月の裏側〜reprise〜

捻くれ者が音楽を語ったらどうにも収拾がつかなくなった件。マニアックな作品紹介と自分自身の音楽関係の思い出話を中心に。

NO.206 頭脳警察「聖ロック祭」

2023-10-22 00:30:01 | 頭脳警察、PANTA関連

そういえば、頭脳警察のこのライブ音源も50年経つんだなぁと思って、

今回はこの音源を取り上げました。

1973年10月20日に日比谷野音で行われた「聖ロック祭」。

この時の頭脳警察は、PANTAとトシに加えて

イベントでよく共演していた四人囃子をバックに従えて出演しました。

通称「頭脳囃子」。この時期は、NO.164で紹介していた時期の少し後で、

PANTA一人の時期からトシが再び合流していた時期ですね。

他のメンバーは安定していなかったようです。

 

頭脳警察と四人囃子のジョイントは話に聞いた事はあったですが、

音源は残っていないと思っていました。

それが2001年に発売されてビックリしました。

完全収録ではないようですが、それでも18曲あるので充分満足です。

音質もいいとは言えませんが、聴けないほどではないです。

 

リハーサルは不足しているとは思いますが、流石に実力のある四人囃子、

ロックしています。「仮面劇のヒーローを告訴しろ」収録の曲とかも

なかなか演奏される機会がないだけに貴重ですし、

当時はシングルのB面でしか聴けなかった「今日は別に変らない」の

ライブテイクもなかなか聴けないものです。

更に「前衛劇団モータープール」のようなフランク・ザッパを彷彿させるような

曲もこなせているのが凄いです。

頭脳警察は、キーボードのメンバーはいないので、それが加わるのも

新鮮な感じがしますね。

 

そして「ふざけるんじゃねえよ」や「銃をとれ」といった

ロックナンバーのカッコいい事。特に「銃をとれ」は、

個人的には、NO.2で紹介した三里塚の幻夜祭における演奏

(これは会場の雰囲気も含めての評価ですが) の次に気に入っています。

 

なお頭脳警察と四人囃子は、2002年にイベントでほぼ30年ぶりに

共演しています。アンコールで久々の「頭脳囃子」は興奮したなぁ。

もう2度と共演はないと思うと寂しいです。

 

仮面劇のヒーローを告訴しろ


NO.184 頭脳警察「悪たれ小僧」

2023-09-01 00:30:53 | 頭脳警察、PANTA関連

2023年9月1日は、PANTAのロック葬が行われます。

本来なら献花をしに行きたかったのですが、

どうしても休みの都合がつきませんでした。行きたかったなぁ。

 

PANTAが亡くなった日にも聴きましたが、70年代頭脳警察

最後のアルバム「悪たれ小僧」の最後の曲である「あばよ東京」、

自分にとっては別格扱いですね。改めて聴いていると凄い曲です。

 

 

頭脳警察でのライブでは生では聴けませんでしたが、

PANTAのソロライブでは一度だけ聴いたことはあります。

後半のインスト部分のエネルギーの凄まじさを感じます。

 

もちろん、この曲以外にもいい曲があります。

石井まさおさんと勝呂和夫さんが加わり、トシも復活して

歴代でもトップクラスの演奏が聴けます。

「戦慄のプレリュード」は今聴いてもカッコいいし、

「夜明けまで離さない」は聴き入ってしまいます。

 

 

 

タイトル曲の「悪たれ小僧」は、PANTAの変名バンドの名前にも

使われたことがあったりして、思い入れがある曲だと思います。

オリジナル盤ではアクネスチャンの名前も出てきますが、

最初のCD化の時は修正が入りました。ライブの時は、

そこの名前を変えて演奏されますね。

 

 

アルバムとしては、前2作と比べればまとまりがあるとは思います。

このまま活動が続けばよかったのですが、

残念ながら、この時点になっても革命3部作のイメージが付きまとい、

結局、一度頭脳警察の幕が下りることになります。

 


NO.175 PANTA、頭脳警察映像集番外編

2023-07-28 01:05:39 | 頭脳警察、PANTA関連

PANTAの献花式・ライブ葬の日程が決まったようです。

詳細は未定ですが、2023年9月1日(金)渋谷duo EXCHANGEです。

行きたいですけど、都合つくかなぁ。

休みが取れるか職場に確認したら、その日は人間ドックに行く人がいるから

休みは無理だと。ああ無情の世界。

 

気を取り直して、PANTA、頭脳警察関連の映像関係の番外編を集めてみました。

ゲスト出演のものを中心に集めてみましたが、意外なものがあったりしますね。

 

