いよいよ今日から僕に対する介護トレーニングがスタートします。
週に1回、毎週火曜日に行なわれることになりました。
僕の介護技術習得の早い遅いで、さっちゃんが自宅に帰れる日も早くなったり遅くなったりするのです。
頑張らなくっちゃ。
とは言え、僕は土日に行なったハードな山行の影響で腰が痛くて仕方ありません。
椅子から立ち上がる際にも、イタタタタ、と呻く始末。
そんな不安も抱えながら、約束の時間15時15分の10分ほど前にI老健に到着しました。
I老健では年輩の看護師さんが来られて、僕に抗原検査を行なってくれました。
綿棒を右の鼻の穴に突っ込みます。
時間的には僅か2、3秒のことだと思いますけれど、得も言われぬ刺激と不快感が僕を襲います。
思わず、くしゃみも出てしまいます。
15分後と言うことでしたけれど、それよりも長く経過したようでしたが、目出度く陰性でした。
そして、看護師さんが広い会議室のような部屋に僕を案内してくれました。
そこには介護ベッドが置いてあり、車椅子と女性が一人いました。
車椅子は背中側しか見えていませんでしたが、どうやらさっちゃんが座っているようです。
車椅子の前に行き、さっちゃんの顔を覗き込みます。
「さっちゃん、僕だよ」
マスクをしたさっちゃんの眼が大きく見開いたように見えました。
僕の方を見つめて、言葉にはならない言葉を発しました。
僕はとても嬉しく感じました。
さっちゃんは表情をほとんど表現できませんし、言葉(音声)でも感情は伝わって来ません。
でも、僕と会った瞬間の眼と声は僕の姿を見た驚きと喜びだと僕には感じられました。
さっちゃんは僕のことを覚えてくれているだろうか?
認知症なんだから忘れていて当然だよな~ぁ。
そんな不安を抱いて、2ヶ月ぶりのさっちゃんとの対面に臨みました。
でも、覚えてくれていたようですし、僕の姿を見て喜んでくれていると思えましたから、それだけで僕は幸せでした。
もちろん、僕のそんな印象を裏付ける何の証拠もないのですけれどね。
さっちゃんといた女性は恐らくさっちゃんを担当してくださっている介護士さんの一人なんでしょうね。
彼女の指導で、車椅子からベッドへの移動、その逆も教えていただきました。
今年の初春に10日間だけ自宅にいた時に比べても、脚の力がほとんどなくなっているようです。
車椅子の前にいったん立って、それからベッドに座るのではなくて、抱えられるがままにベッドに移っています。
ベッドの上で体を横向きにする時、まずは膝を曲げてもらうのですが、脚に力が入って硬くて曲げてくれないことがあります。
そんな時は無理せず、力任せに曲げようとしてはいけないと教わりました。
ベッドの上での体の位置を上げたり下げたりの方法も教わりました。
どんな時でもそうですが、腰やお尻や肩など、頑丈な骨の部分を持って動かすのだそうです。
弱い場所を持って無理に動かすと、骨が簡単に折れてしまうのだそうです。
ここまでのことだけでも、たくさんのコツ(技術)があって、何度も実践して慣れていかないと簡単には習得できそうにありませんね。
今日は僕も少しは実践しましたけれど、初回でもありますし、ほとんどは見ているだけでした。
最後に、オムツ交換をしました。
これも細かなたくさんのコツがあって、何度も何度も実践しないとスムーズには出来るようになりませんね。
ちょっと捩れていたり、ぴったりフィットしていなかっただけで、皮膚に負担がかかったり、おしっこが外に漏れだしたりするのですから。
この時のさっちゃんは排便はありませんでしたし、排尿も多くなかったようです。
介護士さんも「排便があると、少し大変ですよ」とおっしゃっていました。
ここまでで小1時間、今日の介護トレーニングが終わりました。
▲16:21。最後にさっちゃんをカメラで撮らせてもらいました。ずっと入れ歯をしていませんから、口元はどうしても窪んでしまいます。立ったり座ったり、ベッドでは体を横にしたりとたくさんさっちゃんには動いてもらいましたから、さっちゃんも疲れたのでしょうね。写真を撮ろうとしたときは、眼をつむったままで、なかなか眼を開けてくれませんでした。僕が諦めたころに開けてくれました。でも、開け方が弱いですね。
さっちゃんもベッドもエレベーターで上の階へ帰って行きました。
エレベーターの扉が閉まるまで、僕はさっちゃんを見送りました。
来週の火曜日は僕自身の体調を万全にして臨まなければなりませんね。
介護は腰に負担のかかる動きが多いですから、今日のように腰が痛い状態は避けなければなりませんね。