さっちゃん 空を飛ぶ

認知症で要介護5の妻との楽しい日常を 日記に書き留めたいと思います

今日のさっちゃんはいつになく快調な言語リハビリでした

2021-01-13 23:58:40 | 言語リハビリ
最近、さっちゃんの発する言葉に関して、時々思い感じることがあります。
それは、ほんの僅かな差なんでしょうが、以前よりも意味ある(意味が伝わる)言葉が増えたような気がするんです。
さっちゃんとの会話に関しても、会話が1往復すること自体が珍しくて、そんなことがあれば嬉しくなってしまいます。
それがつい最近2往復もの会話が成立したことがありました。
すぐメモしていたらよかったんですが、それが出来なかったので、内容は忘れてしまいました。

例えばこんな会話です。(以下は創作です)
僕「今日は〇〇に行くよ」
さ「どこに?」
僕「◆◆(地名)だよ」
さ「ふ~ん」
実際にあった会話はもう少し複雑な内容でした。
ですから、僕自身もびっくりしたんです。
もちろん、さっちゃんの会話の言葉は明瞭ではありません。
ほぼそんな風に聞こえるという次元です。


今日の言語リハビリは1時からの予定でした。
僕たちがギリギリで到着したので、実際に始まったのは1時10分ころ。
それから1時間、STのT田先生のリハビリが行なわれます。
1年、いや1年以上前からでしょうか? この言語リハビリは見た目にはまったくリハビリにはなっていません。
さっちゃんの脳の言語野の部位の萎縮が進むにつれ、失われる言語能力はあっても、回復したり獲得したりする能力はないのです。
ただ、専門の先生にさっちゃんの言語能力の現状を把握してもらっておくことだけでも大切なことだと僕は思っています。

そんな気持ちで(僕は)臨んでいる言語リハビリですが、今日はとっても嬉しい日でした。
大袈裟に言うと、さっちゃんの言語能力が少し、ほんの少しだけ、伸びたような気持ちすらする嬉しい日でした。

さっちゃんは「こんにちは」という先生の挨拶に応答し、1月7日が七草の日だという話題にもついて来ました。
先生が紙に「七草 ななくさ」「せり なずな はこべら ごぎょう」と書いた文字にも関心を示していました。
昨日が凄く寒かったこと、今日も寒かったでしょ、という話題にもついて来れました。
当然、言葉は不明瞭なのですが、先生からの話題に乗っている、会話に応答している、そんな様子が続いていたことが驚きだったんです。

「ふじのやま」を最初に音を流したんですが、さっちゃんは聞くだけでなく、ひとりで歌っていました。
その後、先生も僕も一緒に歌ったんですが、さっちゃんもよく通る声で歌っていました。
先ほどの雪の話題つながりで、「ゆきやこんこ」の歌も歌いましたが、歌い始める前にひとりで口ずさみ始めました。
曲を流して一緒に歌ったんですが、先ほど同様によく通る声で歌っていました。
もちろん、言葉自体は相変わらず不明瞭ですが、楽しんで歌っている様子が見られたことが素晴らしいと思いました。

次はいつもの絵とその名前の練習です。
最初にパソコンの画面に絵が出て、その絵にタッチすると名前の文字が出る、そんなアプリを使った練習でした。
でも、さっちゃんはパソコン画面に慣れないせいなのか、うまくいきません。
先生はこれまで使っていた通常の紙のカードに替えて同じようにやってみました。
ひらがなで書かれた名前を読み、その裏の絵を見てまた名前を言う、そんな繰り返しです。
ほとんどは先生がひらがなも読んで、絵を見せてもその名前を先生が先に言うんです。
さっちゃんは「にじ」「たこ」「えんぴつ」とかのひらがなを先生に続いて発語できたり、出来なかったりします。
でも、今日はかなり高い確率で発語していましたし、たまにはさっちゃんが先に発語することさえありました。
もちろん、明瞭に「にじ」と2つの音声を発するわけではありません。
さっちゃんの発する言葉の一部に「にじ」と聞こえる言葉が出て来るんです。
さすがに絵を見てその名前を言うのは困難です。
森の絵を見て、先生が「もり」と言います。
さっちゃんにも「これは何?」と聞いて、さっちゃんが「もり」と言えればいい訳ですが、それはなかなか難しいことです。
でも、1回だけでしたが、絵を見て、先生が言う前にさっちゃんが名前を言えたケースがありました。
凄いことです!
さっちゃんには絵とその名前を結び付けて、そのように発語する能力が細々とでしょうが活きているんですね。
ひょっとすると、さっちゃんの意識の中では完璧に出来ているのに、それを表現できないだけなのかもしれません。
と言っても、認知症ですからそんな意識や思いは一瞬ののちには忘れ去ってしまうんでしょう。

今日もさっちゃんは先生に何やら喋りかけ続けています。
その間隙を縫って、歌やカードのリハビリをするといった方が正確ですね。
まったく意味不明瞭なさっちゃんの喋りの中にも、言葉の意味は不明瞭ながらも何かしら先生との意思疎通が出来ているケースも見られることがありました。
そんなことがいつもより多かったように感じました。

最後の最後にはさっちゃんもちょっと不穏になりかけました。
帰りたいモードがちょっと頭をもたげました。
でも、終了直前だったので、何とか回避することが出来ました。
さっちゃんにとって1時間も椅子に座っているのは大変なことなんだと思います。
先生は「今日のさっちゃんはこれまでになく良かったですね」とおっしゃってくださいました。
それ以上のコメントはありませんでしたけれど、先生も嬉しかったんだと思います。

食事と水分が摂れて、薬もきちんと飲み続けていることが影響しているのでしょうか?
何が今日の快調の理由かは分かりませんが、嬉しく感じたリハビリでした。
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眼前で電車の扉が閉まり、今日の言語リハビリには行けませんでした