1.笑っていいとも出演

PANTAは、「笑っていいとも」の「テレフォンショッキング」に

2度ほど出演しています。こういったバラエティには慣れていないようで、

最初の出演時は初々しささえ感じます。ロッカーらしからぬ照れ屋な点とか。

 

 

2.コラボ・ラボ WITH大槻ケンヂ

PANTAと筋肉少女帯の関係は、内田雄一郎さんがPANTAのライブにゲスト参加

したりしたこともありました。大槻ケンヂさんはソロアルバムで

「屋根の上の猫」をカバーした事もありますね。

 

 

 

3.「小室等 新・音楽夜話」2017年8月19日 TOKYO MX

フォーク系との関りでのゲスト出演は珍しいかと。

 

 

4.Live at the Conference Room~PANTA特集 初回配信2020年7月24日

ラジオNIKKEIで公開されていたものです。

もしかしたら限定の再配信になるかもです。

 

 

5.ロックンロール酒場CH 

酒場にミュージシャンを呼び、ただひたすら

ロックンロール談義を繰り広げています。PANTAのゲスト会3回分です。

 

 

 

 

7.ラジオJAG vol.84「俺の脳ミソがロックにやられた瞬間」

仲野茂さん(EXアナーキー)との対談。仲野さんにとって、

頭脳警察の影響は大きかったようです。

 

 

 

8.Piggy 6 Oh! Oh! 「悪たれ小僧」

'96/12/30 日清パワーステーション The 忘年会 「真夜中の王国」

Piggy 6 Oh! Oh!:山本耀司さん、鈴木慶一さん、早川義夫さん、

あがた森魚さん、PANTA、真城めぐみさん。

たまたま見つけましたが、メンバーがなかなか凄いですね。

 

 

9.雨の化石 (マキシシングル)

PANTAの数少ないシングルより。

映画「天使に見捨てられた夜」の挿入歌。ボーナストラックで

ドアーズもカバーした「アラバマソング」も収録しています。

 

 

10.時代はサーカスの象にのって(マキシシングル)

詞は寺山修司さん。晩年になって歌う事が多かったですね。

 

 

11.響 「ライラのバラード」  

響のアルバム「オリーブの樹の下で」に収録。

日本赤軍のリーダーの重信房子さんと獄中からの書簡のやり取りを元に

PANTAが曲をつけたもので、PANTAにしか作れないだろう異色作です。

この曲は重信さんを弁護するために来日した、パレスチナ民族評議会で

活動するライラ・ハリドの半生を歌ったものです。

政治的な意図を考えず、「みんなの物語」として聴いてほしいです。

 

 

12.メルティングポット 「CACA」特典のDVDより

PANTA&HALの時期の未発表曲。ライブでは演奏されていましたが、

録音されたものはなかったです。

(後年になって大阪冬の陣のライブがCD化されて、そこには収録されました) 

これは未発表曲を集めて録音されたアルバムからです。

 

 

13.メルティングポット ラジオ音源(ニューサウンズスペシャル)

NHKFMで放送されたものですが、よく残っていましたね。

全編を聴いてみたいです。

 

 

14.あなただけを(詳細不明)

PANTAは、サイケの影響を受けていたようで、NO.128

「カバースペシャル」でもドアーズのカバーをしていますね。

これはジェファーソンエアプレインのカバーになります。

 

 

ボーナストラック ピーナッツバター 「気取り屋マリア」

PANTAは弘田三枝子さんのバックバンド的存在だったGSのモージョに

所属していたことは知られていますが、実は18歳の時に

ピーナッツバターというGS末期の時期にグループを結成して

大手芸能事務所と契約してデビューする話が進んでいたのは

知られていなかったです。その時の楽曲を新たに録音して、

CDまで発売して52年ぶりにデビューすることになるとは。

本人曰く、自分の人生、最大の真剣な遊び」だそうです。

(左のベースを持っているのがPANTAだそうです)

そして作られたのがこのMVです。敢えて何も言いません。

 

 

とりあえず、2回に分けて映像等を集めてみましたが、他にも

official PANTA頭脳警察に映像が色々ありますので、参照してください。


NO.171  追悼・PANTA,頭脳警察映像集

2023-07-19 00:39:20 | 頭脳警察、PANTA関連

PANTAが亡くなって10日以上たちました。未だに信じられないという気持ちと

現実を受け入れられないという感じがごっちゃになっています。

流石に日常生活に支障はないですが、ぽっかりと穴が開いた感じがします。

とりあえず、PANTA、頭脳警察の映像をまとめてみました。

まぁほぼ自分専用という感じですが。基本的に映像があるものを集めています。

なお近年のものに関しては、official PANTA頭脳警察に多数あるので、割愛です

 

