この週末は、渋谷区神宮前キラー通り沿いにある私設美術館“ワタリウム美術館”で開催されている『理由なき反抗 展 I LOVE ART 14』を拝観して参りました。
「理由なき反抗」と言えば、ジェームズ・ディーン主演のあの映画のタイトルそのまんまですが本展の趣旨は
2018年、蔓延る情報操作、得体のしれない都合、無理ある理由付は、社会に不自由をもたらした。この不条理で不安な状況と対峙し、不自由と闘うために、今、どれほどの理由が必要なのか。
理由、理屈、理論だけではなく、私たちがもともと持っている直観、感覚、感性を手段とし闘う方が、有効なのではないのだろうか。
アートの歴史とは、自由への闘いの歴史である。
アーティストは、慣習、体制、権力、困難な状況といったものに抗い、闘う。
本展では、ワタリウム美術館コレクションを中心に、15人の作家、約100点の作品を展示する。
それらの作品は、自由への闘い方を私たちに教えてくれる。
アーティストたちの生き方、闘い方はそれぞれであるが、共通しているのは、何者にも屈しない自由への心である。
(ワタリウム美術館 同展紹介ページより)
なのだそうで、映画の内容とは全く関係無いようです。
展示スペースは、2~4Fに分かれそれぞれテーマ毎に作品が展示されています。
【第1章 レジスタンス】
4Fフロア風景 本展の趣旨に一番マッチした作品が多かったフロアでした。
オノ・ヨーコ“Play It by Trust”(1986-87)
「信頼して駒を進めよ」盤面と駒をすべて白く塗る事で「敵、味方区別なくなる」意味合いがあるのだとか。オノ・ヨーコさんらしい意思が込められた作品
ジョン・ケージ“マルセルについて何も言いたくない”(1969)
透明な素材に描かれた文字や図形が何枚も重ね合わされている。偶然の様相をみせ浮かび上がる記号群から、ポエムが生まれてくるとのこと。
ホワン・ヨンピン“避難はしご”(1992)
はしご部分は鋭利な本物の鋼製の中華包丁です。苦悩を乗り越え天を目指す人間の姿を表現しているのだとか。
ヨーゼフ・ボイス”阿呆の箱”(1983)
絶縁体のフェルトが伝導体の銅の板によって四隅で挟まれているただの箱。隔離された空っぽな箱から無限の可能を見出そうとした作品。
竹川宣彰“ ¡No Pasarán!”(2013)
作品はまさしく「鬼に金棒(金属バッド)」ですが、作品は「奴らを通すな!」です。作品の製作者竹川さんは、精力的にデモなどに参加されていらっしゃるそうですがそこからインスパイアされた作品なのでしょう。写真では分かりにくいですが頂上部分に鬼の面が付いています。
【第2章 デザイン革命】
3Fフロア風景 デザイン革命が本展の趣旨とどう関わっているのかは少々わかりにくく疑問は残りますが自分的には、このフロアの展示が一番興味深かったです。
バックミンスター・フラー“1つを元にした12の発明品”(1981)
ドームハウス(ジオテックドーム)エコロジーの先駆者と言えば“バックミンスター・フラー”でしょう。
彼は「宇宙船地球号」と言う概念を提唱しそれを著した“宇宙船地球号操縦マニュアル”は、今でもエコ関連の記事で多く引用されています。
三角形を組み合わせたドーム型の建築物は今では、いろいろなところで見かける機会が多いですが日本では富士山レーダードームが有名ですね。
マックス・ビル“三つの等柱の統一”(1961-1963)
同“三つの立場をもつエンドレスリボン”(1974-1975)
同 左から“白の核(1976)白の滲透(1971)、同分割の双子(1976)、無題(製作年不詳)”
マックス・ビルと言えばバウハウス時代の最後の巨匠と言われた人ですが、時計愛好家にはむしろミニマムデザインの腕時計の方が有名ですね。
追記:「何かどこかで観た記憶が」と思っていたら以前多摩美大美術館で観た“オマール・ラジョー”と共通する部分があって妙に共感してしまった作品でした。
アレクサンドル・ロトチェンコ“空間構成12番 楕円の中の楕円”(1921/2018再構築)
同 “空間構成10番 六角形の中の六角形”(1921/2018再構築)
同 “空間構成13番 三角形の中の三角形”(1921/2018再構築)
アレクサンドル・ロトチェンコは、後にロシア構成主義なる芸術活動を牽引してゆく立役者となります。すべての芸術活動に於いてアヴァンギャルドなその試みは、本展の趣旨に一番近いものと思いました。
【第3章 理由なき反抗】
