今回は、諏訪七不思議のうち二つの不思議に名を連ねる“葛井(くずい)神社”の紹介です。
葛井神社は、諏訪インターより東へ2キロほど。上川と国道20号線の間。福祉入浴施設アクアランド茅野の隣に鎮座しています。
ここの神社には、興味深い特殊神事やいくつもの伝承、伝説などが現在まで語り継がれています。
鳥居は、北東の位置にあります。この延長上に諏訪大社上社本宮があり摂社上十三所 として名を連ねています。
拝殿
幣殿と本殿の下を潜れる珍しい造りとなっています。
古来より社殿などは無く葛井の清池全体を信仰対象として祀っていたそうです。池には片目の魚が住んでいるとも、池にいる魚は全て片目だとも言われています。
祭祀:
- 槻井泉神 (つきいずみのかみ)(九頭井明神) 水の神、井戸の神とも言われミズハノメガミと同義と言われています。
- 合祀:千鹿頭神(ちかとうのかみ)洩矢神の御子神・タケミナカタの御子神「内県神(うちあがたのかみ)」とも言われています。
- 合祀:品陀和氣命/誉田別命(ほむたわけのみこと)別名:応神天皇
現地案内板(写真クリックで拡大)
ここの特殊神事として「葛井の御手幣(みてぐら)送り」という室町時代より続けられている神事があります。
なんでも大晦日の深夜上社で用いた幣帛・榊・御穀・酒などを葛井の池に運び寅の刻(午前4時ごろ)池に投げ入れるだけと言ったおかしな(^^;神事です。興味深いのは、そのあと投げ入れた 捧げものが遠江国(静岡県)にある猿擲池(サナギ池)という場所に卯の刻(午前6時ごろ)浮かびあがった。と言う奇妙な伝説があります。
「サナギ池」の具体的な場所としては、磐田市鎮座 鎌田神明宮の東側にあった鎌田ヶ池(現在の今之浦川流域・現在は埋め立て地)や御前崎市の桜ヶ池などと言われているそうですが、静岡側にも同様な伝承が残っているそうで興味深い話です。
また、神事の際はみなうつ伏せになり「死人の真似をしなければいけない」のだそうです。
神事を執り行ったあと下役が帰る際「刀を抜き口にくわえて帰る」そうで、その道中は絶対に行き会ったりしないようにするそうです。何でも「行き合った人は必ず死ぬ」と言う恐ろしい伝説があって今でも古老の話では、幣帛持参の役人に出会うことを避けたんだそうで、もしこれを犯すと「神罰が下る。」と恐れられていたそうです。(諏訪神社謎の古代史/清川理一郎著より)
【追記】
静岡県御前崎市に鎮座“池宮神社”に、「桜ヶ池のお櫃納(ひつおさめ」と言う神事があります。
何でも池の底に住む、龍神を供養すると云われるこの祭りは、十数人のフンドシ姿の若者が、赤飯の入ったお櫃を、池の中央で沈めるという奇祭で、静岡県の無形民俗文化財となっています。
この奇祭の不思議なところは、沈められたお櫃が数日後には空になって必ず浮き上がってくるそうです。
この池の底は、何でも諏訪湖に繋がっているという伝説があって、沈めたはずの櫃が諏訪湖に浮かび上がったと言う伝承もあって、共通する部分で興味深い話です。(前述のサナギ池が桜ヶ池だという話もあるようです。)
(☞関連リンク) 桜ヶ池
葛井神社千本欅 かつて御神木として崇められていましたが、度重なる落雷や風害などで朽ち危険な状態となり昭和49年に現在の形で保存するようになったそうです。もし現在まで生きていれば樹齢7~800年は経っていると推定されます。
現地案内板(写真クリックで拡大)
拝殿横にあった霊石
境内の一画にブロックで囲われ祀られていた神像 何の神像だかは説明書きなど無いため詳細は分かりませんでした。
その隣にあった道祖神と書かれた石祠 祭祀されているのは「桃」でしょうか?気になるところ。桃の神様と言えば、日本神話に登場する意富加牟豆美命(おおかむづみのみこと)全国的にも珍しい桃の神様を祀っていたのが、以前氏子だった東京都多摩市関戸鎮座「熊野神社」を思いだします。
【マップ】
※ 駐車場は、葛井公園の隣道路沿いにあります。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます