

先週末“三鷹天命反転住宅”たてもの見学会に参加して来ました。
“天命反転住宅”とは奇妙なネーミングですが
「三鷹天命反転住宅 イン メモリー オブ ヘレン·ケラー」は、日本が世界に誇る芸術家·建築家、荒川修作+マドリン·ギンズによる超未来住宅です。
生活の中心となる住まいを考えたとき、外観の美しさ、利便性やコストばかりがものさしではありません。住まいの中心にはあなた自身がパートナーが、そして家族が最初にいるのです。だから、住まいはわたしたちの身体の延長にある器であるべきと考えます。
この住宅は、ヘレン·ケラーが身体を使い、自然と環境,人間の関係を知ったように、あなたの身体のもつ大いなる希望を見つけ、生命の無限の力を体験できる、まったく新しい住宅であり、命の器なのです。(パンフレットより引用)
この奇妙な集合住宅を手がけた荒川修作氏は、若い時の戦争体験から如何にして“死”と“悲しみ”から逸脱できるのか?を、本気で考えていたそうです。
まさに、人が死に至る宿命(天命)を反転させることを目指しその彼なりの回答がこの集合住宅のコンセプトなのだそうです。
2005年10月に落成。全9戸のうち2戸がショートスティ用 2戸が管理事務所用。残りの5戸が実際に賃貸で住まわれているそうです。
三鷹市のランドマーク的な存在となっており、完成当初から建物内の見学をしたいという声が絶えず現在は、定期的に見学会が催されています。
場所は、三鷹市大沢 天文台通りと東八道路の交差点(大沢十字路)近くにあります。まずは、その特徴的な色使いの外観をご紹介します。

東側より建物全景

西側面より

築2005年 数多くのメディアで紹介されたり多数の著名人が訪れているそうです。

エントランス ここが住民の共有入口になります。

エレベーター 内部も複数の色でペイントされていました。

1F共有通路上 露出配管となるのは構造上致し方ない部分でしょう。逆にそれはそれでサイバー的な雰囲気に一役かってるように思えます。


3F 303号室~302号室
続いて建物内部の紹介です。

天井には複数の吊りフックが設けられています。1個あたり100キロの荷重に耐えられるそうです。

部屋の中央にも配管がドーン

シャワールーム バスタブはありません。

シャワールームの裏手にはトイレ。密室になっていないので抵抗のある人はダメかも。

据付のはしご?棚? アスレチック遊具として。本棚として使ったり。使い方はアイディア次第。

凹凸のある床。足裏を刺激する事によって家との連体感が生まれます。微妙なサイズ違いは大人と子供の土踏まずに合わせて変えられているのだとか。
一見歩きにくそうですが慣れてくると足裏の気持ちいい部分を身体が順応し上手に歩けるようになるそうです。

畳のある部屋 家の中でも唯一まともな空間(寝室として使える部屋もあり。)

キッチン 一段下がった中央に機能的にまとめられています。

常識的には、ありえない露出ダクト

ハンモックは標準装備品

円球の部屋 横になると意外と体のラインに沿うので楽だったりします。また自分のいる位置によって音が共鳴したりして面白い体験が出来ます。(球体の部屋のみ1F事務所内で撮影)

なぜかインターホンが斜めに取り付けられています。インターフォンと会話する際、人は無意識に体を傾けているそうです。まさにそれを見越してのデザインなのだとか。

間取り3LDKタイプ(約60平米)(パンフより引用)他に2LDKタイプもあり。

空撮(Google Mapsより)
特徴的なカラフルな色使いですが建物全体で14色が使われているそうです。
そして興味深かったのが人は、視覚の範囲に色が6色以上あると一つの色としての認識が薄れ一つの環境として捉えるのだそうです。部屋の内装の色使いなどは、まさにその法則に基づきデザインされているのだそうです。
また面白かったのは天井と床には、なだらかな傾斜が設けてあり錯視効果により立つ位置で身長が伸びたり縮んだり、空間を広く見せる効果があるのだとか。
この住宅は大前提で「身体を中心に設計している家」という大きなコンセプトがあります。
日常的に常識で捉えらているものが、実は身体の使い方や知覚、感覚との関係性でどんどん変化させる事が出来る。物事の見方は一辺倒ではないわけです。
まさにそれはヘレン・ケラーが身体全体とあらゆる感覚を使って世界を知ったように、家という環境が身体の可能性を引き出してくれるのだそうです。
どうしても、色とりどりの丸や正方形を組み合わせた特徴的な外観や人が住むには、非常識な設備などに惑わされてしまいますが実は、驚くべき計算しつくされた上でデザイン設計された建物だと言う事が見学会に参加して知ることが出来ました。
現在も定期的に見学会を開催されているようです。
ご興味のある方は、是非参加されてみては如何でしょうか?興味深い体験ができるかも知れません。
ホームページ:三鷹天命反転住宅 In Memory of Helen Keller - Reversible Destiny Lofts Mitaka
【住 所】
東京都東京都三鷹市大沢2丁目2-8
【マップ】
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます