風に吹かれて旅ごころ

はんなり旅を楽しむはずが、気づけばいつも珍道中。

新緑の津軽ひとり旅 2-2(黒石、碇ヶ関)

2019-07-26 | 東北

その1からの続きです。


● 駅の待合室

五所川原駅前に戻りました。
JRの駅は大きいですが、隣接している津軽鉄道の駅は、小ぢんまりとしています。


その向かいにあるのは、細長~いバス乗り場。
以前、津軽半島の旧・市浦村の海辺に、一週間ほど避暑滞在したことがあります。
青森空港から五所川原までバスで来た友人とここで合流して、現地に向かいました。
その時も、イトコのマミちゃんに車で連れて行ってもらいました…マミちゃん、お世話になってます!


カラカラと引き戸を開けて、バスセンターの中に入ります。
昭和のままの、レトロ感な待合室でした。


JR駅の待合室をのぞいてみると、座布団つきの椅子がストーブを囲んでいる、雪国仕様。
いる人みんなが知り合いになれそうな、アットホーム感。
5月といっても、こちらは少し前まで冬だったんですね。


駅に隣接した津軽鉄道本社の建物も、昭和のまま。
メロス号に同乗してくれたアテンダントさんと、ばったり鉢合わせしました。
「先ほどは、どうもありがとうございました」とお礼を言いました。

● めやぐだじゃ~

駅に、津軽弁のポスターが貼られていました。


発音記号まで書かれているのは、初めて見ます。
これ、外国語の辞書に載っているものじゃないですか。よその言葉扱い!
これだと、勇気を出して発音できますね。さあ、みんなで言ってみよう。
「わい~、めやぐだじゃ~!」

● 車窓の岩木山

雨がやんで、晴れ間が見えてきました。
夕方までずっと降り続けるという予報が、ずれたのかな。まあ嬉しいことです。
14:32発の五能線に乗り、終点の弘前へ。


途中の車窓から、ずっと岩木山が見えました。
陽の光を受けて輝いています。

 

やはり岩木山はきれい。
弘前の人たちの心の支えになっているというのが、よくわかります。
旅先で眺める私も、力づけられます。
美しい山は、人を惹きつけますね。


● 弘前乗り換え

弘前に15:24着。50分くらい乗っていました。
弘前ー五所川原間は、思ったよりも距離があるんですね。
次の電車まで、乗り換え時間が6分しかありません。
急いでJRの改札を出て、弘南鉄道の乗り場へと移動し、15:30発の黒石行きに乗り込みます。

弘南鉄道の乗り場は、初めての人にはちょっとわかりづらい場所にあります。
3年前に乗った時には迷いましたが、今回はまっすぐたどり着けました。


鉄道スタッフはみんな、東北楽天イーグルスのロゴの入った服を着ています。
5月29日に、沿線の「はるか夢球場」で東北楽天ゴールデンイーグルス VS 埼玉西武ライオンズの試合が開催されるそう。
それまで、職員が東北楽天ゴールデンイーグルスのユニフォームを着用しているとのこと。
ちょうどその期間だったんですね。

● 白雪つばさ

車両前面の丸いパネルに、なにやらイラストが描かれています。
「文豪ストレイドッグ」とのコラボ列車かと思いきや、「路娘MOTION(ろこモーション)」でした。
路娘とは駅にいそうな女の子…じゃなくて、鉄道車両を擬人化した女の子だとか…エ?


弘南鉄道株式会社の「キ100形車両」は、路娘「白雪 つばさ」だそうです。
つまりこれから乗る列車が、つばさちゃんなんですね。
うーん、多様な世界。

● Bunkamuraつり革

3年前、この電車に乗って田舎館村の田んぼアートを見にいきました。
その時に、元東急電鉄の車輛だと気がつきましたが、今回もつり革に「Bunkamura」の宣伝が入っていました。
乗客のみんなは(Bunkamuraって、なに?)とか思わないのかしら?


