月の裏側〜reprise〜

捻くれ者が音楽を語ったらどうにも収拾がつかなくなった件。マニアックな作品紹介と自分自身の音楽関係の思い出話を中心に。

NO.250 ELP「タルカス」

2024-04-25 00:14:53 | 英国のプログレ

恒例となりましたキリのいい番号での英国プログレ紹介。

今回はELPの名盤である「タルカス」です。

 

発売は1971年。プログレが普通に人気があったいい時代ですね。

フロイドの「原子心母」もそうですが、大曲と言われるものでも

普通に受け入れられたのは、この時代ならではかもしれませんね。

80年代くらいになると、コンパクトなヒット曲を求められるようになり、

当然ながら、殆どのプログレは残る事はなかったです。

またシンセサイザー等の急激な進歩は、職人のようなアーチストにしか

出せなかった音を簡単に出せるようになり、それもプログレには

悪影響だったとの見方もあります。時代の流れとはいえ、

ガチのプログレが見向きもされなくなるのは、仕方ないかもしれません。

 

そして「タルカス」ですが、アナログのA面を占めているのが

組曲「タルカス」。20分にもわたる大曲です。

怪物タルカスが、全てを破壊し海へと帰っていくストーリー。

途中戦うマンティコアは、後のELPのレーベル名にも使われます。

キース・エマーソンは、クラシックを学んでいただけあり、

その影響は強いものがあります。

「展覧会の絵」のロックアレンジは、ELPの人気に拍車をかけたものですね。

「タルカス」は、クラシック的な要素に、ロック的な激しい一面、

そしてバラードのような優しい部分も加わった傑作かと思います。

B面に関しては小品集といった感じです。やはりA面の圧倒的な存在感が

凄すぎて目立たないというか…。

 

 

ロック史においても、「タルカス」は重要なアルバムの1枚ですが、

NO.98でも紹介しているように、オーケストラのアレンジもされて

演奏されたりもしています。その時の演奏のコンサートマスターは、

NO.151で紹介しているモルゴーア・カルテットの荒井英治さんだとか。

モルゴーア・カルテットは、プログレの名曲のカバーは凄いです。

 

 

日本のプログレのグループも、「タルカス」のカバーをしていたりします。

ジェラルドとアルスノヴァの共同名義のアルバムの

「キーボード・トライアングル」、ここでアルスノヴァがカバーしています。

ボーカルがいないのでインストのみですが、オリジナルをリスペクトした

いいカバーだと思いますね。

 

 

 

 


NO.200 マイク・オールドフィールド「チューブラー・ベルズ」

2023-10-08 00:40:49 | 英国のプログレ

おかげさまでNO.200を迎えることが出来ました。

NO.100以降、恒例となりつつある節目でのプログレ名盤紹介。

発売50周年を迎えたこのアルバムについて書こうかなと。

 

マイク・オールドフィールドの代表的アルバムである

「チューブラー・ベルズ」。

すでに「チューブラー・ベルズ」の50周年記念盤は発売されています。

とんでもない値段がついているシロモノではないので、

いずれ購入は考えようかなと。(何時になるかはわかりませんが)

 

それよりも、特にチェックしてなかったのですが、

最近、この曲の一部が使用されている

映画「エクソシスト」の新作が公開されることを知りました。

今回の映画は、オリジナルの直接の続編という扱いのようで、

3部作の1作目という事になるのだとか。

全米公開は、10月13日の金曜日の予定でしたが、都合により

前倒しになるらしいです。日本では12月に公開予定との事。

ちなみに「エクソシスト」は、「オーメン」と並んで

自分が小さい時にTVで見て以来、トラウマとなっていますので、

予告編は掲載しません。気になる方はYoutubeとかで検索を。

 

「チューブラーベルズ」の冒頭部分が映画「エクソシスト」に使用されますが、

実はサントラは版権の関係で、マイクが関わっていない音源が使用されています。

更に日本で発売されたシングル盤は、これもまた

サントラとも違うバージョンですし、更に更にカバーバージョンも早くから

発売されていまして、もう何が何やら状態です。

 

サントラ盤

 

シングル盤

 

カバーバージョン(リチャード・ヘイマン楽団)

 

そしてオリジナルの「チューブラー・ベルズ」は、

マイク・オールドフィールドがほぼ一人で20種類以上の楽器を使い、

2000回以上と言われる程のダビングを繰り返し、

パート1、パート2を合わせて50分近い作品を作り上げています。

想像を絶するような作業ですね。

ちなみにこのアルバムは、ヴァージンレコード第1回目の新譜となっていて、

屋台骨を支える事となったのは有名な話です。

 

最初の部分こそ、冷たい感情を感じさせますが、

曲全体としては牧歌的なもので、ゆったりと、

時には感動的な流れとなっていますね。

 

後に「チューブラーベルズⅡ」、「チューブラーベルズⅢ」、

「ミレニアム・ベル」等、新作が作り続けられ、

マイク・オールドフィールドにとって、ライフワークスとなっています。

 

そしてこちらは、発売当時の貴重なライブ映像。

パート1を丸々演奏してちょっと長いですが。

 

 

オーケストラで演奏されているバージョンとかもありますので、

興味ある方は検索してみるのは如何でしょう?