2020-12-09 23:53:11 | 言語リハビリ
水曜日は言語リハビリの日。
朝8時ごろだったか、さっちゃんが起き出したので、トイレに連れて行ってあげました。
おしっこも少ししたかと思いますが、それよりも尿漏れパッドにべっとり付いたウンチが衝撃的でした。
それほどは水っぽくない液状便がだらだらと出続けているのでしょうか。
尿漏れパッドは水分を吸収するはずですから、付着している便は粘り気のある少し軟らかめの便のように見えます。
リハパンの腰ひもゴムの後ろのあたりにちょっとだけ便が付きました。
リハパンを下ろすときに付いてしまったのでしょうか?
リハパンも交換することにしました。

昨日のブログの最後に書いたように、どうやらさっちゃんの便秘との戦いが昨日からスタートしたようです。
今回は液状便のようですから、やっかいな戦いになりそうです。

それはそうと、ここでそのまま起き出しても良かったのですが、もう少しだけ寝ることにしました。
本格的に起きたのは9時前のこと。
まだまだ余裕があります。
僕は自分の朝食の準備をして、食べました。
さっちゃんの朝食は昨日の残りが半分あります。
ヨーグルトや足りなければバナナを食べてもらうつもりです。

そろそろさっちゃんを起こさないと、電車に間に合わなくなる、と思い始めたころ、自分で起き出して来ました。
着替えて、髪を梳いてゴムで結んで、水で口を漱いでもらおうとしましたが、それは拒否されました。
オートミールの残った半分を食べ、ヨーグルトを食べ終わった時、さっちゃんの様子が変わりました。

僕はさっちゃんをトイレに連れて行きます。
11時18分に入り、出たのは11時32分。
ウンチは出ませんでした。
尿漏れパッドだけ替えました。
じわじわと液状便だけが滲みだし続けているようで、パッドを替えてもすぐに汚れそうです。

11時30分に家を出るつもりでした。
それは出来なくなりましたから、次の電車に乗るのですが、12時までに出れば間に合います。
ただ、リハビリの予約時間ギリギリに到着することになります。

いざ出かけるとなれば、こまごまとした用事があるもので、家を出たのは12時のちょっとだけ前。
それでも余裕で間に合うはずでした。
昔なら駅まで20分あれば行けていました。
さっちゃんは駅に向かって同じ道を急いで歩いている人を抜き去ることに快感を覚えるようなタイプでした。
でも、今は普通に歩いても25分以上はかかります。

大きな道路を渡るんですが、赤信号が90秒続きます。
急いで歩けば横断歩道の信号の点滅に何とか間に合ったと思いますが、さっちゃんを急がせるのはご法度なんです。
今のさっちゃんは少しでも急いで歩くことを凄く嫌がります。
そして、怒り始めて、歩くのを止めてしまいます。
ここの赤信号で90秒は立ち止まりましたね。

そればかりか、さっちゃんは太股の前の方の筋肉が痛いようで、時々立ち止まってしまいます。
寒いので鼻水も少し出て、時々止まってもらってトレペを鼻に当てます。
僕は度々、1分2分おきぐらいにスマホで時刻を確認していました。

駅へ上る50段近い階段は止めて、エレベーターへ向かいました。
エレベーターはちょうど上から降りてきた人が出て来るところでした。
改札口でもいつもはさっちゃんに持たせるsuicaを僕が代わりにタッチしてあげます。
ホームに下るエスカレーターにのった時、電車の出発の放送が流れました。
僕ひとりならエスカレーターを駆け下りれば間に合ったかもしれません。
しかし、エスカレーターを降りる前に、電車の扉は閉まってしまいました。

次の電車は30分後です。
僕にはさっちゃんを30分間、駅周辺で待たせておく自信はありません。
次の電車で行って、30分間だけリハビリを受けてもいいのですが、今のさっちゃんはどんどん不穏に追い込まれていきそうです。
僕の決断は速かったです。
今日のリハビリには行かないことにしました。

改札をsuicaで出ようとすると、赤いランプが点き、小さな警報音が鳴りました。
窓口に行きましたが、改札の機械では入場料を自動的に引かれたりはしないんですね。
本当は140円の入場料を払うらしいのですが、短い時間だったので、という理由で無料にしてくれました。

T田先生に電話連絡し、次回の予約も入れました。

さっちゃんは家へ帰る時も、しょっちゅう立ち止まります。
往きと同じ理由の他、今度は「どこへ行くの?」という疑問を僕に投げかけても来ました。
「家へ帰るんだよ」と言っても、すぐ忘れますから、また同じことを聞きます。
往く時、さっちゃんを少し急がせましたから、帰りは僕と手を繋いでくれませんでした。
それでも、途中からは手を繋いでくれましたが、何となく嫌がっているようでした。

何度も何度も立ち止まろうとし、道路脇の縁石に座ろうとするさっちゃんを、家路に急がせました。
こんなことをする僕は、またまたさっちゃんから反感をかうことになってしまうんです。

家に着くと、さすがのさっちゃんもホッとした表情を浮かべます。
外出着のさっちゃんを部屋着に着替えさせて、さっちゃんは布団の中の人へ。

便秘との戦いの真っ最中でもありますから、言語リハビリに出かけるのも大変だとは思っていました。
尿漏れパッドを2つとリハパンもひとつ持っていってました。
便秘中は行動したくない気持ちがありますし、脚も痛かったようなので、休んで良かったのかもしれません。
脚が痛い原因は何なのか、それも気になりますね。
ただの筋肉痛ならいいのですけどね。
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今日の言語リハビリは途中で中断することなく、最後までかかわる気持ちが切れなかったようです

2020-10-28 23:54:52 | 言語リハビリ
今日、水曜日は言語リハビリの日。
STのT田先生のお仕事の都合で、10月に入ってからは午後1時から行なっています。
午後からなのでバタバタと慌てずに出発できるかと思いきや、やっぱり同じようにバタバタしてしまいますね。