渋谷ではない光景

田んぼアートの会場はどうなっているのかと、駅を通過する時に目を凝らしました。
まだ茶色の土壌のまま。
5日後の26日に、田植えが始まるそうです。今年も楽しみですね。


車窓から、岩木山が見えます。先程とは少し角度が違います。
場所によって形が変わって見えるので、青森の人でも、心に思い描く岩木山の姿は、それぞれ違うよう。
どこから見ても、形のいい山ですけれどね。

● 黒石駅

30分ほど乗り、15:59に終点の黒石駅に到着。
これから黒石の街を散策します。
古い建物が保存されているという、こみせ通りに行きたいのですが、駅前に地図表示がなく、行き方がわかりません。

通りすがりのおばさまに聞いて「3つ目の信号を右に曲がってね」と教えてもらいました。
信号待ちをしていたら、「間違えた~!」と大声が聞こえて、先ほどのおばさまが小走りで現れました。
「信号、3つ目じゃなくて4つ目ね!」
行きずりの旅の者のために、わざわざ戻って訂正してくれたんです。どうもありがとう!


古いですが、しっかりした作りの建物


駅前から信号を数えていきますが、統一性のないわかりにくい道が続きます。
さらにこみせ通りの表示は相変わらずみあたらず、行き方の手がかりがつかめません。
地元のおばさんでも3つ目か4つ目かと、混乱する理由がわかります。

4つ目の信号は、片道車線のような細道。
これで合ってるのかな?と不安になりながら右折。
じきに道は太くなり、古めかしい街並みが見えてきたので、当たっていたようだとホッとします。
黒石は、こみせ通りへのアクセス誘導ツールをもうちょっと増やしたほうがいいですね。

● こみせ通り


統一感のあるシックな木造の建物が並ぶ、往時の雰囲気満点の静かな通り。
大きな杉玉が下がっている、老舗の造り酒屋がありました。中村亀吉酒造店です。


中村亀吉酒造店


お店の前には「いのち」と書かれた板がありました。
NHK大河ドラマ「いのち」のロケに使われた場所だそうです。
あれって黒石が舞台だったの?
お店は通常営業しており、働いている人が見えました。


高橋家


重要文化財の高橋家。
黒石藩御用達の商家で、藩政時代の面影が残る江戸時代の建造物です。
今は喫茶店になっています。

映画「津軽百年食堂」のロケに選ばれたお店、すごう食堂もありました。
原作は、3代にわたって津軽そばを作り続ける武骨な津軽人を描いた、感動的なストーリー。
いつか映画も観たいなあ。


車通りに面して、屋根のある木造りのアーケードが続きます。
これを「こみせ」というんだとか。味があっていいですね。


● ランチ難民

今日は、まだランチを食べていません。
金木の隣の芦野公園の元駅舎で食べるつもりでしたが、雨降りだったので行けずじまいでした。
五所川原ではじっくり立佞武多を鑑賞して、口にしたのはりんごソフトのみ。

そこで、ここで食事にしようと、黒石つゆ焼きそばの元祖「すずのや」に行きました。
でも、定休日で閉まっていました。残念!
青森駅の魚菜センターも定休日で、朝食にのっけ丼を食べるあてが外れました。
食べ物についていない日だわ。(単に調査不足)


黒石市消防団第三分団第三消防部屯所

一通り散策して、駅に戻ります。
大正13(1924)年に建てられた、洋風レトロな木造の黒石市消防団第三分団第三消防部屯所がありました。
歴史的建造物かと思いきや、今でも現役で使われているそうです。

● 華やかな盛りカゴ

さてクエスチョン。これはなんでしょう?

 
正解は、「お葬式のお供え用盛り篭」です。
青森のお葬式では、缶詰をこんな風にデコレーションして贈ります。


ド派手だと言われる青森のお葬式。
(そうかな~?)と、あまり実感はありませんが、巨大なお葬式のお供え用盛り篭がずらーっと会場に並ぶ光景は、確かに圧巻。
盛り篭の華やかさを見ていると、お葬式なのかお祭りなのか、わからなくなりそうです。

子供の頃から見慣れているため、これが日本のお葬式のスタイルだと思っていましたが、関東のお葬式では見ない光景です。
独特の風習なんですね。


黒石のマンホールは、ウエストがくびれたナイスバディな温湯こけし
リンゴと稲穂が描かれた、豊かなデザインです。

● 不思議な屋根飾り

駅に戻り、16:50の弘前行き上り電車に乗ります。
途中で、ギザギザの屋根の家を見かけました。
再びクエスチョン。このギザギザの飾りは、いったい何でしょう?