1、頭脳警察「銃をとれ」日本幻夜祭

オリジナル頭脳警察に関しては、映像は殆ど残っていないです。

唯一と言っていいのは、71年に行われた三里塚幻夜祭の映像です。

8ミリで録画され、音声は後から被せてあります。

それでも当時の貴重なドキュメントになります。

それ以外の頭脳警察の映像は、ライブボックスに収録された

長野での映像くらいしか知りません。

 

 

2,PANTA「屋根の上の猫」 ニューイヤーロックフェス

PANTAに関しても映像は多くはないですが、内田裕也さんが主宰した

ニューイヤーロックフェスにはよく参加していましたので、

1曲ずつでインタビューも被さっていますが、映像が残っています。

 

 

3,PANTA「ステファンの六つ子」 ニューイヤーロックフェス

これもニューイヤーロックフェスの映像から。「ステファンの6つ子」は、

PANTA&HALのシングル「ルイーズ」のB面か, ライブアルバム「TKOナイトライト」

に収録のライブバージョンしか聴けなかった曲です。

PANTAの隠れたバラードの傑作ですね。

この時は、バイオリンに阿部美緒さんを加えたアコースティックバージョンです。

 

 

4,PANTA&HAL「つれなのふりや」 ファイティング80

PANTA&HALも映像は少ないですが、これは商品化もされた

「ファイティング80」に出演時のもの。

観客も熱狂しているいいライブです。

 

 

5,PANTA&HAL「臨時ニュース」

 80'ジャムジャム パイオニアスーパーロックフェス(80年7月26~7日開催)

画質は良くないですが、貴重な映像。よく残っていたなと思います。

 

 

6,PANTA&HAL「ルイーズ」

1980年末、大阪毎日ホール「冬の陣コンサート」

PANTA&HAL末期の貴重な映像。アルバム「1980X」から

シングル発売されたナンバーで、世界初の試験管ベイビーを歌ったもの。

なかなか攻撃的なナンバーですね。

 

 

7,PANTA「プラハからの手紙」 PANTA風雲録1986年12月14日

あまり映像の残っていない時期ですが、「クリスタルナハト」発売前に

演奏されていた貴重な映像です。

 

 

8,PANTA 「87,11,8 LIVE」

大手から出た数少ないライブビデオです。おそらくDVD化もされていないはず。

再発の可能性も極めて低いので、全編を載せておきます。

 

 

9,頭脳警察「アラブレッド~コミック雑誌なんか要らない」

 90、6,15 日清パワーステーション

極僅かな告知しかなかったにもかかわらず、あっという間に

ソールドアウトした伝説の90年代頭脳警察の復活ライブ。

その中の貴重な映像です。

 

 

10、頭脳警察「ブラッドブラッドブラッド」 「万物流転」より

これも大手から発売されたビデオより。

'90年11月11日、米軍朝霧基地跡にて行われたライブ。

この鬼気迫る演奏は凄いの一言。

 

 

11,頭脳警察「赤軍兵士の詩~暗闇の人生」

 90,11,12 同志社大学「超非国民集会」

前述のライブの翌日、世間では即位の礼が行われていた時、

頭脳警察は同志社大学へと行って「超非国民集会」に参加して

革命三部作を演奏していました。その時の貴重な映像。

映像からでもヤバい空気を感じます。

 

 

12,頭脳警察「世界革命戦争宣言~銃をとれ」

 90,11,12 同志社大学「超非国民集会」

 

 

13、PANTA&TOSHIwith安全囃子

「さようなら世界夫人よ~コミック雑誌なんか要らない」

2003年12月26日@高円寺「ShowBoat」with安全囃子

PANTA(Vo)/TOSHI(Perc) 森園勝敏(G)/坂下秀実(Keyb)/中村真一(B)/

岡井大二(Ds) 中村哲(Sax,Keyb)/日戸修平(G)

頭脳警察に四人囃子のメンバーが加わり、

更にあんぜんバンドの中村哲さんが参加という、何とも贅沢な組み合わせ。

中村さんのサックスがいい味出してます。

 

 

14,MOONRIDERS+PANTA 「くれない埠頭」

映画「マニアの受難」より

PANTAと鈴木慶一さんは、PANTA&HALのプロデュース以降も交流があります。

PKO(パンタ・ケイイチ・オーガニゼーション)というユニットで

ライブをやった事もありましたが映像は見つからず。

映画に出演した時のものがあったので掲載します。

 