最近の言語リハビリ中のさっちゃんですが、必ず途中で「帰りたいモード」になってしまっていました。
自分で椅子から立ち上がって、4畳半くらいの言語リハビリ用ルームから出て行こうとするんです。
こうなると、さっちゃんを無理やり引き留めても益々抵抗が激しくなるだけですから、先生も僕も一緒に外に出るんです。
PTのリハビリ(トレーニング?)ルームを通り抜けて同じ階にある屋上のような場所まで行くんです。
歩いて、外を眺めて、先生と会話して、さっちゃんに気分を変えてもらいます。
再びSTのリハビリルームへ戻って、リハビリ再スタート。

リハビリと言っても、T田先生が望むメニューをさっちゃんはほとんど全て行なってくれません。
歌だけは本当に小さな声で口ずさんでくれる程度です。

それが今日は、珍しく1回も「帰りたいモード」を発現させませんでした。
先生のやりたいことをしてないのは相変わらずですけれど、いつもよりはほんの少し先生の方へ心が近づいていたような気がしました。
マイペースで喋り続けるのではなくて、先生のことも聞いているのでしょう、一瞬の沈黙が幾度もありました。
「ふじの山」を歌ったんですが、相変わらずやっと聞こえる程度の小声ですが、歌詞にそって歌ってるように聞き取れました。
曲名の「ふじの山」のことも、紙に書かれた文字を見て、声に出していました。

先生もそのことに気付いたのでしょう。
絵とひらがなのカードを取り出して、ゲームのように先生とさっちゃん交互に読みっこを始めました。
ひらがなで「りす」と書かれている楕円のカードの裏には可愛いリスの絵が描かれています。
さっちゃんの番になってもなかなか発声してくれませんが、そんな時は先生が代わりに読みます。
そんなこんなでたくさんのカードをめくりました。
何枚だったかは分かりませんが、おそらく数枚のカードをさっちゃんは読みました。
「ほし」とか「きりん」とかなんですが、「◎※ほし▲$」とか「&◆きりの※▽」のように発声します。
でも、これで十分ですよね。
さっちゃんはひらがなは読めるんですね。
脳の言語野のどこかの部分が委縮してその機能を発揮できないでいるんでしょう。
まだ大丈夫な脳の他の箇所でこの衰えている機能を代替してくれないものなんでしょうかね?

先生も最後におっしゃっていました。
「今日は最近の中では一番よく出来ましたね」と。
最後の最後になって、ちょっとだけ「帰りたいモード」が出かけましたが、すでにもう終了です。


話は変わって、帰宅後のことです。

今日の夕食は珍しく完食し、まだ食べたそうだったので、ヨーグルト(75g)も1カップぺろりと食べました。
それからいつも通り、すぐに寝てしまいました。
このまま朝まで寝るのかなと思っていたら、11時ころに起き出して来ます。
僕はまずトイレに連れて行きましたが、おしっこは出ません。
続いて、入れ歯を外し、口腔ケアをスポンジブラシでほんの少し行なえました。
本当はもっと時間をかけて念入りにスポンジブラシで口腔内のネバネバしたものを取りたいのですが、さっちゃんはすぐに口を開けてくれなくなります。
今晩は水で漱いでもくれませんでした。
水を含んでもらおうと、コップを口に近づけるんですが、口を固く結んで開けてくれません。
まあ、こればかりは仕方ありませんね。
入れ歯はよく洗って、ぬるま湯に浸けてパーシャルデントを入れておきます。
最後に寝巻きに着替えてもらって、今晩はほぼ完璧な就寝ですね。

毎晩このように出来ればいいのですが、出来ないことの方が多いんです。
出来たのが珍しくてブログにも書いているので、出来ない日の方が圧倒的に多いということですよね。
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さっちゃんはまだ文字が少しは読めるようですね

2020-09-17 22:53:18 | 言語リハビリ
昨日の水曜日言語リハビリの日。
10時半からのスタートなんですが、不穏にはなることなく普通の状態でスタート。
機械による血圧測定も、さっちゃんに動いてもらうのではなくて、さっちゃんが座っている椅子を僕が動かすことで測ることが出来るようになりました。

STのT田先生はさっちゃんが少しでも反応してくれるメニューを見つけるためか、次々にいろいろなメニューでさっちゃんに働きかけてくれます。
・大きな声で「おはよ~」って言ってみよう! →無反応
・カレンダーを見せて、数を順番に読んでみよう! →無反応
・ミュージカル『Cats』の映像を観てもらう。(さっちゃんが映画『Cats』を観たことを以前報告していたので) →ほとんど興味示さず
・『ふじの山』を聴いて、歌う。 →か細い声でほんの少しは声を出す
・『ふるさと』も同上。 →同上
・カードを用いて名前を言葉に出してもらう。 →最初の数枚を正しく読んだ!

最後のカードですが、ハガキ大の紙が描いてあり、その下に名前が書かれていました。
これまでは絵と名前は別々だったり、紙の表と裏だったりしました。
20~30枚あったようです。
どんなものをさっちゃんが読めたのかは忘れましたが、前半の数枚をちゃんと読むことが出来ました。
すぐに飽きてしまうので、10枚くらいしか使えませんでした。
ちゃんとと言っても、バナナのカードを見て「バナナ」と言えるわけではありません。
「・・・きバナ、ナほて・・・」ってな感じで「バナナ」が出て来るんです。
単独で「みかん」などと言えたら、拍手喝采ものですね。
1回くらいそんな感じのことがあったかな。

カードでのリハビリがこんな感じだったので、この日の僕は内心大喜び!
さっちゃんは出来ないわけではなくて、何をやるべきなのかが分からないだけなんでしょうね。

とは言え、この日もリハビリの間中、先生に話しかけていました。
でも、いつもよりは少なくて、先生が与える課題のことにも気持ちを向けていたように思います。
さっちゃんには「よく出来ましたね」を送りたいですね。
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さっちゃんの言語リハビリの今後について、T田先生から問われました

