"コテージ"っていう言葉がわからなかったのかも。"小屋"って言えば通じたんじゃない?」
私たち「小屋ー!?」
小川原湖畔に立つ2体のこけし。
あまりの巨大さに、最初に見た時にはビックリしました。湖ゆかりの伝説の姉妹だそうです。
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● 二日酔いメンバーその2
ヂンさんのいるやすらぎ荘へ向かいました。
外から「ヂンさーん!」と呼びますが、反応ありません。
JBさんが中へ入っていき、少ししてから2人が出てきました。
ヂンさんは寝癖が付いた、アトムみたいな頭で登場です。
「僕が行ったとき、ヂンさんまだ寝てたよ」と苦笑するJBさん。
「ウ~ン」と、返事にならないうめき声を出すヂンさん。
ジェニー同様、彼も相当こたえているようです。
「2人とも何時に帰ってきたの?」と聞くと「えー、2~3時じゃない?」と言いますが、
「私たち、2時半まで起きてたから、違うよ」と言うと「あれ~?」とよくわかっていない様子。
どうやら4時過ぎくらいのようです。そりゃあ起きれないわ。
夕べはあのあと、2人で何軒ものバーを渡り歩き、何杯飲んだのか、覚えていないそう。
お財布の減り具合から、かなり行ったらしい、とのこと。
「アメリカン・バーを数軒ハシゴしてから、昭和ネオン街に引き寄せられて、ディープなスナック巡りをしてきたよ」
そういって、マッチを見せてもらいました。
● そしある魔洞無奈
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魔洞無奈!これ、読めますか?「マドンナ」ですってー!
すごい漢字~(゚〇゚;) ディープです。
これは魔洞に吸い込まれて戻ってこれないわ。南無三!
ヂンさんは、マドンナのママさんとカラオケをしたり、頼まれて絵を描いてあげたそう。
スナックをエンジョイしてますね。おとな〜。
しかし帰りのタクシーで宿に着いたまでは良かったものの、宿の受付が終了していたために彼は部屋の鍵がもらえず、畳敷きの休憩室で横になって寝たそうです。
なんというワイルドナイト!
そんなディープな夕べを私たちに伝えるのがやっとの、フラフラな2人。
「日光が目に刺さる・・・」「車に酔いそう・・・」「動けない・・・」
今日は調子が戻るまで、コワーキングスペースで休み休み仕事をするそうです。
2人とも、早く元気になってねー。
● 晴れなので砂浜へ
というわけで、元気なカオリンと私でレンタカーを借りてどこかにドライブしようかと話していたところに、JBさんが
「明日、雨が降りそうなので、今日鳴き砂へ行こう」と言いました。
湿気ると、砂浜の音が鳴らなくなるので、予定を変えようとのこと。
突然の変更になりましたが、問題ありません。
じゃあ、砂浜にゴー!
3人で、一路北を目指します。
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乗せてもらっているJBさんの4WDの真ん中に、長い釣り竿がありました。
カオリンが釣りに興味があると話したため、一応持ってきたとのこと。
今ヒラメ釣りにハマっているというJBさん。そんな高級魚が釣れるなんて、すごい!
● 翼よあれがウェナッチの灯だ
海のように広い小川原湖。本当の海が見たくなってきたと話すと、JBさんはグイッとハンドルを回し、車は北ではなくまず東に向かいました。
海だー!
海岸まで行ってから、国道338号線を海沿いに北上します。
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そして、ミス・ビードル号が飛び立った淋代海岸に連れて行ってもらいました。
白砂青松100選の美しい海岸に、太平洋無着陸横断記念碑が建っています。
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1931年(昭和6年)にここから飛び立ったミス・ビードル号は、41時間10分かけて初めて太平洋を無着陸横断し、7,847km離れたワシントン州ウェナッチに着陸しました。
その縁で、ウェナッチと三沢は姉妹都市だそう。
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飛行士は、アメリカ人のパングボーンとハーンドンの2名。
ロマンが広がりますね~。
ちなみに、リンドバーグが大西洋単独無着陸飛行に初めて成功したのは、1927年のこと。
スピリット・オブ・セントルイス号のニューヨーク・パリ間の飛行距離は5,810kmだったそうですから、それより長距離を飛んだことになります。
あまり知られていませんが、日本ではもっと有名になってもいいですね!
