月の裏側〜reprise〜

捻くれ者が音楽を語ったらどうにも収拾がつかなくなった件。マニアックな作品紹介と自分自身の音楽関係の思い出話を中心に。

NO.276 「1968京都フォーク・キャンプ」 

2024-08-22 08:26:20 | 日本のフォーク

加藤和彦さんのドキュメント映画「トノバン」は見れて良かったです。

ドキュメント映画にしては、上映館数も多かったみたいですし。

こんな感じの対談番組もYoutubeで見る事が出来ます。

 

 

自分自身、加藤さんの主要なアルバムを持っていなかったなと

今更ながら思いました。70年代初期のサディスティック・ミカ・バンド

以前のニューロックに近づいていた時期のアルバムである、

「ぼくのそばにおいでよ」とか「スーパー・ガス」も購入していなかったなと。

気が付いたら廃盤状態でしたし、再発にも気が付かない失態でした。

(後日、いつの間にかCDが入手可能になっていましたので、購入しましたが)

とりあえず、加藤さん関係で持っているのがあるかなと探してみたら

こういうのも持っていたなというのが出てきました。

 

 

「ロック画報16号」のフォーク・クルセイダーズ特集。

久しぶりに目を通してみました。一応、2000年代の復活フォークルまで

フォローはしてあります。そして1967年10月1日の京都府立勤労会館の

ライブ音源4曲の入ったサンプラーCDが付属してあります。

(時間的には短いですが)

それと関連メンバーのディスクガイドはありがたいです。ソロとかは

分からない部分も多いですしね。

 

そんな中で、更にこういうのも持っていたなぁと思ったのが、

「京都フォークキャンプ」の音源。加藤さん関連で紹介しようと思っていて、

どうまとめようかと思っていた時に、高石ともやさんの訃報がありました。

そんなこともあり、高石さんとフォークルも参加していた

1968年の第3回の関西フォークキャンプの音源を引っ張ってきました。

 

関西フォークキャンプは、1967年から69年にかけて

高石事務所と高石友也後援会が企画したイベントです。規模的には

大きくはないですが、(第1回、第2回は100人程度)

フォーク関連の重要な人物も参加しているため、貴重な音源ですね。

この第3回は、京都の古寺で3日間にわたり行われたものです。

貴重なのは、デビュー前の遠藤賢司さんが音源を残している事。

「ほんとだよ」は、シングル盤ともまた違うバージョンです。

高石さんはマルビナ・レイノルズのカバーと、

谷川俊太郎さんの詩に武満徹さんが曲を付けた「死んだ男の残したものは」

という曲が収録されています。

 

 

更に貴重なのはURCには参加する事のなかった南正人さんの音源が

収録されている事ですね。金延幸子さんのアルバム発売前の音源も貴重です。

杉田二郎さんと越智友嗣さんの即席デュオは、綺麗なコーラスが魅力です。

ここでは、「あなただけに」を演奏しています。

この二人は後に、はしだのりひことシューベルツに参加します。

高田渡さんは、ここで「自衛隊に入ろう」を歌って注目を浴びます。

 

 

フォーククルセダーズは、ジャックスのカバーである「からっぽの世界」、

寺山修司さんの詩の「戦争は知らない」、トラディショナルソングの

「きつねの唄」が収録されています。当時の異端児であるジャックスと

フォークルの交流は、似たような感性が呼び合った結果でしょうか。

 

からっぽの世界~戦争は知らない~きつねの唄

 

それ以外にも五つの赤い風船、西岡たかしさん関連の音源もあり、

フォークの貴重な歴史ですが、現在は入手困難です。

まともな形での再発を希望したいですね。


 

 