正解は、「雪が滑り落ちるのを防ぐもの」です。
雪が深い青森では、トタン屋根の家が多く、雪が積もるとその重みで軒下にドサッと大雪が落ちます。
下を人が通っていたら、埋もれて命に係わるため、一気に落ちないように、こうしてストッパーをつけているのです。
しかしここまでギザギザなのを見たのは初めて。鳥が屋根の上を歩きにくそうです。


コイン精米機は地方の風物詩ですが、こんな大きなタンクがついているのを見たのは、初めてです。
これまで気づいていなかっただけかしら?
タンクは籾(モミ)の精米機だそう。ほかの場所で、利用している人も見ました。

 

窓の外のあまりの神々しさに、声が出ません。
神様が降臨してくるところでしょうか。
17:19に弘前着。雨はすっかり上がり、いい天気になりました。

● 碇ヶ関温泉郷へ

ここで再びJRの改札に入り、今度は17:29発の秋田行きの奥羽本線に乗りました。
青森と秋田を結ぶ長い距離を走る電車に、20分間乗ります。
昨日訪れた大鰐温泉駅を過ぎて、碇ヶ関に着いたのは17:49。
駅のそばにある「道の駅いかりがせき」のはなれ、「関の庄温泉」に向かいます。

子供の頃、親戚たちと「あいのり温泉」という宿に行きました。
ウォータースライダーなどがあり、とても楽しく遊んだ思い出。
「あ~いの~りお~んせん♬」というCMもありました。
今はもうないようですが、それが碇ヶ関温泉郷にあったと知って、懐かしくなり、訪れてみたのです。

ここに陸奥国津軽藩の関所があったため、碇ヶ関という地名になっています。
温泉も、隣接する道の駅も、関所風の建物。


お湯は熱くて、少しずつ身体を慣らしながらつかりました。
やっぱり温泉、いいですね。身体に効く~!といった感じ。
空いていたし、とても気持ちよかったです。

● 無人の駅

ほかほかになって、駅に戻ります。
昨日の夕方、大鰐温泉駅から弘前に向かう乗客が多かったので、ここからも仕事帰りの人が結構乗るだろうと思いましたが、駅には誰もいません。
駅員の姿すらありません。さっき降りた時にはいたので、奥にいるのでしょうけれど。

無人の改札を抜け、連絡通路を渡って青森行きホームへ。
ここにも誰もいません。


だれもいない~

まさか私が温泉につかっている間に、パラレルワールドに入り込んじゃったのかしら?
不安になって、なんども時計と時刻表を確認し直します。
数分後に、電車がやってくるのが見えて、ホッとしました。


私一人が迎えた電車

停車しても、ドアが開かないため、(そうだ)と「開く」ボタンを押して、自力でドアを開けました。
車内もかなり空いています。

● 美しい夕焼け

黄金に輝く夕日が山間に沈み、綺麗な夕焼けがあたりを包みました。


あまりの美しさに、写真を撮りまくります。
しかし、乗客たちは、誰ひとりとして窓の外に目を向けません。
もったいなーい!

 

奥羽本線は、時々汽笛を鳴らします。ボーツと鳴り響く音は、郷愁をかきたてます。

先程、碇ヶ関に向かう電車の中で、職場の同僚たちと連絡を取り合いました。
うまく食事にありつけていないと伝えたら、色々とお店を調べて、教えてくれました。
ありがたいわ~。その間、私はのんびり温泉につかっていたなんて、言えませんでした!

弘前駅に着いてからは、ようやく大勢の人が乗ってきました。
温泉後の身体は眠たがっており、気がついたらウトウト。
もう乗り換えの必要はなく、電車が終点の青森まで連れて行ってくれるので、気が楽です。
1時間以上乗るので、眠って行きましょう~zzz。

● 食は二の次

19:57に青森着。昨日定休日で入れなかった「郷土料理 おさない」への再チャレンジのため急ぎます。
ただ、お店は8時閉店で、入口はもう閉まっていました。
まだ中にお客さんがいるのが見えて、切ないわ~。

やっぱり今回は食についていません。
食より移動を優先すると、こうなります。
でも、食欲よりも強いのが睡魔。
とっても眠かったので、お店には入らずにお弁当を買ってホテルに戻り、一休みしてからいただきました。

予定通りのプランで動けた一日。
どの路線も、時刻表通りに運行しました。
それってすごいことですよね。青森では電車の遅延がないんでしょうか?

本数が少なく、数時間に1本の便などもあるためか、みんな「待つ」ことに寛容だと思います。
人も電車も分刻みで動く都心とは違う時が流れているため、混乱が起きないのでしょう。

3日目に続きます。



最新の画像もっと見る

post a comment