2020-07-29 23:56:43 | 言語リハビリ
今日は水曜日、言語リハビリの日です。
先週はさっちゃんの便秘との格闘の渦に巻き込まれてお休みとなってしまいました。
でも今日は、何事もなく無事に出かけることが出来ました。

病院に到着し、待合室で待っていると、次第次第にさっちゃんの気分が沈み気味になっていくように感じます。
T田先生のリハビリが始まっても、最近はリハビリらしきことはまったくと言っていいほど出来ていません。
先生がさっちゃんに「朝ご飯は食べましたか?」と聞いても、さっちゃんはその質問には反応しません。
他に何を問うても、さっちゃんは答えません。
結局、いつも僕が先生の質問に代わって答えているのです。
「パンは食べて、おかずは半分食べました」と。

と言っても、さっちゃんは静かにしているわけではありません。
むしろその逆で、ずう~っと喋り続けています。
先生が「最初に思い切り大きな声を出してみませんか」と、「お~は~よ~う」と言っても、さっちゃんは先生とは無関係に喋り続けています。

今日のさっちゃんは反抗的ではありませんが、自分の殻の中に閉じこもり続けているかのようです。
先生に向かって喋り続けています。
途中、帰りたいわけでもなさそうでしたが、椅子から立ち上がり、その場を離れようとしました。
無理に椅子に戻らせたりはせずに、先生とさっちゃんと僕とでいつもの屋上へ散歩に行きます。
それまでもそうですが、散歩ではなおさら先生と僕とがいろいろと話しを交わします。
自治体によって違いはあるのでしょうけれど、一緒に散歩をしてくれるようなサービスもあるのだそうですね。

部屋に戻って来ると、第九の合唱を聴いてもらおうということになりました。
前回は静かに聴いてくれましたから。
でも、今日は駄目でした。
前々回と同様に、合唱が流れている最中も、さっちゃんはずうっと喋り続けました。

先生が僕にこんなことを問いました。
「最近リハビリらしいことが全然できていませんが、今後のことをどのように思われますか?」
この問いは僕の中にも以前から常に在った問いです。
当然、T田先生の中にもあるはずの問いでしょう。

僕は答えました。
「去年の11月くらいからも全く出来なくなったことがありました。
でも、その後再び、出来るようになりました。
今回も同じようなことがないかと期待はしています」
「リハビリらしいことが出来なくても、先生がさっちゃんの現状を知ってくださっていること自体に意味があると思っています」
「病院という場所に週に1回来ることがさっちゃんにとっての貴重な社会体験になっていると思っています」

T田先生はどのように考えておられたのでしょう?
もし僕が「リハビリらしいことも全然できていないので無駄だと思います。やめたいです」と答えたら、どうされたのでしょう?
おそらく、患者さんやその家族の意向に沿うことを選ぶのでしょうね。
「それでも続けた方がいいですよ」という説得力ある説明は出来ないのではないでしょうか。

こんな先生と僕との話し合いもさっちゃんの喋りの中で断片的に進められた会話です。
さっちゃんの意味不明な喋りにも先生は対応してあげなければなりませんから。
でも、さすがにさっちゃんも疲れて来たのでしょうか?
少しずつ、不穏な感じも漂い始めました。
そして、「帰る」との言葉が飛び出します。

ほぼ1時間たっていましたから、先生も「じゃあ、もう終わりにしましょうね」と言ってくださいます。
さっちゃんは部屋から出てしまいしたから、先生も慌てて来週の予約を取りに出て行かれました。
さっちゃんは完全に不穏です。
僕と手を繋いでくれません。
予約を取って、「さっちゃん帰ろうね」と言っても、今度は動こうとしません。
しばらくすると、立ってはくれましたが、手は繋いでくれません。
僕が階下の会計の方へ歩いて行くと、僕に付いては来てくれます。

会計窓口に今日の分を提出し、後は自分の番号が表示されて、機械で会計処理等をするだけ。
ところが、さっちゃんは僕を見ることなく、自分だけで出口の方へ歩いて行ってしまいます。
さっちゃんの今の心理状態では連れ戻して、あと20分ほどもここで待つのは不可能でしょう。
僕はさっちゃんの後に付いて行くことにしました。
病院の敷地を出て、駅とは反対側に歩かせたかったのですが、さっちゃんは駅への正しい方向へ歩み始めます。
反対側へ行けば、ぐるっと回って再び病院へ入ることが出来るかな、と考えたのですが・・・・
僕はこのまま駅へ行き、帰宅することにしました。
駅のホームから病院の会計に電話して、来週にまとめて会計させてもらえることになりました。

最寄り駅に着き、いつものお総菜屋さんでお弁当ひとつと、夕食のためにヒジキの煮物100g、とんかつ1枚を買いました。
(とんかつは玉子とじにして、僕は丼にして食べました)
が降っていましたから、二人ともをさして別々に歩きます。

さっちゃんはこの別々に歩くのが不満だったのかもしれません。
家までの半分くらいを歩いた辺りから、何やらブツブツと僕に文句を言うようになりました。
僕はさっちゃんと手を繋いで歩いてみたのですが、そうするとさっちゃんの傘から僕の肩へ雨がポタポタと落ちて来ます。
さっちゃんの傘を閉じて、僕の傘だけで二人一緒に歩くことにしました。
でも、さっちゃんは何が不満なのか、それは嫌みたいです。
僕を押し退けて、離れます。
さっちゃんに広げた傘を手渡すと、怒って放り捨てるんです。
再度渡しても、同じこと。

しばらくして、さっちゃんに傘を持つように手渡しても、持ってはくれません。
僕も腹を立てて、「じゃあ、濡れて行けばいい」とほったらかしにして、速足で歩き始めました。
パタパタと急いで付いて来るさっちゃんの靴音が聞こえます。
家が近づいて来て、僕は僕の傘にさっちゃんを入れようとしましたが、やっぱり逃げて行きます。