NO.266 加藤和彦「ぼくのそばにおいでよ+2」

2024-07-06 08:09:41 | 日本のフォーク

いつも拝見している某タワーレコードのオンラインショップ、

何気に加藤和彦さんを検索してみたら、何と前に見た時は品切れ状態だった

70年代初期のソロアルバム2枚が在庫ありになっていました。

サディスティック・ミカ・バンドの前の段階、加藤さんがニューロックへと

近づこうとしていた時期のアルバムですが、躊躇している間に入手困難と

なっていました。これは買わねばと思いました。

更にオンラインショップでは、ポイント15%が付くセール中でした。

これはラッキーですね。それにしても、映画公開の影響なのか、

それともタワーレコードの意見広告で加藤さんが起用された影響なのか。

再プレスされたのか在庫をかき集めたのかは知りませんが、

入手出来てラッキーでした。

 

 

まずは「ぼくのそばにおいでよ」ですが、加藤さんにとっては、

自分の出した要望が受け入れられず、更に勝手に曲順が変えられたり、

アルバムのタイトルが変更されたりと、非常に不満が残っていました。

そしてアルバムに「児雷也顛末記」なる抗議文が掲載されるという

事態になったりします。本来なら2枚組で「児雷也」というタイトルに

したかった事、「児雷也冒険譚」と「オロチマルの逆襲」という曲が

カットされた事、曲順が変更された事、意図しなかったシングル曲を

挿入された事、それらを販売会議で決められ、作者の同意はなかったと、

これらがすべて事実なら、文句も言いたくなるでしょうね。

確かに会社としてはレコードを売りたいですし、実際、加藤さんの出した

シングルは売れてなかったので、テコ入れはしたかったでしょうね。

 

とはいえ曲自体は、なかなか興味深いものもあります。

「9月はほうき星が流れる時」とか、加藤さん流の穏やかさを感じます。

 

 

また、ちょっと中華風のゆったりとした感じの曲も加藤さんらしいかなと。

 

 

本来の2枚組のものも聴いてみたいですが、もう叶わぬ夢ですね。


NO.240 桜三月散歩道

2024-03-08 01:00:20 | 日本のフォーク

50周年を迎えて聴く機会も増えた気がする井上陽水さんの「氷の世界」。

名曲が沢山ありますが、やはり春になると聴きたくなるのが、

「桜三月散歩道」ですね。

この曲の詞を書いているのが、赤塚不二夫さんのブレーンと言われた

パロディ漫画家の長谷邦夫さん。

この人の人生は、本当に色々な人との出会いがあります。

漫画家以外にも筒井康隆さんやタモリさん、山下洋輔さん、

異能と言われる方との交流があります。

そんな半生を綴った自伝が「桜三月散歩道」(水声社刊)で、

やっと納得出来る値段で購入することが出来ました。

(定価が高いので、古本でも安くは手に入れにくいのです)

400ページぐらいありますが、じっくり読みたいと思います。

 

その中の記述に、井上陽水さんとの出会いがあります。

まだ売れていなかった陽水さんに、赤塚さんが関わっている

「まんがNO.1」という雑誌の付録レコードで歌って欲しいと。

長谷さんの詞に陽水さんの曲を付けた「桜三月散歩道」。

「氷の世界」に収録されているものとは違うバージョンになります。

大きな違いは、途中の台詞部分をニャロメのうたを歌っていた

大野進さんがやっていること。台詞部分は長めとなっています。

元々大野さんは、当時の陽水さんの録音にも関わっていたといいます。

歌詞も「町へ行けば人が死ぬ」、「町へ行けば革命だ」

といった部分は変更されています。

 

 

購入した自伝は漫画家時代の話を読んでいますが、有名な方々との関りで、

非常に興味深いです。読み進めるのが楽しみです。

 


NO.238 遠藤賢司「猫が眠ってる」

2024-02-26 00:33:31 | 日本のフォーク

今回は少々、趣向を変えてみます。

最近、別の所で交流している人の話です。(ネット上ですが)

ふとしたきっかけで出会ったのですが、

自分も猫好きだと話したら、猫に関する話をするようになりました。

 