2Fフロア内の様子 今回のテーマ冠がついたフロア。アンディ・ウォーホルやキース・ヘリングなどのビッグネーム作品が多数展示されています。
アンディ・ウォーホル 上からセルフポートレート、ヨーゼフボイス、毛沢東。そしてなんと!サルバドール・ダリ!タイトル写真の「理由なき反抗」のポスターも彼の作品。まぁ、作風を見れば誰もがわかる作品ですね。
BIEN “無題”(2018)日本人アーティストのBIENさんの作品。本展のために制作されたのだそうです。ブレない力強いその独特のタッチは圧倒されるものがあります。
ギルバート&ジョージ “大声”(1982)
生きる彫刻と言われてる彼らですが、正直何がいいのか理解に苦しいものがあります。まぁ、そこが理由なき(アートへの)反抗なのでしょう^^;
本展で、一番作品が多かったのがグラフィティ・アートの先駆者だった(1990死去)キースヘリング氏の作品。
その名前は知らなくても誰もが一度は目にしているであろうその作風。
キース・へリングが1983年に来日されたおり同館の前身ギャルリーワタリで企画展が開催されその時の彼の自筆絵も展示されていました。
他には、ここではその内容からあえて掲載しませんがアメリカの詩人“アレン・ギンズバーグ”の一連の写真作品や写真集が日本で「芸術かポルノか」で、裁判となり輸入禁止となったアメリカの写真家“ロバート・メイプルソープ”の過激な世界観が漂うオリジナルプリントが展示されています。(展示風景は、本章の冒頭に掲載しています。)
なかなか興味深かった同展。
その名は知っていても日本では、まずお目にかかれない彼らの作品を一同に見ることが出来たいい企画展でした。
会期が8月26日(日)までと残り一週間を切ってしまいましたが、現代アートを毛嫌いしている人も見識が広がる絶好のチャンス。お薦めの企画展です。
入館料:大人 1000 円/学生[25 歳以下]800 円/小・中学生 500 円/ 70 歳以上の方 700 円
ペア券: 大人 2 人 1600 円/学生 2 人 1200 円入場料:¥1000
※今ならミューぽんで300円割引できます。(専用アプリ(有料)のダウンロードが必要ですが今なら1ヶ月のお試しで300円割引が適用されます。)詳しくはこちら
ワタリウム美術館(公式ページ)
【マップ】
「理由なき反抗」と言えば、ジェームズ・ディーン主演のあの映画のタイトルそのまんまですが本展の趣旨は
2018年、蔓延る情報操作、得体のしれない都合、無理ある理由付は、社会に不自由をもたらした。この不条理で不安な状況と対峙し、不自由と闘うために、今、どれほどの理由が必要なのか。
理由、理屈、理論だけではなく、私たちがもともと持っている直観、感覚、感性を手段とし闘う方が、有効なのではないのだろうか。
アートの歴史とは、自由への闘いの歴史である。
アーティストは、慣習、体制、権力、困難な状況といったものに抗い、闘う。
本展では、ワタリウム美術館コレクションを中心に、15人の作家、約100点の作品を展示する。
それらの作品は、自由への闘い方を私たちに教えてくれる。
アーティストたちの生き方、闘い方はそれぞれであるが、共通しているのは、何者にも屈しない自由への心である。
(ワタリウム美術館 同展紹介ページより)
なのだそうで、映画の内容とは全く関係無いようです。
展示スペースは、2~4Fに分かれそれぞれテーマ毎に作品が展示されています。
【第1章 レジスタンス】
4Fフロア風景 本展の趣旨に一番マッチした作品が多かったフロアでした。
オノ・ヨーコ“Play It by Trust”(1986-87)
「信頼して駒を進めよ」盤面と駒をすべて白く塗る事で「敵、味方区別なくなる」意味合いがあるのだとか。オノ・ヨーコさんらしい意思が込められた作品
ジョン・ケージ“マルセルについて何も言いたくない”(1969)
透明な素材に描かれた文字や図形が何枚も重ね合わされている。偶然の様相をみせ浮かび上がる記号群から、ポエムが生まれてくるとのこと。
ホワン・ヨンピン“避難はしご”(1992)
はしご部分は鋭利な本物の鋼製の中華包丁です。苦悩を乗り越え天を目指す人間の姿を表現しているのだとか。
ヨーゼフ・ボイス”阿呆の箱”(1983)
絶縁体のフェルトが伝導体の銅の板によって四隅で挟まれているただの箱。隔離された空っぽな箱から無限の可能を見出そうとした作品。
竹川宣彰“ ¡No Pasarán!”(2013)