 

15,PANTA "R☆E☆D" 2013年6月15日「大MAGROCK vol.6」

PANTAはかつてイカ天の審査員をしたこともありますが、

マルコシアスバンプには兼ねてから注目していたようです。

鈴木ユタカさんとの演奏はシンプルですが重みがあります。

30年以上前の曲ですが、「どこがジハード(聖戦)なんだよ」

という歌詞は、今でも重く響きます。

 

 

 

16、頭脳警察「7月のムスターファ」

イラク戦争後、指定手配されていたフセインの一族。

最後の一時間、アメリカと闘ったフセインの孫に当たる14歳の

ムスターファについて歌ったもの。PANTAにしか書けない曲だろう。

 

 

17,PANTA 2017年3月19日 神奈川県南足柄市足柄森林公園

時間的には決して長くないですが、まとまったライブ映像は貴重です。

 

 

18、響 「裸にされた街」 柏 Studio WUU、2012.6.22

響は、PANTAを長年サポートしてきた菊池琢己さんとのユニットです。

「裸にされた街」はPANTA&HALの名曲ですが、ここでは

アコースティックバージョンで演奏されます。

 

 

19, 渋さ知らズ大オーケストラ with PANTA

「さようなら世界夫人よ」2016.1.11 渋谷 O-EAST

頭脳警察屈指の名曲の一つであるこの曲が大きなスケールで演奏されます。

 

 

20,頭脳警察「万物流転(ロングバージョン)」

最後は、頭脳警察およびPANTAの永遠のテーマともいえる名曲です。

ライブで演奏された、途中の歌詞が長くなっているロングバージョンは、

残念ながら映像は見当たらなかったです。

「ああ、何にも変わらない」はPANTAの本質だったかもしれません。

 

 

とりあえず、見たいものはあげましたが、もう少ししたら、

対談とかの映像とか、「笑っていいとも」に出演した時の映像とか、

番外編みたいなものは作ろうかと。自分専用かな。

 


NO.164 頭脳警察「仮面劇のヒーローを告訴しろ」

2023-07-02 00:28:22 | 頭脳警察、PANTA関連

2023年6月3日、渋谷ラママで行われたイベントで

アンコールにて出演したPANTAの映像が公開されました。

今年になって危篤とさえ言われていた人が、半年も経たないで

ステージに上がるとは、驚異的な回復力かと。

しかも歌われたのは、「銃をとれ」と「ふざけるんじゃねぇよ」といった

ロックなナンバーです。如何にもPANTAらしいなぁ。

 

 

隣で演奏していたトシとも仲睦ましい様子を感じさせましたが、

一時期、PANTAとトシは別行動をとっていました。

「仮面劇のヒーローを告訴しろ」はそんな時期に作られたアルバムです。

このアルバムは1973年に発売されたもので、

(このアルバムも50周年ですね)当時、一時的に脱退していた

トシに代わってスタジオミュージシャンが参加しています。

(女性コーラスやオーケストラまで導入されています)

そのため、反体制的なメッセージやむき出しのサウンドとは違って、

ポップで洗練されたアレンジが特徴的です。

しかし、それでもパンタの個性は十分に発揮されており、

社会風刺や皮肉などが随所に見られます。

例えば、「イエス・マン」ではリーマンを揶揄し、

「仮面劇のヒーローを告訴しろ」では偽善者や権力者を批判し、

「間違いだらけの歌」では自分自身の立場や信念を問い直しています。

 

参加したスタジオミュージシャンは、ギターに水谷公生さん、

ベースに武部秀明さん、ドラムに田中清司さんです。

ちなみに、この3人が参加した他のミュージシャンの曲はこんな感じです。

 

 

 

やっぱり、当時売れっ子だけの事はありますね。

ただ、頭脳警察のイメージには、しっくりこない部分があるかと。

とはいえ、その中でも水谷公生さんのギターは

いい仕事をしていると思いますね。

(水谷さんに関しては、もう少し掘り下げて記事を作りたいです)

タイトル曲の「仮面劇のヒーローを告訴しろ」でのギターは印象的です。

(この曲はベルギーの画家のジェームス・アンソールの描く世界が

モチーフになっているとの事です。頭脳警察としては異質な作品ですね)

 

 

後は「間違いだらけの歌」とかは頭脳警察らしいナンバーで好きですね。

 

 

頭脳警察は過激だけではないと訴えようとしていたかもしれませんが、

実際に求められるのは過激な曲ばかり。

そういったイライラが積み重なって、数年後の解散に向かう事になります。