月の裏側〜reprise〜

捻くれ者が音楽を語ったらどうにも収拾がつかなくなった件。マニアックな作品紹介と自分自身の音楽関係の思い出話を中心に。

NO.261 イル・バレット・ディ・ブロンゾ 「YS」

2024-06-09 12:23:31 | ユーロプログレ

最近、別の所で文を書く事が多くなったので、こちらの更新が疎かに。

こんなんじゃダメなんですけどね。書きたいと思う気持ちはありますので。

今回は、その別の所での出来事から、久々にユーロロックについて書きますね。

本来なら、バンコとかニュートロルスの方を先に書くべきですが、

いきなりイタリアの暗黒面の強力なのを紹介する事に……。

 

1970年代のイタリアには、後にプログレッシブロックと

呼ばれるような音楽がゴロゴロとしていたんです。

そしてELPのレーベルであるマンティコアから、

PFMやバンコといったグループも英語圏でのデビューもしています。

実際、PFMは日本でも人気があり、70年代中ごろには来日公演もしています。

そしてメジャーではないところにも優れたグループが山程いたわけです。

それらは後に発掘されることになり、一部はとんでもない

プレミアが付く事になります。

 

今回の主役は、イタリアの暗黒面を代表するグループの一つ、

イル・バレット・ディ・ブロンゾです。ファーストはハードロック寄りですが、

ジャンニ・レオーネが加入してから発売されたアルバムが『YS』です。

(当時は『イプシロン・エッセ』とも呼ばれていたのですが、

ジャンニ・レオーネによりますと、「正しくは『イース』です」と

インタビューで強調していたようです)

 

おそらく1曲目の『Introduzione』の冒頭の女性コーラスを聴いただけで、

多くの人は逃げ出すでしょう。逆にホラーが好きな人は喜ぶでしょうが。

ただ後半のジャンニ・レオーネによるキーボードのテンションの高さは

突筆すべきかなと。フルボリュームで聴いたら、軽くトリップするかも。

 

 

勿論、1曲目だけでなく、全体的にダークな雰囲気を醸し出しています。

この手のタイプは人によっては毛嫌いすると思いますので、これくらいに。

もし気に入ったりしたのなら、YouTubeなりSpotify等で調べてみてください。

 

その後グループは解散するのですが、90年代以降に再結成をしていますね。

そして2002年にひっそりと来日公演をしているのです。

(9月14日の吉祥寺スターパインズカフェでのライブを見に行っています)

 

 


これは会場で発売されていた、この時限定の特製スリーブに

サインがしてあるものです。(中のCDは普通の輸入盤でしたが)

ユーロプログレ系のアーチストのサインは幾つか持っているのですが、

これはお気に入りのものです。あのジャンニ・レオーネのサインですので。

 

そして余談です。この伝説的なグループである

イル・バレット・ディ・ブロンゾですが、後にも何回か来日しています。

ジャンニ・レオーネだけでしたら、元ゴブリンの

クラウディオ・シモネッティと一緒に、日本のプログレグループである

アルスノヴァの特別編成のライブに参加もしています。

また、オザンナの来日公演の時にもゲストで参加しているそうですね。

そして2023年には新作を出していたのは知りませんでした……。

 


NO.141 カテリーナ・カセッリ「組曲・春」

2023-03-28 07:29:13 | ユーロプログレ

「モリコーネ」の映画を見た時、インタビューで

カテリーナ・カセッリの名前を見かけました。

自分が知っているのは歌手としてですが、音楽プロデューサーに

転身していたようです。未だ活躍しているとは知りませんでした。

 

という事で、自分が唯一持っているこのアルバムを引っ張り出してみました。

元々、60年代は元気のいい歌手だったらしいですが、

1974年に発売されたこのアルバムは、オーケストラをバックに、

しっとりとした歌声を聴かせてくれる好アルバムです。

発売当初は、元気がないという事で不評らしかったですが、

プログレマニアによって発掘され、今ではアリーチェの1stと並ぶ

女性ボーカルの名盤とされています。

 

アレンジャーのダニロ・ヴァオーナによる春の序曲から始まり、

同じ曲で締められる。タイトルのような組曲ではないですが、

優しい気持ちになる曲が揃っています。

2曲目の「ひとときの夢」なんてオーケストラとボーカルの

ハーモニーがたまらなく素晴らしく感じますね。

 

 

ボッティチェリの「PRIMAVERA」にインスパイアされたアルバムですが

(実際、ジャケにはボッティチェリの絵画が使われています)

それだけに捉われないイタリアの良さを感じさせるアルバムですね。

このようなアルバムがたくさんあった、70年代のイタリアは

凄いとしか言いようがないです。

今の時期には聴きたくなる、そんなアルバムです。

 


NO.108 PFM「ライブ・イン・ジャパン2002」

2022-12-08 00:10:49 | ユーロプログレ

最近、偶然手に入れたのがPFMの2002年の来日公演のDVD.