でもプログレファン以外は長い曲は敬遠されるかなと。

 


NO.150 キング・クリムゾン「クリムゾンキングの宮殿」

2023-05-10 01:18:06 | 英国のプログレ

NO,137で紹介した「アナログレコードにまつわるエトセトラ」、

予定より遅れましたが、無事に手元に届き、少しづつ読んでいます。

 

 

かなりマニアックな部分も含むものですが、現物は一生見れないような

レア盤の写真とかも掲載されていて、これはこれで楽しめます。

そして最初の記事がキング・クリムゾンの「クリムゾンキングの宮殿」でした。

 

ピンク・フロイドの「狂気」と並んでプログレッシブロックの

最高峰と言われるだけの作品だけあって、自分でも思い入れのある1枚です。

そしてコアなファンが多い事もあり、色々な国で発売された盤の

細かい違いが研究されていたりもします。

その中でも英国オリジナル盤、通称ピンクiと言われるものは

数万円ぐらいするレア盤ですが、更にその中でもバリエーションが

ある事が書かれています。所謂、マトリックスの違いですが、

実はこれが違うと音質が違ったりするとの事です。

ここから先は、正にマニアの獣道というか修羅の道で、

ハマったら一生抜け出せないでしょう。

実は「クリムゾンキングの宮殿」のマトリクス1は、

もしかしたらボツになったものが誤って市場に出たものかもしれなくて、

確認された数は非常に少なく、7桁価格になるのだとか。

 

話を聞く分には面白いですが、まあ流石に

ディープなコレクターになるつもりはないので、

自分は買える範囲内で楽しみたいです。

「クリムゾンキングの宮殿」は、やはり楽曲が素晴らしいのです。

「21世紀のスキッツォイドマン」は、初めて聴いた時は

好きにはなれませんでした。それが何度も聴いているうちに

大好きになったのですね。ライブによって途中のインプロ部分が異なるのも

マニア心を擽ります。NO.118に記事があるので参考までに。

昔はドアーズの「ハートに火をつけて」やジミ・ヘンドリックスの

「紫の煙」は苦手でしたが、聴くうちに段々良さがわかってきた感じですね。

 

続く「風に語りて」は地味な曲かもしれませんが、

聴いていると味わいを感じますね。

A Young Person's Guide to King Crimsonというベスト盤に

収録されているジュディ・ダイブルが歌う別バージョンが

個人的には好きだったりしますが、Youtubeには残ってないようです。

代わりに彼女がソロアルバムで歌ったバージョンを掲載します。

 

 

そして名曲「エピタフ」ですね。メロトロンが印象的なこの曲を聴いて

キングクリムゾンに興味を持ったわけです。

そしてこの曲も色々な人がカバーしていますが、印象的なのは

ピーナッツと西城秀樹さんですね。

ピーナッツはコンサートで洋楽も色々カバーしていますが、

この曲とユーライアヒープの「対自核」は意外でしたね。

しかも自分色に染めてプログレ歌謡というべき曲になったのは凄いです。

 

 

そして西城秀樹さん。元々実力のある人ですが、この時のライブは

野外なのに豪雨という悪条件でしたが、雷鳴がする中で歌う姿は

迫力があります。後世に残るライブかと。

 

 

続くは「ムーンチャイルド」。最初の部分が印象的で、CMや映画にも

使われていた事もあります。インスト部分が前衛的なので、

この辺りは好みが分かれるかも。

ラストはタイトル曲の「クリムゾンキングの宮殿」。

「エピタフ」と似たタイプのドラマチックな曲です。

再現するのはなかなか難しい曲ですが、京大プログレ部が

アマチュアにしては頑張って演奏している映像があって

なかなかいい感じかと。

 

 

アナログだけでも語る事が多いですが、CDに関しても

バリエーションが色々ありますね。

タイトル画像に乗せているのは、所有している30周年記念エディションで、

日本盤のみゴールドCDでスリーブはエンボス紙を使ったものです。

更にディスクユニオンで購入した人には限定でロックエイジ帯の

レプリカが付いていたのですが、あっという間に無くなり、

かなりの数が海外に流れたとの事です。一時期、買取価格が

1万円になったとか。もちろんオリジナルのアナログ盤の

ロックエイジ帯はレアでかなりのレアものです。

 

更には40周年、50周年で限定バージョンも発売されています。

気が付いたら入手出来なくなっていましたが、50周年バージョンは

国内盤を買いたいなとは思っています。

なお2004年にマスターテープから作製のものが製品化されているので、

CDを購入するなら、こちらを選びたいですね。

それにしてもCDに関してもリマスターだリミックスだと

イマイチ理解していないので、その辺りも勉強しないとなぁ。

 

余談ですが、今になっても聞いたことのないものが出てくるので、

コレクター道は険しいなぁ。この映像を見て思いました。

 


