月の裏側〜reprise〜

捻くれ者が音楽を語ったらどうにも収拾がつかなくなった件。マニアックな作品紹介と自分自身の音楽関係の思い出話を中心に。

NO.153 虹伝説「虹を継ぐ覇者」

2023-05-26 07:50:28 | このカバーが凄い

このブログでは、シナモンバットボーイズといった

当時のアーチストが使っていた楽器まで入手して細かい部分まで再現ような

拘りを感じさせるカバーを紹介してきましたが、

今回は、兎に角レインボーに対する愛情が凄いと感じさせるアルバムです。

 

元々はRAINBOW伝説という、ライブハウスで年に1回ぐらいで結成される

お祭り的なユニットですが、アルバムを制作するにあたり、

最強クラスのメンバーが集まりました。

ヴォーカル:森川之雄(EXアンセム)

ギター:梶山章(EXプレシャス)

ドラムス:工藤義弘(EXアースシェイカー)

ベース:加瀬竜哉 (EX NAUTILUSS)

キーボード:永川敏郎(EXノヴェラ、アースシェイカー)

更にスペシャルゲストとして

ヴォーカル:ジョー・リン・ターナー

キーボード:デイヴィット・ローゼンタール の元レインボー勢、

それ以外にも内田雄一郎さん(EX筋肉少女帯)、

岡垣正志さん(EXテラローザ)も参加していますね。

収録曲もレインボーのベスト的な選曲で、どれも外せないものばかりです。

1曲目のOver The Rainbow~Kill The Kingの流れなど、

ライブのオープニングで流れていたOver The Rainbowをアレンジして

冒頭に繋げるのは憎い演出です。

 

 

グループの中心となっている梶山さんのギターは最初からエンジン全開だし、

森川さんのボーカルもオリジナルに引けを取っていません。

更に2曲目のSpotlight Kidに関しては、ジョー・リン・ターナーと

デイヴィット・ローゼンタールも参加している豪華版。

 

 

書いているときりがないですが、レインボーが好きすぎる人たちが

集まって出来た好企画盤と思っています。

ジョー・リン・ターナーも梶山さんや永川さんのプレイが気に入って

以後、来日公演のサポートメンバーを頼んでいるくらいです。

この曲のあの部分が違うとか言う人もいるかもしれませんが、

こういうアルバムは素直に楽しむのが一番だと思いますよ。


NO.152 J.A.シーザー「J.A.シーザーリサイタル 荒野より」

2023-05-19 00:31:56 | J.Aシーザー、天井桟敷関連

某ディスクユニオンのHPを見ていたら、万有引力のベスト盤CDが

久しぶりに発売されるとの記事を見つけました。

【予約情報】J.A.シーザーによる劇団“演劇実験室◎万有引力◎”のベスト盤CD第4弾がリリース決定

2014年から17年にかけて上演された演劇からのセレクトですが、

この時期は全く見に行くことが出来なかったので、「身毒丸」、「奴婢訓」、

「レミング」といった重要な演劇を生で見れてないんですよね。

劇中で使用された音楽だけでも聴きたいので、買うつもりです。

(なお、アジアンクラックの通販サイトではすでに購入可能です。

VOL5についてもすでに製作中だとか)

「身毒丸」についてはDVDを購入してますね。(NO.19参照) 

 

そういえば、シーザー関連の記事って暫く書いていないなぁと思っていたら、

前回書いたのが、もう1年以上前になるのですね。

という事で久しぶりにCDを探してみました。今回もライブ音源です。

前回紹介したNO.38のライブから4年後、場所は同じ新宿FACEでの

ライブ音源となります。2016年5月3日4日に行われたライブから

選ばれた37曲を収録した2枚組で、音質にも拘っているものです。

 

