月の裏側〜reprise〜

捻くれ者が音楽を語ったらどうにも収拾がつかなくなった件。マニアックな作品紹介と自分自身の音楽関係の思い出話を中心に。

NO.141 カテリーナ・カセッリ「組曲・春」

2023-03-28 07:29:13 | ユーロプログレ

「モリコーネ」の映画を見た時、インタビューで

カテリーナ・カセッリの名前を見かけました。

自分が知っているのは歌手としてですが、音楽プロデューサーに

転身していたようです。未だ活躍しているとは知りませんでした。

 

という事で、自分が唯一持っているこのアルバムを引っ張り出してみました。

元々、60年代は元気のいい歌手だったらしいですが、

1974年に発売されたこのアルバムは、オーケストラをバックに、

しっとりとした歌声を聴かせてくれる好アルバムです。

発売当初は、元気がないという事で不評らしかったですが、

プログレマニアによって発掘され、今ではアリーチェの1stと並ぶ

女性ボーカルの名盤とされています。

 

アレンジャーのダニロ・ヴァオーナによる春の序曲から始まり、

同じ曲で締められる。タイトルのような組曲ではないですが、

優しい気持ちになる曲が揃っています。

2曲目の「ひとときの夢」なんてオーケストラとボーカルの

ハーモニーがたまらなく素晴らしく感じますね。

 

 

ボッティチェリの「PRIMAVERA」にインスパイアされたアルバムですが

(実際、ジャケにはボッティチェリの絵画が使われています)

それだけに捉われないイタリアの良さを感じさせるアルバムですね。

このようなアルバムがたくさんあった、70年代のイタリアは

凄いとしか言いようがないです。

今の時期には聴きたくなる、そんなアルバムです。

 


NO.140 燻裕理(ヒロシNA)さん死去

2023-03-26 07:41:40 | 墓碑銘

かなり危ない状態と聞いていたので、もう長くないと覚悟していましたが、

3月24日に燻裕理(ヒロシ他活動名多数)さんが永眠しました。

 

訃報 燻裕史さん死去

 

1973年頃に短期間ながら頭脳警察に参加(悲露詩名義)、

それ以後は裸のラリーズにベースで参加しています。

ラリーズの「77LIVE]には、彼の演奏が収録されています。

頭脳警察と裸のラリーズのメンバーだったのは彼だけです。

 

それ以外にも、だててんりゅう、二プリッツ、ポートカス等の

グループに参加、どこかゆるゆるしたような

独特な存在感を示していました。ご冥福をお祈りします。

 

 


NO.139 PANTA「走れ熱いなら」

2023-03-23 08:06:04 | 頭脳警察、PANTA関連

PANTAの公式HPにて、PANTAによるメッセージが公開されていました。

 

PANTAよりみなさんへメッセージ

 

やれ延命やらモルヒネやら酸素吸入器やら物騒な言葉が出てくるに、

かなり危険な状態だったと思われます。

流石にすぐに復帰は難しいですし、リハビリもこなさないといけないですね。

それでも気力が失っていない事は幸いだと思っています。

やはり体の中にあるロックな部分が大人しくさせてくれないんでしょうか。

 

そんな中で自分に思い浮かんだのが、PANTAのソロ2作目の

「走れ熱いなら」ですね。その中の1曲、

「やかましい俺のROCKめ」が頭の中に響きます。

 

 

このアルバムは、花之木哲(EX三文役者)さんとの共作が半分、

演奏のメンバーは、関西のブルース系の人脈から山岸潤史さんや

国府輝幸さん、更にロミー木下さんや鳴瀬喜博さん等の

セッションメンバーも参加しています。

ソロになってからどういう事をやろうかで、多少迷いを

感じさせられる部分がありますが、シングルカットされた

「あやつり人形」では、当時はあまり取り上げられなかった

レゲエにも挑戦したりしています。

結局、バンドの音が恋しくなって、その次は

PANTA&HALを結成することになりますが。

そして「最終指令自爆せよ」の作詞をした三原元さんとの共作

「人間もどき」は、頭脳警察時代に作られたナンバーで、

なかなかに過激な曲ですね。

曲の終わりの方のインプロでは、山岸潤史さんのギターと

国府輝幸さんのハモンドオルガンの演奏が素晴らしいです。

そしてこの曲の歌詞でPANTAにエールを送りたいです。

(自分の作品からというのも変な話ですが)

 

「このまま年をとるつもりかよ このまましわくちゃになるつもりかよ」

 

無茶を承知ですが、何かPANTAらしい事をやってほしい。

一ファンからの願いです。

 

 

 