 

 

ライブと同じ日ではないですが、この再来日公演を見に行っています。

PFMの初来日は1975年。まだイタリアンロックは

殆ど知られていないこの時期に来日公演が行われていたという事は、

それだけ実力もあり注目もされていたのだろうと思われます。

プログレ色も強かったこの時期のライブを見れた人は幸せだったろうなぁ。

あれから27年。PFM結成30周年に合わせて奇跡の再来日が実現しました。

イタリアンロック史上、バンコと並んでトップクラスの実力を持つと

言われてきたPFM、初めて見たライブは、初期の名曲がてんこ盛りの

感涙もののライブでした。

「ハンスの馬車」、「人生は川のようなもの」、「何処で…何時…」、

「ミスター9時~5時」、「アルタローマ5時~9時」…。

そして「ウィリアムテル序曲」まで生で見れて本当に素晴らしい内容でした。

日本向けだろうと思われる70年代の曲がてんこ盛りの

セットリストに感激でした。

初めて聴いたPFMの曲でもある「セレブレーション」も演奏されて

嬉しかったのも思い出しました。

 

 

 

そしてCD版も久しぶりに聴いてみました。当日のライブがほぼ収録された

至高の一品。その後も何度か来日公演を行っていますが、

やはりこの時のライブが思い入れがありますね。

それにしても70年代のイタリアには、PFMやバンコ以外にも

素晴らしい演奏を聴かせてくれるグループが山程あります。

イタリアは底知れないなぁ。

 


NO.97 ウンベルト・バルサモ「ナタリー」

2022-10-24 22:31:58 | ユーロプログレ

日曜日に4回目のコロナの予防接種に行ってきました。

今回はオミクロン対応のファイザーでした。

これで絶対大丈夫とは言えませんが、ある程度の安心感はあります。

油断大敵ですけどね。幸いにして副作用は無く、発熱もありませんでした。

インフルエンザの流行との話もありますので、

その辺も注意していきたいと思います。

 

で、心を落ち着けたいと思い選んでみたのがこのアルバム。

オーケストラを使った楽曲というと、思い出すのが

ウンベルト・バルサモの「ナタリー」という曲です。

まだ学生だった頃、中古レコード屋で時々見かける

ユーロプログレのCD。当然ながら今のようにYoutubeで探す事も出来ず、

もちろん、iPhoneでsiriに尋ねることも出来ません。

CDの帯の文句とジャケットを見て直感でいいかどうかを

判断するしかなかったです。

まだ学生時代なのでお金もそれほどなく、失敗は許されませんでした。

そんな中、中古であるなかでどれがいいか迷っていたのですが、

これだと思ったのが「ナタリー」でした。

キングのユーロロックコレクションも色々あったのですが、

エジソンのヨーロピアンロックシリーズから選びました。

これが自分にとってのユーロロックの第一歩でした。

まだPFMもバンコもよくわからない時の事です。

 

ウンベルト・バルサモは、所謂カンタウトーレ

(シンガーソングライターの意味)で、プログレとは少々違うけど、

ヨーロッパでヒットした「ナタリー」に代表されるように、

哀愁を感じさせる愛の歌で心を打ちます。

オーケストラのアレンジは、ジャンピエロ・レヴェルべりで、

曲の良さを引き立てます。イタリアの曲は殆ど聴いたことなかったのですが、

初めて聴いたのがこのアルバムで正解だったと思います。

これでユーロプログレに興味を持ち、PFM、バンコ、ニュートロルズ等

と出会う事になりましたので。

 

 

そして「ナタリー」について調べていたら自分にとって驚愕の事実が。

何と西城秀樹さんが70年代にすでに「ナタリー」をカバーして

コンサートで演奏していたのです。それも数回やっています。

もちろんイタリア語ではなく日本語訳ですが。

それにしてもどこから情報を得てきたんでしょうね。

秀樹さんは、キングクリムゾンの「エピタフ」のカバーもしていますし、

ライブのカバーの選曲も興味深いので、

今更ながらライブアルバムを集めてみようかとも思っています。