そんな険悪な感じは部屋へ戻っても続いていました。
お昼ご飯を用意し終わって、テレビでも見ながら食事しようと思って眼鏡を探しました。
ありません。
家に帰ってからの眼鏡の扱いを思い出しながら、探すんですが、ありません。
半分あきらめて、椅子に座り、食べ始めようとしたら、ありました。
ゴミ屑籠の中に捨てられていました。
さっちゃんが捨てたんですね。

お昼を食べ終わり、朝忙しくて1種類の目薬しか差せなかったので、残りの1種類を探すと、やっぱりありません。
さきほどの眼鏡のことがありますから、僕はゴミ屑籠を再度探してみました。
ちょっとゴミに隠れて蓋が橙色の目薬がありました。

こんな風に、夕方まではさっちゃんと僕はお互いにツンツンし合っていました。
でも、夕食の頃からは普段のさっちゃんに戻っていましたね。
さっちゃんも疲れたんだと思います。
夕食後、床に就いて、さっちゃんはそのままぐっすり眠ってしまいました。
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今日のさっちゃんは何気にマイペースでちゃんとしたリハビリは出来ませんでした

2020-07-15 23:53:12 | 言語リハビリ
今日のタイトルは上記のようにしましたけれど、最近はずうっとこんな感じです。

T田先生は今週も先週に引き続き入れ歯を外し、スポンジブラシで磨いてくださいました。
ただ、今週は入れ歯を戻し入れるのに大苦戦!
口を大きく一定時間開け続けてくれなければならないのですが、すぐに口を閉じようとします。
そして、恐らく舌を動かしてしまうんでしょうね。
もうちょっと我慢してくれれば、収まるべきところに収まるのに、さっちゃんは吐き出すように嫌がるのです。

気分を変えるためにリハビリルームから出られる屋上へ散歩しに行きました。
戻って来て、再度入れ歯にチャレンジしましたが、なかなか上手くいきません。
でも、何度目だったでしょう、何とかはめることが出来ました。

今日のさっちゃんは入れ歯絡みの時以外は何やらずうっと喋り続けています。
内容はまったく分かりません。
淡々と喋っていて、悲しくて泣き出しそうな声でもなく、怒っていたり辛そうな雰囲気でもありません。
そうそう、一瞬だけ哀しい気分になっていた時があって、テーブルに突っ伏して泣き声を上げていました。
先生はさっちゃんに歌ってもらおうと、その前に第九をさっちゃんに聴いてもらったのですが、その間もさっちゃんは喋り続けていました。
第九が終わってもさっちゃんは喋り続け、今度は何となく先生に向かって何かを伝えようとしているかのようです。
先生の手に触れたりしながら、先生の方を見て喋り続けています。

これには先生も聞くしかないようで、本当は声を出して歌を唄って欲しかったんでしょうが、時間は刻々と過ぎて行ってしまいます。
まあ、声を出すという点に関してなら、こうやって喋り続けているわけですから、声は出しているのですがね。
さっちゃんにとっても、僕以外の人を相手に喋るのは刺激にもなっていいのだと思います。
1時間が経過して、翌週の予定も決めて、「また来週お会いしましょうね」と挨拶も終わったのに、さっちゃんは先生に語り続けています。
先生も自分に向かって喋るさっちゃんを無視は出来ませんから、聞いてあげるしかありません。
僕が「今日はもう終わったから、来週また来ようね」と言っても、変わらず喋り続けます。
結局、さっちゃんの手を少し引くようにして、「もう帰るよ」と言って、さっちゃんにはやっと帰ることが伝わったようでした。

事務の方から来週の予約票をいただいて本当にその場から離れる段になって、二人でもう一度先生に挨拶しに行きました。
さっちゃんは再び先生に一生懸命何やら喋りかけ続けています。
また長くなりそうでしたから、僕はさっちゃんの手を引いて、強く帰ろうと促しました。
やっと帰ることになって、先生に背を向けて歩き始めると、待合室の長椅子に腰かけていらした女性がわずかに微笑まれました。
先生とさっちゃんの一連のシーンを見ておられたんでしょうね。
さっちゃんは先生にあまり従わないのですが、先生のことは好きみたいですね。
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STのT田先生がさっちゃんに口腔ケアしてくれました

2020-07-09 23:56:15 | 言語リハビリ
昨日の水曜日の言語リハビリはさっちゃんとしては上出来だったと思います。
というのも、朝は便秘騒動、1時間遅れで行った神経内科の先生の診察、と続いて、
さっちゃんは相当精神的にも肉体的にも疲れていたはずなんです。
でも、言語リハビリの時間中、わりと大人しく、不穏の様子も一切ありませんでした。

この日は以前からいつも使用していた防音壁で囲まれた窓のない部屋だったことも、落ち着いていた一因かもしれません。
もちろん、入り口は全開ですから防音の意味はないですけどね。

前半30分くらいは、どういう理由なのか分かりませんが、T田先生がさっちゃんの口腔を見てくださいました。
僕が「あ~ん、と開けて」と言っても、ほとんど開けてくれないのに、先生に言われると実に素直に口を開けるさっちゃん。
先生はペンライトを持ってるのですが、それで口の中を照らしながら「ちょっと中を見せてね」と言うと、開けなきゃならない気になりやすいんだそうです。
本当かな?