NO.138 PANTA「PANTAX’S WORLD」

2023-03-17 00:16:12 | 頭脳警察、PANTA関連
久しぶりにPANTAの自伝「歴史からとびだせ」を読み返してみました。
 
JICC出版から出版されたこの書は、
 
PANTAが自分の事を赤裸々に語ったもので、なかなか読み応えがあります。

この本によりますと、自分自身と頭脳警察とのギャップが大きくなりすぎ、

結局、頭脳警察を解散する事を決意します。

で、頭脳警察の末期にはすでにソロ活動の準備をしていたようで、
 
なかなかしたたかだったりします。

キティレコードに誘われたりしていたらしいのですが、
 
ビクターが新しく発足する「フライングドッグ」というレーベルの第1弾にと
 
いう事で残留となりました。

PANTAは、この時色々とコンサート巡りをしていたようです。

この時の日本のロックが軟弱にしかみえなかった様で、
 
ソロは「KISS」のようなラブバラード路線を考えていたようですが、

路線を変更し、まるでナタで切ったようだと称されるような
 
ハードなアルバムとなりました。
 
 
何といっても、まず1曲目の「屋根の上の猫」が最高にカッコイイです。

PANTAのソロの曲では、1.2を争う名曲だと思っています。

相手との同化という究極の愛の姿の歌で、
 
聴く者を圧倒する激しいロックです。 

ライブで演奏された時のテンションの高さはハンパなかったです。

後に大槻ケンヂさんもカバーしています。

 

 
他にも「三文役者」や「ロックもどき」といった佳曲もありますが、

やはり圧巻は「マーラーズパーラー」。10分近い大作ですが、

意味のあるのかないのかわからない、一種の言葉遊びのような曲ですね。

意味があるようでないようで、もしかしたら深い意味があるかもだけど、
 
本当は全く意味がないのかもしれない。
 
まあそんな感じの単語の羅列が続きます。

ボブ・ディランの「ライク・ア・ローリングストーン」に近いものかも。
 
橋本治さんが「秘本世界生玉子」という本の中で
 
「PANTAX'S WORLD論」というのを発表していますが、

その中で「私説マーラーズ・パーラー」という事で語っていたりします。 

このアルバムでのアレンジは、ちょっとフォークっぽいものですが、

後にライブで演奏したロックバージョンはメリハリがあって、
 
こちらの方が好みです。
 
 

 

このアルバムの特徴は、多くの人が参加していて

分厚い音になっている事ですね。ソロデビュー前のチャー、

ウェストロードブルースバンドの塩次伸二さん、

サウストゥサウスの井上茂さん、元スモーキーメディスンの佐藤準さん、

元FTBの和田ジョージさん、

そしてメンフィスホーンズに対抗して作ったというパンタックスホーンズ。

総勢20人を超える人が参加しています。

(パンタックス・ホーンズに、後にライブで共演する事になる板谷博さんが

参加している事は、解説をみて知りました) 

ホーンセクションは今回限りですが、ロック路線は次作にも続きます。


NO.137 書籍予約中「アナログレコードにまつわるエトセトラ」

2023-03-13 00:15:29 | アラカルト

某ディスクユニオンのサイトにて興味深い記事を見つけました。

アナログレコードが再評価されている昨今、

アナログの深淵を指南する書籍が発売予定です。

書いているのは、ディスクユニオン新宿ロックレコードストア店の

店長である山中明さんです。

 

アナログレコードにまつわるエトセトラ

 

WEBサイト「mysoundマガジン」にて連載されていたコラム、

「レコにまつわるエトセトラ」に加筆修正と書き下ろし原稿を加えて、

書籍化したものになります。

ロックの名盤の各国盤の違いとかから、マトリックスについて等、

一般の人にはサッパリわからないかもしれないけれど、

興味持っている人には喰いつきそうな話題が満載かと思われます。

今更人には聞けないような事もあったりで、買ってみようかなと思います。

なおディスクユニオンで購入された人には、

別冊コラムのオマケが付くようです。

 

YoutubeやSpotifyを中心に音楽を聴いている人にとっては、

「だからどうした」と思われるでしょうけど、

嘗ては国によって収録曲が違ったり、バージョン違いだったり、

ジャケが独自のものだったりと、そういうものに

興味が出てくるんですよね。更にマニアになると、

オリジナル盤の最初期のものとかが音質が違うとか、

一生抜けられない沼にハマる事にもなりますが…。

 

広告に出ているジャケの画像を見ても、例えばレッドツェッペリンの

ファーストとかは、オリジナル盤の一部のものがロゴがターコイズブルー

だったり、日本盤の初回盤はジミー・ペイジ以外のメンバーの

名前と写真が一致していないとかありますね。

ヴェルヴェットアンダーグラウンド&ニコに関しては、

発売当時は殆ど評価されていなかったので、オリジナル盤はもちろん

レアですが、モノラルに関しては更に激レアになります。

また初期のものの裏ジャケに映っている人から訴えられそうになって、

最初期のものはそのまま、次の版はステッカーで隠され、それ以降は

完全に修正されたりしています。

その手の話は好きなので、こういうのはもっと読んでみたいですね。

まぁCDの時代になっても、ガンズ&ローゼスの

「アペタイト・フォー・ディストラクション」の再販の時、

発禁になったオリジナルジャケを使った時があり、かなりのレアもの

になっているって話もありますが。

 

なお、山中さんは同サイトにロックをテーマにした漫画も掲載していて、

所々のコマにネタを仕込んでいたりして、

マニアの人には思わずニッコリしてしまう場面もチラホラあったりします。

なお、ツェッペリンのネタに関しては第4話、

ヴェルヴェットアンダーグラウンドのネタに関しては第9話に

掲載されていますので参考までに。

 

レコードジャンキー富和 第4話

レコードジャンキー富和 第9話