年老いた母が、那須にある芦野温泉に行きたいと言っていると義妹から連絡がありました。これが最後のチャンスになるだろうと、弟夫婦と母と四人で二泊三日の予定で出かけること事になりました。
車にシルバーカーを積んでいったものの、自力ではお風呂まで歩くことも困難で、館内では車いすを借りての移動となりました。
お風呂上がりには「あ～いいお湯だった…」と言いながら、ほとんどウトウトしている状態でしたが、家族で来られた事がとても嬉しかったようです。耳も遠く、認知症も始まっているのでなかなか話がかみ合わず、意思の疎通も思うようにできませんでした。そんな中でも「みんなに迷惑かけて悪いね、ありがとう」と感謝の言葉を何度も繰り返し口にしていました。私も「誰もが通る道だからいいんだよ」と言うしか言葉が見つかりませんでした。
最終日には日塩もみじラインをドライブし、見事に色づいたモミジやイチョウを堪能してきました。この色鮮やかな風景が母の記憶の中でいつまでも生き続けてほしいと願いました。
事情があって今回の旅行に参加しなかった私の夫の事を、時どき思いだしたように気遣っていた母の言葉が心に残りました。
