先日、わざわざ伊豆高原へと訪れた理由。
前述のぐらんぱる公園で開催中のグランイルミを見たかったのも一つの理由ではあったのですが、サクラさんがどうしても訪れてみたいと言っていたのが大室山の火口近くに鎮座する“大室山浅間神社”なのでした。
登山リフトに至る途中にある大鳥居
お社は、お鉢の途中にあります。
リフトを降りたお鉢の周遊コース途中より階段があり鳥居を潜ったこの先に大室浅間神社が鎮座しています。
お社が鎮座されている社殿
拝殿
ご本殿 祭祀:磐長姫命
由緒:浅間神社は全国に二千社ほどあり、富士山をはじめそのほとんどが木花開耶姫命(コノハナノサクヤヒメノミコト)を祭神としているのに対し、当大室山浅間神社は磐長姫命(イワナガヒメノミコト)を祭神としています。 『磐長姫命は大山祇神(オオヤマヅミノカミ)の姫命で、妹を木花開耶姫命という。あるとき天孫の瓊々杵命(ニニギノミコト)に見初められたのは木花開耶姫であった。父の大山祇神は二人の姫命を同時に娶ってほしいと申し上げた。それは木花開耶姫は咲く花のごとき美人であるが短命である。それにひきかえ姉の磐長姫は不器量であるがその寿命が磐のように長く保たれ、才能も優れているからである。しかし、姉姫は送り返されてしまった。すでに天孫の御子を懐妊されていた磐長姫は大室山山頂に萱で産屋を造らせ、中に入ると萱に火をつけせて炎の中で火の神三柱を無事出産されたと言う。』 当大室山浅間神社は古来、伊豆近郷はもとより、遠く相模の国、武蔵の国、安房の国、駿河の国と広く信仰を集めております。 (現地案内板より)
現地案内板 (クリックして拡大)
浅間神社の多くは、コノハノサクヤヒメを主祭神として祀っていますがここの大室山浅間神社は、イワナガヒメを主祭神としています。
イワナガヒメを主祭神として祀っている神社は、全国でも少なくやはり容姿端麗だったコノハノサクヤヒメを主祭神として祀る富士山信仰の浅間神社が多く人気なのも致し方ないところでしょうか。
『古事記』では、コノハノサクヤヒメと共に、ニニギノミコトへと嫁ぐのですがイワナガヒメの容姿が醜かったので父のオオヤマツミの元に送り返されたと伝えます。神話の中での話ではありますが、何処かの王国にでもありそうな政略結婚みたいですね。
このあと『日本書紀』では、妊娠したコノハナノサクヤヒメをイワナガヒメが呪ったとも記されており、それが人の短命の起源であるとされています。
ここ大室山では、昔から「富士山を褒めるな!」というい言い伝えがありますが裏にそんなわけがあったのです。
また、山梨には「富士山と八ヶ岳の背比べ」と言う面白い伝承があります。
昔、せんげんさま(富士山)と、ごんげんさま(八ヶ岳(権現岳))と、言う神様がいらして、どちらが背が高いか言い争いになりました。
二人は、木曽の御岳山の阿弥陀如来さまに、どちらの背が高いかを聞くことにしました。困った阿弥陀如来さまは、暫く考えたあげく「二つの山のてっぺんに長い樋(とい)を渡しどちらかに水が流れれば、そっちの方が背が低いと言う事になる」という名案を思い付きました。
背比べの日、せんげんさまもごんげんさまも一歩も譲りませんでしたが結果は、なんと!富士山の方に水が流れたではありませんか!
せんげんさまは、悔しくて悔しくて得意げになっていたごんげんさまの頭を叩いたところ八ヶ岳の頭が八つに割れて今のお姿になったと言う事です。(以上は、前述のページより要約)
一般に、コノハナサクヤヒメは、容姿端麗で性格も穏やかと言うイメージですがこの伝承では気が強く、暴力的な一面を併せ持っていて興味深いです。
実は、富士山よりかつての八ヶ岳の方が高かったと言う話は学術的にも確たる事実であって20万年前、3,000メートル級の山だったかつての八ヶ岳は、度重なる噴火により山体崩壊し現在の様ないくつかのピークを持つ姿となったと言う事です。
伝説では、権現岳の神は“ごんげんさま”「男神」として扱われていますが、実は権現岳に祀られている神は、山頂直下にある檜峰(ヒミネ)神社という祠であって、イワナガヒメが祀られています。
自宅近くに鎮座する八嶽神社も主神は、タケミナカタですが副祭神にイワナガヒメを祀っています。タケミナカタは、のちにこの地を武田氏(逸見氏)が統治した際に合祀したものでしょうからやはりかつての主神は、イワナガヒメであた事は間違えないと思われます。
大室山浅間神社の由緒ですが、興味深いのは父のもとに送り返されたイワナガヒメですが
なんと!しっかりと懐妊させらていて3人の火の神子を生んだと言う記述。
てっ!やることはしっかりやってるじゃん!(^^;
訪れたこの日は、あいにく肌寒い薄曇りの日で富士山の眺望は、望めませんでしたがイワナガヒメのご加護か、その夜はすっかり風も収まりイルミネーションと駿河湾に降る満天の星空と翌日はうららかな初春の桜を堪能する事が出来た一泊二日の旅でした。
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