さらに先生は、上の入れ歯(下のは何ヶ月も使っていません)を外そうとします。
これはある一定時間は口を開け続けていてくれないと、外せないんです。
僕は一週間に一度外せればいい方でした。
でも、さっちゃんは口をずうっと開けています。
自分の入れ歯を掴まれて外そうとされるのですから、嫌がるはずなのに・・・・
先生は外し方も上手です。
外した入れ歯を簡単にですが洗ってもくれました。

入れ歯が外れた状態ですから、次は口腔を磨こう(こする? マッサージする?)ということに。
家で僕がさっちゃんを歯ブラシで磨こうとすると、すぐに口を閉じたり、歯ブラシを手で掴んで出したりします。
ところが、さっちゃんは先生からされるがまま、長い時間口を開けています。
先生が使っているのは歯ブラシではありません。
僕は初めて目にするものでした。
ストローくらいの棒の先に小さなスポンジの塊りが付いています。
これで歯茎はもちろん、舌や口蓋などこのスポンジで汚れというかぬめりのようなものをぬぐいとるようなんです。
口腔ケア用のスポンジブラシなんだそうです。
先生は僕にひと通りの説明をしてくださり、1本見本として下さいました。

これからはこのスポンジブラシを試してみようと思います。
でも、まずは口をあ~~んと開けてくれなくちゃ!

あっ、そうそう!
入れ歯の外し方が上手なT田先生でしたけれど、入れ歯の戻し方もすごく上手でした。
いともあっさりと戻したので、僕が普段の苦労を伝えると、再度入れ歯を外し、今度は戻し方を丁寧に説明してくれました。
入れ歯の幅は口の幅よりも少し広いので、口を押し開くようにしながら入れるのだそうです。
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4ヶ月ぶりの失語症グループリハビリにやっと参加出来ました。ただ、小さな不穏が繰り返し出て、早めに退出することに

2020-07-03 23:59:08 | 言語リハビリ
月1回、第一木曜日の午後1時半から催される失語症のグループリハビリ。
リハビリと言っても、さっちゃんの場合は失語が進行するばかりで、どのようにリハビリになっているのか僕にもあまり理解できていません。
ただ、病院でSTの先生と1対1で行う毎週の言語リハビリはさっちゃんの言語面での現状把握にとても役立つように感じます。
月1回のこのグループリハビリはさっちゃんには気楽に楽しんでもらえればと思っています。
言葉が上手く出ない人たちが主役の集りですから、スタッフの皆さんがさっちゃんにも優しくしてくださいます。
さっちゃんは何も出来ませんけれど、そんな雰囲気の中で過ごす体験をするだけでもいいと、僕は思っています。

     *   *   *   *   *   *   *   *   *   *

木曜日の夜の10時くらいから、さっちゃんが就寝してやっと僕の時間を過ごしていました。
でも、さっちゃんが度々起き出して来ます。
そのたびに僕はさっちゃんを布団まで連れて行き、布団に横にならせて、タオルケットを掛けてあげます。
ところが、さっちゃんは1分とせずにまた起き出して来ます。
そんなことを10回くらい繰り返し、僕はとうとう諦めました。
さっちゃんの横で一緒に寝ることにしました。

そして、11時前ころに僕は起き出して、再び自分の時間を過ごします。
このブログを書き始めました。
さっちゃんは布団の中で寝息を立てていました。

しばらくして、さっちゃんが起き出して来たんです。
数回、いつもの繰り返しを行いました。
欠伸をしているのにもかかわらず、さっちゃんは寝ません。
起き出しては僕のそばに来ます。

僕は諦めました。
今晩は自分の時間を過ごすのは中止です。
そうしないと、さっちゃんはいつまでも眠りそうにありません。

     *   *   *   *   *   *   *   *   *   *

翌日金曜日の夜10時半、さっちゃんはよく寝ているようです。

昨日の失語症グループリハビリ。
前回は家を出る前に不穏となり、出かけられるような状況ではなくなってしまい、お休みしました。
昨日は何の問題もなく家を出て、暑い中、駅までさっちゃんの足で30分かけて歩きました。
ホームに降りて、電車の到着を待っていると、さっちゃんが「こっちに来い」みたいな感じで僕の手を引っ張ります。
僕はいつもの場所なので動きません。
すると、さっちゃんだけ一人で行ってしまいました。
でも、遠くまでは行かず。10mとは離れていません。
何かに怒ってるような雰囲気です。
多分、僕に対して怒ってるんでしょう。

電車がホームに入る前には、僕のところへ連れて来て、一緒の入り口から乗りました。
終点で乗り換えて、もう1駅先で降りました。

電車から降りて、ホームに出たのですが、さっちゃんは手をつないでくれません。
スタスタと自分一人で進んで行きます。
階段では僕と手をつないでくれましたけれど、上り切ると、また手つなぎを拒否。
改札の手前でも、手をつないでくれませんし、そればかりか、改札へ向かってもくれません。
さっちゃんは別のホームに降りてしまいました。
「そっちじゃないよ」と、改札の方へ向けさせようとしても、拒否して勝手に進んで行きます。
別のホームに降りても、後ろから付いて歩く僕を嫌がるような態度です。
ホームのいちばん端っこまで行き、僕も諦めて距離を取って立っていました。
入線する電車にだけは乗ってしまわないようにしなければなりません。
僕はさっちゃんと数メートルほど離れた、飲み物の自動販売機の陰に隠れるようにして立っていました。
さっちゃんは姿の見えない僕が気になるようで、少しこちらに向かって近付いて来ました。
その時同時に電車も入線して来たので、僕はちょっと心配したのですが、むしろ下車した人たちの流れに乗って、さっちゃんもエスカレーターに乗りました。
再び改札に向かわせようとし、何とか改札を出ることに成功。

改札を出ても、手をつないでくれませんし、「こっちだよ」と言っても従ってくれません。
結局、反対側の北口に降りて行ってしまいました。
線路沿いの道路を歩いて行くので、「この先の踏切で渡ってもらえばいいや」と思っていました。
ところが、その踏切まで来て、どうしてだかさっちゃんは引き返します。

ただ、時間の経過ゆえか、心細くなったせいか、まだ僕と手はつないでくれませんが、僕の後を付いて来てくれるようにはなりました。
そのまま南口へ向かい、御所水通りを南へ歩いて行きます。
結局、目的地までさっちゃんは手をつないでくれませんでした
でも、しっかりと僕の後ろから付いて歩いてくれました。