NO.131 ピンクフロイド「狂気」50周年

2023-02-15 08:03:16 | 英国のプログレ

NO.100でも書いたのですが、ピンクフロイドの「狂気」が

発売50周年を迎えます。まぁ当然ながら、記念のアイテムが発売されますね。

 

まず日本限定企画がこちらですね。2023年4月19日発売予定です。

この手の独自企画は、なかなか承認されないものですが、

「原子心母」の箱根アフロディーテの

独自企画盤がフロイド側に気に入ってもらえたようで、

今回も実現することになりました。

SACD/CDマルチ・ハイブリッド盤の2021年マスターとの事ですが、

自分の所には通常のCDプレイヤーしかないから、宝の持ち腐れかな。

値段を吊り上げるオマケ類ですが、今回は1972年の来日公演に

関するものが中心ですね。

そして驚いたことに、NO.100で記事にした幻の歌詞カード、

これも復刻してオマケに付いています。う~ん、買おうか迷うなぁ。

値段が高いだけに、ちょっと手を出しにくいんですね。

東芝レコードクラブ盤の別ジャケを復刻してくれていたら迷ったかも。

 

それに先駆け3月24日には、輸入盤のみですが、BOXセットも発売されます。

詳しくは特設サイトにて。まぁ値段がいくらになるかわかりませんが、

ちょっと手が出ないなぁ。

ちなみに中身はこんな感じみたいです。

 

 

BOXに収録されている1974年のウェンブリーのライブ盤は、

単独でも発売されますので、これは購入するとは思います。

(日本盤CDと輸入盤国内仕様のLPが発売)

 

そして変わり種として、とんでもない洋書も発売予定です。

何でも、世界中の「狂気」のバリエーションをまとめたもので、

何と700種類にも及ぶのだとか。

ANY COLOUR YOU LIKE: THE DARK SIDE OF THE MOON ON VINYL

生涯をピンクフロイドの収集に費やしてきた人だそうで、

世界には凄い人もいるものだなと感心。

 

全体的に見てまぁ強気価格ですが、それでも買う人は多々いるでしょうね。

自分はもう余程のものでないと買えないかなぁ。

1972年の来日公演のいい音質のものが出たら買うかもですが、

そういうのはないだろうなぁ。

 

 


NO.100 ピンクフロイド「狂気」

2022-11-08 21:25:39 | 英国のプログレ

おかげさまでNO.100まで行くことが出来ました。

(NO.0があるので記事的には101になりますが)

記念すべきNO.100は、ブログのタイトルの元ネタになっている

ピンクフロイドの「狂気」です。

 

作品的には、自分がプログレを聴き始める切欠となった

「原子心母」の方が好きですが、

トータル的なアルバムの完成度から言えば、何といっても「狂気」ですね。

アビーロードスタジオで半年以上かけて製作、

200回以上のダビングを重ねてきたといいます。

エンジニアは、アラン・パーソンズ。サンプラーなどなかった時代、

アルバムの効果音を用意して編集していくのは、

かなり大変な作業だったと思われます。

 

ビートルズの「サージェントペパーズ~」と並ぶ

コンセプトアルバムの最高峰といえるアルバムで、

ビルボードのトップ200に700週以上ランクイン、

総売り上げは3000万枚とも5000万枚とも言われる

文字通りギネス級の売り上げを誇るアルバムです。

プログレは売れないと言われる中で、途方もない売上を誇るピンクフロイドは、

やはり別格の化け物と言える存在ですね。

 

内容に関しては、人生の暗部をテーマとしている部分がありますが、

聴きにくいという事もなく、寧ろ物語にスムースに入りやすいのではと

思えるくらいです。自分が好きなのは「US AND THEM」ですが、

内容的にはヘヴィーですね。

 

 

「狂気」が発売されたのは1973年ですが、

1972年ぐらいからライブで演奏されていて、1972年の来日公演では、

すでに演奏されていたようです。長時間にわたる当時未発表曲だった曲に

ライブを見に行った人は困惑したでしょうね。

実はその時の来日公演で、バンドからの強い希望で、

「狂気」の日本語訳を記載した歌詞カードが観客に配られたようです。

歌詞カードのタイトルは、月の裏側-もろもろの狂人達の為への作品-

この事実を知ったのはつい最近の事でした…。

 

「狂気」に関しては、アナログ時代から4チャンネル盤やプロユース盤、

ピクチャー盤等、色々種類がありますが、

CDに関しても20周年記念デラックスパッケージ(売り切れで買えなかった)

30周年記念盤、デラックスエディション等があります。

そして自分が運良く入手出来たCDが、ゴールドCDと並んでレアと思われる

モービルフィデリティ盤CDです。当時はディスクポート西武が

発売していたようで、定価はかなり高いですが、マスターテープを

忠実にデジタル化されているもので貴重ですね。

 

2023年は、「狂気」発売から50年になります。何らかのアクションは

あるでしょうね。楽しみ半分、怖さ半分です。