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● 群青の海
海の色が濃く見えるのは、北の海だからかと思いましたが、この辺りの砂に鉄が入っているため、海が黒く見えるそうです。
強風にあおられながら、2人のサーファーたちが海に入っていくところでした。
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浜辺には、いろんな貝がたくさん打ち上げられていました。
ムール貝やつぶ貝もあって、食には困らなそう。
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ひとしきり海岸の風にあおられてから、再び車に乗りました。
南北に通る道路の右側は松林、その向こうに海岸。左側は見えませんが湖。
大きな湖なので、まだまだ小川原湖の湖畔にいます。
● 仏沼のあたり
小川原湖には、太平洋の海水が、高瀬川を通じて入り込んでいる汽水湖。
その北側、国道338号線と県道170号線の間辺りに、仏沼の表示があります。
沼といっても、ドーンと水をたたえた場所があるわけではなく、その辺りの葦原の湿地帯を仏沼というそう。
ラムサール条約の登録地となっており、レッドリスト(絶滅危惧)に指定された野鳥、オオセッカの生息地。
北海道野付半島の、枯れたトドワラ、ナラワラを思い出しました。
ちなみにラムサールとは、イランの都市だそうです。
● 卵直売所のプリン
途中、卵直売所に寄りました。
すぐ裏に養鶏所があるそう。
「プリン、あるかな〜♪」とそわそわする私。
ありました!こういうところのプリン、大好きなんです!
もちろん濃くて極上の味!!
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近所の農家で作られた野菜がとても安く売られていました。
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にんにくたくさん。今話題の黒にんにくもありました。
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● 原発マネー
下北へと続く道、ルート338はひたすらまっすぐ。曲がりくねっておらず、どこまでも直線で続く様子は北海道のようです。
途中、六ケ所村を通りました。
核燃料の再処理工場がある場所です。
道路沿いに見えるかな?とキョロキョロ。
そう思ってみると、どの建物も再処理工場のように思えてきますが、この道路からは見えないようでした。
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道路がまっすぐでよく整備されているのは、巨額の原発マネーが動いているから。
六ケ所原燃PRセンターもあり、JBさんは渋い顔。
日本中の原発から核の使用済み燃料が集められるわけですから、当然ですね。
複雑な気持ちで、新しいトンネルをくぐります。
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亡き叔父が六ヶ所高校の教頭をしていた時期があり、原発推進派と反対派に分かれる村民の間に立って、とても大変だったと聞いています。
初めて村に入り、周りを見回しながら、叔父の苦労を思いました。
さらに北上すると、東通村に入りました。
(福島の中通りや浜通りみたいな地名かな?)と思いましたが、あちらは地域名でこちらは村名。
下北半島にある結構広い村で、「原子力発電所予定地」と書かれた敷地がありました。
予定では今年からこの原発が稼働しているはずでしたが、東日本大震災により計画が停まっているそうです。
実際にここにできたら、六ヶ所村と東通村に原子力関連施設が立ち並ぶことになります。
やりきれない気持ちになりますが、これは産業が発展しづらい寒冷地の苦渋の選択。
寒立馬のいる尻屋崎からほど近い、風光明媚な地域なだけに、いっそうやるせなさが募ります。
そしてここに、目的地の砂浜があるのです。
● 日本一の砂丘
広い防衛庁の敷地の横に到着しました。
ほとんど知られていませんが、日本一広大な砂丘は、鳥取ではなく、ここ青森にあります。
ここが知られざる日本最大の砂丘、猿ヶ森砂丘の一部です。
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砂丘のほとんどは防衛装備庁の下北試験場(弾道試験場)の敷地敷地内にあり、残念ながらフェンスの中に入ることはできません。
かつては入れたそうですが、ここは防衛省が新しいミサイルや爆弾などの兵器をテストする射爆場。
落とした空のミサイルを持ち帰って高値で売りさばくフトドキ者が横行したため、立ち入り禁止になったそう。
(あ~あ)
そのため、実際には鳥取砂丘の30倍の広さがあるというのに、鳥取のように広々とした景色は楽しめないのです。
透明できれいな水。
防衛庁や原発ができるよりずっと前からあった砂丘は、人間の都合とは関係なく、静かな美しさを保っています。
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● 鳴き砂で遊ぶ
裸足で砂丘に立ちました。
白いサラサラした砂が広がる、夢のようにきれいな場所。
砂漠のようだけれど、隣にはごうごうと波打つ海。
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観光地ではないため、見渡す限り誰もいません。
この世に私たちだけしかいないような、不思議な気分です。
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「足に力を込めて走ると、チュン、チュンと言うよ」とJBさん。
本当に「キュッ、キュッ」と音がします。
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みんなすっかり子供に戻り、夢中になって砂浜を駆け回りました。
猿ヶ森砂丘の鳴き砂(2017.9.16)
しばらくはしゃいで遊んでいたら、砂だらけになりました。
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その2に続きます。
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