そして、本当に久し振りの失語症グループリハビリ。
いつも通りにその集いが進行して、ちょうど1時間が経過したころでした。
さっちゃんが少し大きな声で、隣りに座っている方だか、スタッフの方だかに喋りかけるんです。
何かしら怒ってるんだか、注意してるんだか、少しとんがったような口調です。
その喋りはその時の集いの進行を妨げるようなものでした。

僕は「おしっこかもしれませんから、トイレに行ってきますね」と言って、さっちゃんと部屋を出ました。
トイレに入りましたが、当然おしっこではありません。
トイレを出て、廊下やその階の屋上をしばらく歩きました。

そして部屋に戻ったのですが、そんな短い時間で変わることは出来ず、前にも増して、さっちゃんは何か訴えているようです。
こうなると、さっちゃんを止めることは誰にも出来ません。
僕はここで帰ることに決めました。
皆さんに挨拶し、この日はここで帰ることにしたのです。
少し救われる思いなのは、お別れの挨拶をしてくださるスタッフの方に向けるさっちゃんの表情が柔らかなものだったことでしょうか。

部屋から出ると、さっちゃんは意外とすぐに普通に戻りました。
駅まで手をつないで歩きました。
ただ、ホームで長い時間次の電車を待っている間に、さっちゃんは「こっちへ来い」みたいな感じで僕を連れて行こうとするんです。
連れて行こうとしている場所は、どうやらホームの端っこのさらに先のようなんです。
つまり、一般人は行ってはいけない場所ですね。
当然僕は拒否しますから、さっちゃん反発そして不穏。

帰りの電車の中でも、駅に着くとその駅で降りたがるんですね。
基本的に電車に長く乗り続けるのが嫌みたいです。
僕が降りようとするさっちゃんを押し留めると、さっちゃんは大きな声で僕を非難します。
周囲の乗客にアピールするような感じで叫ぶときすらあるんです。
隣りの座席に座っている僕を両手で押して、遠ざけようともします。
軽く手でぶったりもします。

でも、僕たちの最寄り駅に着いてからは、さっちゃん普通でした。
家に帰る道すがらも、家に帰ってからも普通でした。

こんな感じでこの日は小さな不穏が時々現れました。
歩いていても暑さが堪える日でしたし、さっちゃんにとっては久し振りのグループリハビリは緊張したのでしょう。
じっと座っているのが嫌いなさっちゃんですから、イライラしたのかもしれません。
でも、再開後の初回にしては良かったと思います。
これだけの長い移動もコロナ自粛以降では最長ですしね。

山歩き、言語リハビリ、失語症グループリハビリ、次第に以前の生活に戻りつつあります。
ある程度の活動はさっちゃんの精神、肉体両面の健康にとっても必要だと思います。
まだ、デパートのある繁華街に行ったり、外食をしたり、映画を観たり、音楽会に行ったりは出来ていませんが、何時になるでしょうね?
東京都の感染者数の100人越えが続いていますから、高齢夫婦としては自粛を続けた方がいいと考えています。
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リハビリメニュー自体はほとんどこなせませんでしたけれど、何かほっこりと心和む1時間でした

2020-07-01 23:57:34 | 言語リハビリ
今日は水曜日、言語リハビリの日。
天気予報では風雨が強い日のようで、穿くズボンや履く靴をどうしようかと前日から考えたりしていました。
あまりに荒天ならお休みさせてもらおうかと考えたりもしていました。
でも、朝起きてみると、風はそれなりに強く吹いていましたが、雨はさほど降っていません。
結局、往きの病院の手前10分ほどで傘を差しただけで、帰りも傘を差さずに済みました。

今日の言語リハビリですが、まず最初に、T田先生はリハビリルームや部屋から直接出られる3階の屋上を一緒に歩いてくださいました。
さっちゃんは不穏の際はもちろんですが、そうでない時も歩く(散歩する)ことで気持ちが落ち着くようなんです。

リハビリを行う部屋に戻って来てから、先生は山の写真のカードをさっちゃんに見せます。
先日の土曜日に山歩きして来たことを先生に伝えたからでしょう。
カードの裏にはひらがなで「やま」と書かれています。
さっちゃんはすぐに「やま」と声を上げました。
続けて、「やまやま」「やま、やま、やま、やま」とも。
僕は思わず小さな音でパチパチパチと拍手しました。
これほどはっきりと繰り返し声を出して言ったのは、再開前を含めても本当に久し振りのこと。

先生はさっちゃんの朝食に絡めて、目玉焼きやオムレツの写真カードを出しました。
山に続いて発声してくれることを期待しましたが、そうは上手くいきませんね。
さっちゃんは黙ったまま。

次は1、2、3、4、5、・・・・と数を数えること。
階段の上り降りで、さっちゃんが声を出して数を言うことを伝えてあります。
もちろんそうする頻度は低いですけれど。
立ち上がって、足踏みをしながら数を言ってもらおうとしたのですが、さっちゃんにはピンと来ません。
それで駄目ならと部屋の外に出て、歩きに合わせて数を言おうとしたのですが、先生とさっちゃんの歩調が合いません。
やはり階段でないと駄目なんでしょう。
階段だと歩調も合わせやすいですし、何よりも体全体がその数に合わせてリズミカルに動きますからね。

その後、再びリハビリルームと3階屋上を散歩しました。

次には久し振りの「第九」。
1万人による合唱です。
以前はさっちゃんはこの曲の中に入り込み、じっくりと聞いていました。
指をリズムに合わせて動かしたりしていました。
でも、今日は第九には関心が向かないようです。
合唱の間中、先生に何やらずうっと話しかけ続けていました。

第九が駄目だったので、今度は唱歌です。
「ふじのやま」の歌詞を書いた紙を見せると、さっちゃんは「ふじのやま」らしき言葉を発しました。
先生も「そうそう、富士の山を歌いましょう」と言います。
音も流しながら歌い始めます。
先生と僕が声を出して歌います。
しばらくすると、さっちゃんも歌い始めました。
歌うと言っても、ハミングみたいな感じですね。
本当に小さな声なので、耳をそばだてないと聞こえませんが、音程もリズムもちゃんと合ってます。
2番まで歌いました。
さらに最初からもう1回歌いました。