ライブ復活してからは、一つの合唱曲をメインテーマに

5~6部程度に構成され、最後にメインテーマの合唱曲を演奏して

終了するというパターンが定着した感じですね。

2012年は「山に上りて告げよ」、2013年は「大鳥の来る日」、

そして今回の2016年は、「荒野より」。

これは、「ある家族の血の起源」という1973年にイランで

初演が行われた演劇のラストに演奏された曲です。

 

第1部は「少女革命ウテナ」に使用された合唱曲から。

NO.20で紹介した劇場版の曲からの収録です。残念ながら、

声優の榊原ゆいさんがボーカルをとった曲はカットされています。

第2部は「ある家族の血の起源」に使用されている曲からセレクト。

演劇風の 演出だったとの事。

第3部はシーザー名曲集。ここでようやくシーザーの歌声が堪能出来ます。

日替わりで色々な曲を歌っています。

シーザー自身、歌はいい味を出しているのですが、

あまり歌いたがらないですね。何か勿体ないです。

「ソドムの杉天牛」とかカッコいい曲だと思いますよ。

 

 

第4部は「歌姫絶唱」。女性アーチストがシーザーの曲を歌っています。

第5部は「シーザー アラビア思ふ名曲集」。イラン公演前後に

作られた曲を中心に集められています。シルクロード、アラビアを思わせる

エキゾチックな曲ですね。

そして最後の第6部は「荒野より」。毎回ラストを飾る合唱曲は、

メインテーマになるだけのインパクトのある曲ですね。この曲も圧巻です。

 

聴く人を圧倒するような曲が多いので、確かに聴く人を選ぶかもしれませんが、

一度ハマったら迷宮から抜け出せなくなるような、

そんな魅力に溢れていると思っています。


NO.151 モルゴーア・クァルテット「21世紀の精神正常者たち」

2023-05-14 08:30:01 | このカバーが凄い

いかつい顔のジャケットが2回続けてですがご容赦を。

(ちなみにこのジャケットは、メンバーの顔パーツをCG処理して作ったのだとか)

手に入れたいと思いつつ買えていなかったアルバムですが、

これと次作の「原子心母の危機」を中古で入手出来ましたので紹介します。

 

モルゴーア・クァルテットは1992年に結成されています。

メンバーは

荒井英治さん(第一バイオリン) 東京フィルハーモニー交響楽団ソロコンサートマスター

戸澤哲夫さん(第二バイオリン) 東京シティフィルハーモニック管弦楽団コンサートマスター

小野富士さん(ヴィオラ) NHK交響楽団事績ヴィオラ奏者

藤森亮一さん(チェロ) NHK交響楽団首席チェロ奏者

で、正に超一流のメンバーですね。(発売時の解説より)

「21世紀の精神正常者たち」は2012年に発売された結成20周年の

記念盤と言えますね。

実力のある人達がお遊びではなく、真面目に本気で取り組んだ結果が

このアルバムになります。

 

1曲目はタイトル曲でもある「21世紀のスキッツォイドマン」。

これは、NO.118で紹介済みですね。

弦楽四重奏でよくこの疾走感を出せたと思います。

2曲目以降はジェネシスやイエス、ELP、ピンクフロイドのカバーになります。

そんな中、異彩を放つのは、メタリカの「メタル・マスター」ですね。

もちろん純粋なプログレではありませんが、プログレの遺伝子を感じると

いったところでしょうか。

 

 

フロイドの「マネー」も意外な選曲ですね。効果音を多用してますので、

合わないと思っていたのですが、なかなかうまくアレンジされています。

 

 

クリムゾンの1stから始まって最後を飾るのは、70年代の最後のアルバムの

最終曲である「STARLESS」。儚くも悲しいメロディから後半の爆発的な演奏まで

ロックを感じさせるのは驚きです。

 

 

余談ですが、NO.98で紹介しているクラシック版タルカスの吉松隆さんと

荒井英治さんがプログレ仲間のため、東フィルと組んで製作したのではとも

言われてますが、どうでしょうね?