この人は、どこまでも猫が好きな人で、自ら保護猫たちと暮らしていること。

状態が悪く、手のかかる子ほど可愛いと、今一緒に暮らしている子たちへの

愛情がひしひしと感じられました。

とても感受性が豊かな方で、雑誌への詩の投稿が連続で採用されていたと

言っていましたね。目に映ったものしか書けない自分と比べて、

豊かな世界が見える人だろうなとは思います。

 

そんな中、猫の日に因んで、何か猫に関する曲はないかという話題になり、

思い浮かべようかと思っていたのですが、意外に出てきませんね。

とりあえず、PANTAの「屋根の上の猫」を上げてみました。

 

 

流石にロック過ぎたのか、反応はイマイチでした。

 

そうすると、キングクリムゾンの「キャットフード」もダメだろうなと。

ピート・シンフィールドのイカれた詞もだけど、

キース・テイペットのピアノがフリーキー過ぎるかな。

 

 

結局、これはというものが出なくて終了。新しめのアーチストの曲なら

少しはあるらしいけど、自分にはわからないかな。

 

そして後から思い出したのが、遠藤賢司さんの「猫が眠ってる」。

それも、加藤和彦さんや、西岡たかしさん、早川義夫さんが参加している

シングルバージョンがいいと思います。

まるでインド音楽を感じさせる、アシッドフォークの傑作とは思いますが。

まぁ聴かせたら、ドン引きされるかなぁと思ってはいますが。

 


NO.103 中津川フォークジャンボリー その2

2022-11-17 00:11:07 | 日本のフォーク

11月11日に中野サンプラザにて、ベルウッド50周年記念コンサートが

開催されました。あがた森魚さん、伊藤銀次さん、いとうたかおさん、

大塚まさじさん、小室等さん、鈴木慶一さん、武川雅寛さん、鈴木茂さん、

中川五郎さん、六文銭が出演し、ゲストで佐野史郎さん、なぎら健壱さん、

森山直太朗さんが参加、高田渡さんの息子の高田漣さんも

サポートで参加との事。ベルウッドに作品を残した人の中でも

大瀧詠一さん、高田渡さん、加川良さん、西岡恭蔵さん、山平和彦さん等が

鬼籍に入っており、高齢の方々ばかりとなっているため、

今後は集まってのイベントは無いと思われます。

セットリストはこちらですね。

 

ベルウッド・レコード 50周年記念コンサートのセットリストプレイリストが公開 – KING RECORDS TODAY

 

さて、という事で、ベルウッド関連の作品を選ぼうと思ったのですが、

自分はどちらかというとURC派なので、ベルウッドのものはあまり持っていません。

PANTAがはっぴいえんどをあまり好きでなかったようで、

(実際にはちょっとしたすれ違いに過ぎなかったのですが)

自分も当時は、はっぴいえんど関連は聴いていなかったですね。

で、持ってきたのが、ベルウッド設立に少なからず影響を与えたという、

中津川フォークジャンボリー。今回は、六文銭も参加している

1970年の第2回のキングレコード発売のものを選んでみました。

 

この年のものは、ビクターでも選曲違いで発売していますが、

バランス的にはキングのものがいいですね。代わりにビクター盤の方が

岡林信康さんや五つの赤い風船の曲が多めになっていますが…。

貴重なところでは、高田渡さん、加川良さん、岩井宏さんのトリオでの

演奏も収録されていますね。意外な人では、

数々のCMソングや「パタパタママ」で有名な、のこいのこさんが

出演した時のものが収録されています。

六文銭に関しては、「ゲンシバクダンの歌」と「カッパライの歌」が

後年の再発ではカットされています。まぁタイトルからして

規制が入ってもおかしくないですからね。

(オリジナル盤のCD化のものはそのまま収録されています。)

 

 

フォークジャンボリー音源に関しては、URCの販売権を東芝EMIが持っていた時、

なかなか貴重な音源を発掘していたりします。不定期で紹介出来ればと思います。

まぁそう言いながら、前回のNO.37から半年以上放置していましたが…。