さっちゃんは長く椅子に座っているのが嫌なのでしょうか。
何やら喋りながら立ち上がります。
また、「帰る」などとぐずり始めるのかなと、心配しましたが、そうではなさそうです。
T田先生の方に近づいて行って、先生の新型コロナウイルス除けの割烹着のようなビニールエプロンの上から、先生をさすっています。
何やら先生に対する親愛の情がこもっているような言葉を発しながら、肩や胸や腕や手を撫でさするさっちゃん。
こんなことは初めてです。
極々たまに、僕に対してやってくれることはありますけれどね。
他の人に対してはしたことはなかったですから。
僕ひとり、心の中でジ~ンとなってしまいました。
T田先生はどう感じられたんでしょうね?

今日はこれで終了。
来週の予約手続きをして、リハビリ室から離れる前に、いつものようにT田先生のところへ行って、さっちゃんと僕は挨拶して帰りました。

帰宅して、駅前の総菜屋さんで買ったお弁当を食べました。
さっちゃんは自分の朝食の残りも食べます。
その後、さっちゃんも僕も布団の中へ。
毎回そうですが、病院に行った日は本当に疲れます。
時々目は覚ましていましたが、最終的に夕方6時半まで寝てしまいました。
それから夕食作り。
こんなことも予想してましたから、今晩はご飯を炊いて、お味噌汁を作るだけです。
おかずは総菜屋さんで買っておいたメンチカツ1枚とカニ風味サラダ100g。
おかずは僕とさっちゃんで6:4か7:3くらいに分けて食べます。
さっちゃんの小食にも拍車がかかって来ていますし、僕も最近運動不足ですから、食べ過ぎないようにしているんです。

今日は一日平穏な日でした。
言語リハビリがあって、そこで心和まされて、1日平穏なんて、本当にいい日ですよね。
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言語リハビリの時のさっちゃんは暗くて重い感情に支配されがちに感じます

2020-06-24 23:48:48 | 言語リハビリ
水曜日は言語リハビの日。
今朝のさっちゃんの出発までの様子は可もなく不可もなし、ってな感じ。
朝食は3分の1ほど食べ、薬も半分ほど飲み、トイレでおしっこはして、歯磨きは相変わらず非協力的。
ゆとりのある時間に家を出て、予定していた電車に乗れました。

今日のさっちゃんにはとりわけ不穏な様子も見られず、T田先生に会って部屋に入って、椅子に座るまでも順調でした。
ちょっと心配な点があると言えば、俯きがちで元気がないという点。
先生がリハビリに導入しようと、身近な話題からさっちゃんに話しかけていくんですが、さっちゃんの反応は薄く、目も伏せがちで、先生のことをあまり見ません。

いつものようにさっちゃんは何やら喋り始めました。
先生の話しに合わせているのだか、無関係に勝手に喋ってるんだか、それは不明です。
ただ、その喋りは陰々滅々、聞いてるこちらも落ち込みそうな雰囲気。
時々何となく分かるフレーズが出て来るのですが、
「私は何にも出来ない。何にも分からない」とか
「あの人(僕のこと)に聞いて」とか
そんなニュアンスが微かに伝わってくる気がします。

先生がさっちゃんをリハビリに引き込もうとする努力も、ことごとく無視・無反応で応じるさっちゃんによって、水泡に帰します。
しかも、静かに暗かっただけのさっちゃんが「帰ろう」と言い出し、反抗の芽が見え始めました。
先生もこれ以上留めておくのは無理そうだと感じたのでしょう、「今日はここまでにしましょうか」とも。
ただ、「帰ろう」と言って椅子から立ち上がったさっちゃんですが、前々回のように部屋から出て、病院からも飛び出して行きそうな勢いはありません。
椅子のそば、部屋の中にとどまっています。

そこで先生が「ちょっと外の空気を吸ってみましょうか?」と、さっちゃんを部屋の外へ連れ出しました。
部屋の外と言っても、まだリハビリのトレーニングルームなんですが、運動器具などがある部屋を抜けると、そこは屋上のような場所でした。
「天気がいいと向こうに富士山が見えるんですよ」
「あの建物はコンビニやパン屋さんがあるところですね」
「あのパン屋さんは人気だそうですよ。食べたことあります?」

などと普通の会話をしてくださいました。
さっちゃんの表情も心なしか和らいだような気がします。

また部屋に戻って、「ふじのやま」を歌いました。
先生と僕は大きな声を出して歌いました。
さっちゃんのも微かに動いています。
ほんの小声ですが、声も出ています。
たったこれだけのことですが、嬉しく感じました。
T田先生にとってもそうだろうと思います。

今日は再開後3回目のリハビリでしたが、さっちゃんにとって言語リハビリとはいったい何だろう? と考えることがあります。
リハビリメニューがこなせなければ、リハビリできていると言えないのでしょうか?
そうならば、再開後もその前もさっちゃんはリハビリできていないことが多いですよね。
例えば、先生が「ねこ」と発語して、さっちゃんが「ねこ」と言う。
こんな訓練がありますけれど、今のさっちゃんは「ねこ」と言ってくれません。
でも、それはさっちゃんの反抗だったり怠惰だったりが原因なのでしょうか?
そうではないと思います。
さっちゃんの認知症、それに伴う失語症の病状がそのレベルに来ているせいだと思います。
さっちゃんの意識のどこかでは「ねこ」と言いたいのだと僕は信じています。
でも、言えない病状があるのでしょうね。

水曜日の言語リハビリの1時間は、さっちゃんにとって真面目で真剣な1時間だとさっちゃん自身感じていると思います。
僕には見えないところで、さっちゃんも必死にリハビリしようとしているのだと思います。
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