 


NO.150 キング・クリムゾン「クリムゾンキングの宮殿」

2023-05-10 01:18:06 | 英国のプログレ

NO,137で紹介した「アナログレコードにまつわるエトセトラ」、

予定より遅れましたが、無事に手元に届き、少しづつ読んでいます。

 

 

かなりマニアックな部分も含むものですが、現物は一生見れないような

レア盤の写真とかも掲載されていて、これはこれで楽しめます。

そして最初の記事がキング・クリムゾンの「クリムゾンキングの宮殿」でした。

 

ピンク・フロイドの「狂気」と並んでプログレッシブロックの

最高峰と言われるだけの作品だけあって、自分でも思い入れのある1枚です。

そしてコアなファンが多い事もあり、色々な国で発売された盤の

細かい違いが研究されていたりもします。

その中でも英国オリジナル盤、通称ピンクiと言われるものは

数万円ぐらいするレア盤ですが、更にその中でもバリエーションが

ある事が書かれています。所謂、マトリックスの違いですが、

実はこれが違うと音質が違ったりするとの事です。

ここから先は、正にマニアの獣道というか修羅の道で、

ハマったら一生抜け出せないでしょう。

実は「クリムゾンキングの宮殿」のマトリクス1は、

もしかしたらボツになったものが誤って市場に出たものかもしれなくて、

確認された数は非常に少なく、7桁価格になるのだとか。

 

話を聞く分には面白いですが、まあ流石に

ディープなコレクターになるつもりはないので、

自分は買える範囲内で楽しみたいです。

「クリムゾンキングの宮殿」は、やはり楽曲が素晴らしいのです。

「21世紀のスキッツォイドマン」は、初めて聴いた時は

好きにはなれませんでした。それが何度も聴いているうちに

大好きになったのですね。ライブによって途中のインプロ部分が異なるのも

マニア心を擽ります。NO.118に記事があるので参考までに。

昔はドアーズの「ハートに火をつけて」やジミ・ヘンドリックスの

「紫の煙」は苦手でしたが、聴くうちに段々良さがわかってきた感じですね。

 

続く「風に語りて」は地味な曲かもしれませんが、

聴いていると味わいを感じますね。

A Young Person's Guide to King Crimsonというベスト盤に

収録されているジュディ・ダイブルが歌う別バージョンが

個人的には好きだったりしますが、Youtubeには残ってないようです。

代わりに彼女がソロアルバムで歌ったバージョンを掲載します。

 

 

そして名曲「エピタフ」ですね。メロトロンが印象的なこの曲を聴いて

キングクリムゾンに興味を持ったわけです。

そしてこの曲も色々な人がカバーしていますが、印象的なのは

ピーナッツと西城秀樹さんですね。

ピーナッツはコンサートで洋楽も色々カバーしていますが、

この曲とユーライアヒープの「対自核」は意外でしたね。

しかも自分色に染めてプログレ歌謡というべき曲になったのは凄いです。

 

 

そして西城秀樹さん。元々実力のある人ですが、この時のライブは

野外なのに豪雨という悪条件でしたが、雷鳴がする中で歌う姿は

迫力があります。後世に残るライブかと。

 

 

続くは「ムーンチャイルド」。最初の部分が印象的で、CMや映画にも

使われていた事もあります。インスト部分が前衛的なので、

この辺りは好みが分かれるかも。

ラストはタイトル曲の「クリムゾンキングの宮殿」。

「エピタフ」と似たタイプのドラマチックな曲です。

再現するのはなかなか難しい曲ですが、京大プログレ部が

アマチュアにしては頑張って演奏している映像があって

なかなかいい感じかと。

 

 