作品はまさしく「鬼に金棒(金属バッド)」ですが、作品は「奴らを通すな!」です。作品の製作者竹川さんは、精力的にデモなどに参加されていらっしゃるそうですがそこからインスパイアされた作品なのでしょう。写真では分かりにくいですが頂上部分に鬼の面が付いています。
【第2章 デザイン革命】
3Fフロア風景 デザイン革命が本展の趣旨とどう関わっているのかは少々わかりにくく疑問は残りますが自分的には、このフロアの展示が一番興味深かったです。
バックミンスター・フラー“1つを元にした12の発明品”(1981)
ドームハウス(ジオテックドーム)エコロジーの先駆者と言えば“バックミンスター・フラー”でしょう。
彼は「宇宙船地球号」と言う概念を提唱しそれを著した“宇宙船地球号操縦マニュアル”は、今でもエコ関連の記事で多く引用されています。
三角形を組み合わせたドーム型の建築物は今では、いろいろなところで見かける機会が多いですが日本では富士山レーダードームが有名ですね。
マックス・ビル“三つの等柱の統一”(1961-1963)
同“三つの立場をもつエンドレスリボン”(1974-1975)
同 左から“白の核(1976)白の滲透(1971)、同分割の双子(1976)、無題(製作年不詳)”
マックス・ビルと言えばバウハウス時代の最後の巨匠と言われた人ですが、時計愛好家にはむしろミニマムデザインの腕時計の方が有名ですね。
追記:「何かどこかで観た記憶が」と思っていたら以前多摩美大美術館で観た“オマール・ラジョー”と共通する部分があって妙に共感してしまった作品でした。
アレクサンドル・ロトチェンコ“空間構成12番 楕円の中の楕円”(1921/2018再構築)
同 “空間構成10番 六角形の中の六角形”(1921/2018再構築)
同 “空間構成13番 三角形の中の三角形”(1921/2018再構築)
アレクサンドル・ロトチェンコは、後にロシア構成主義なる芸術活動を牽引してゆく立役者となります。すべての芸術活動に於いてアヴァンギャルドなその試みは、本展の趣旨に一番近いものと思いました。
【第3章 理由なき反抗】
2Fフロア内の様子 今回のテーマ冠がついたフロア。アンディ・ウォーホルやキース・ヘリングなどのビッグネーム作品が多数展示されています。
アンディ・ウォーホル 上からセルフポートレート、ヨーゼフボイス、毛沢東。そしてなんと!サルバドール・ダリ!タイトル写真の「理由なき反抗」のポスターも彼の作品。まぁ、作風を見れば誰もがわかる作品ですね。
BIEN “無題”(2018)日本人アーティストのBIENさんの作品。本展のために制作されたのだそうです。ブレない力強いその独特のタッチは圧倒されるものがあります。
ギルバート&ジョージ “大声”(1982)
生きる彫刻と言われてる彼らですが、正直何がいいのか理解に苦しいものがあります。まぁ、そこが理由なき(アートへの)反抗なのでしょう^^;
本展で、一番作品が多かったのがグラフィティ・アートの先駆者だった(1990死去)キースヘリング氏の作品。
その名前は知らなくても誰もが一度は目にしているであろうその作風。
キース・へリングが1983年に来日されたおり同館の前身ギャルリーワタリで企画展が開催されその時の彼の自筆絵も展示されていました。
他には、ここではその内容からあえて掲載しませんがアメリカの詩人“アレン・ギンズバーグ”の一連の写真作品や写真集が日本で「芸術かポルノか」で、裁判となり輸入禁止となったアメリカの写真家“ロバート・メイプルソープ”の過激な世界観が漂うオリジナルプリントが展示されています。(展示風景は、本章の冒頭に掲載しています。)
なかなか興味深かった同展。
その名は知っていても日本では、まずお目にかかれない彼らの作品を一同に見ることが出来たいい企画展でした。
会期が8月26日(日)までと残り一週間を切ってしまいましたが、現代アートを毛嫌いしている人も見識が広がる絶好のチャンス。お薦めの企画展です。
入館料:大人 1000 円/学生[25 歳以下]800 円/小・中学生 500 円/ 70 歳以上の方 700 円
ペア券: 大人 2 人 1600 円/学生 2 人 1200 円入場料:¥1000
※今ならミューぽんで300円割引できます。(専用アプリ(有料)のダウンロードが必要ですが今なら1ヶ月のお試しで300円割引が適用されます。)詳しくはこちら
ワタリウム美術館(公式ページ)
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