アナログだけでも語る事が多いですが、CDに関しても

バリエーションが色々ありますね。

タイトル画像に乗せているのは、所有している30周年記念エディションで、

日本盤のみゴールドCDでスリーブはエンボス紙を使ったものです。

更にディスクユニオンで購入した人には限定でロックエイジ帯の

レプリカが付いていたのですが、あっという間に無くなり、

かなりの数が海外に流れたとの事です。一時期、買取価格が

1万円になったとか。もちろんオリジナルのアナログ盤の

ロックエイジ帯はレアでかなりのレアものです。

 

更には40周年、50周年で限定バージョンも発売されています。

気が付いたら入手出来なくなっていましたが、50周年バージョンは

国内盤を買いたいなとは思っています。

なお2004年にマスターテープから作製のものが製品化されているので、

CDを購入するなら、こちらを選びたいですね。

それにしてもCDに関してもリマスターだリミックスだと

イマイチ理解していないので、その辺りも勉強しないとなぁ。

 

余談ですが、今になっても聞いたことのないものが出てくるので、

コレクター道は険しいなぁ。この映像を見て思いました。

 


NO.149 V.A「クラプトン、ベック、ペイジ・アンド・アザーズ」

2023-05-03 08:50:15 | 掘り出し物発見

ジェフ・ベックが亡くなった事もあり、レコード即売会ではベック関連の

レコードを探してみたわけです。初期のジェフベックグループの

日本盤の帯付きとかはかなりの高額でとても手が出ませんね。

自分が高校生ぐらいの時はまだそれ程高価ではなかった

ジェフ・ベック時代のヤードバーズのLPも結構な値段が付いていましたね。

 

今回は空振りかなと思っていたら、何だかトホホなイラストのジャケを発見。

エリック・クラプトン、ジェフ・ベック、ジミー・ペイジの

ヤードバーズ三羽カラスの音源を中心としたオムニバスのようです。

IMMEDIATEの表記と曲名から判断して、IMMEDIATEレコードから発売していた

「ブルースエニタイム」というオムニバスアルバムからの抜粋ではないかと。

調べてもわからなかったですが、日本独自企画かもしれません。

 

1970年には活動を停止していたIMMEDIATEレコードには、

ブルースをやりたくてヤードバーズを脱退した時期のエリック・クラプトンや

ジョン・メイオール、若くして亡くなったシリル・デイヴィス、

更にはジェフ・ベックやジミー・ペイジの興味深い録音が残されています。

このアルバムのA面には、エリック・クラプトンとジミー・ペイジの

共作ナンバーが中心に収録されています。

 

 

クラプトンとペイジの共作は珍しいのですが、インストのブルースナンバーになります。

言ってみれば、カカオ94%のチョコレートみたいなもので、

好きな人にとっては大好物ですが、普通の人にとっては苦みが強くて苦手な人が多いかも。

しかしながら、クラプトンとペイジのギターの共演が聴けますので貴重な音源です。

 

 

A面最後には、後にフリートウッドマックに参加するジェレミー・スペンサーの

ブルースピアノとボーカルが聴ける珍しいナンバーも収録されています。

 

B面は、カカオ72%ぐらいで少しはロック色のある曲が収録。

シリル・デイヴィス・オールスターズにゲストで参加したジェフ・ベックの

ギターが聴ける曲もあります。

ジェフ・ベックのボトルネック奏法もいいですが、

後にジェフベックグループにも参加するニッキー・ポプキンズの

ピアノが実にいい味を出しています。

 

 

最後には、エリック・クラプトンとジャック・ブルースが在籍していた

時期のジョン・メイオール&ブルースブレイカーズの演奏が収録されています。

特に「アイム・ユア・ウィッチドクター」はプロデュースをしているのが

ジミー・ペイジだったりします。

 

 

IMMEDIATEレコードに残されている音源は、「ブルースエニタイム」という

オムニバスに収録されてCD化もされていますが、現在は廃盤のようです。

この時期のミュージシャンがブルースを熱心に演奏してきた結果、

後のロックの人脈が出来たりして歴史的意義は大きいと思いますね。

CDも探してみようかな。