月の裏側〜reprise〜

捻くれ者が音楽を語ったらどうにも収拾がつかなくなった件。マニアックな作品紹介と自分自身の音楽関係の思い出話を中心に。

NO.215 午前四時「LIVE BOOTLEG+8」

2023-12-01 00:20:46 | 日本のロック

このアルバムがボーナストラックを加えて再発されていたなんて知らなかった。

CD化されたのが25年ぐらい前、それから10年後に紙ジャケで再発されていて

今回入手したものだ。中古でも見なかったので、入手出来てラッキーだったかな。

 

午前四時は、1980年にわずか半年しか存在しなかった幻のグループ。

ギターの川田良さんは、後にフールスに参加することになる。

特徴的なボーカルの高橋均さんは、バンド脱退後は引退したらしい。

 

午前四時は、テクニック的にはずば抜けたものはないし、

ボーカルは一本調子だし、派手な部分はないけれど、

何故か聴き入ってしまうそんな音をしている。

このアルバムは、会場で安い機材で録音されたもので、

音質は最上のものではないけれど、その分、臨場感を感じられる。

 

 

 

ジャケットも何てことはない深夜の住宅街のモノクロ写真だけれど、

何故か心惹かれるものがあります。不思議ですね。

オリジナルは全6曲ですが、未発売のスタジオ録音が2曲、

未発表のライブが6曲ボーナスで追加されています。

ボーカルの高橋さんの最後のライブだとか。

 

そして新しいボーカルになったのは、何と灰野敬二さんでした。

午前四時と灰野敬二さん、凄い組み合わせです。

灰野さんがボーカルを務めたのはわずか数回だったみたいですが、

結局バンドは解散してしまいます。

灰野さんがいた時の音源もいつか発売してほしいですね。

 


NO.207 ジャックス「ジャックス・ラスト・ステージ」

2023-10-26 00:25:52 | 日本のロック

発売が予告されて、入手出来るのを楽しみにしていたCDが届きました。

NO.190で紹介した「ジャックス・ラスト・ステージ」です。

兎に角、存在しないと言われていた第1回フォークジャンボリー出演時の音源、

定本ジャックスにも存在しないと書かれていたので、

絶対ないと思われていただけに、これはどうしても聴きたかったです。

何より、ジャックス最後のライブですので。

 

このCDは2枚組で、1枚目は1969年8月10日の

中津川で行われた第1回フォークジャンボリーにおけるライブ音源。

音質は決していいとは言えませんが、充分聴けるクオリティです。

この時代は、まだカセットテープも一般的ではないと思われるので、

誰がどうやって録音したか気になる所です。

よく記録を残してくれたと思います。1曲「薔薇卍」が欠けていますが、

それ以外は収録されているのが嬉しいです。

解説によると、イベントは午後6時からアマチュアの演奏が続き、

プロの演奏が始まったのが午前0時過ぎ。

ジャックスの演奏は午前4時ぐらいだったと。

イベントの終盤は、「友よ」の大合唱が続いたとの事。

 

冒頭は高石ともやさんによるMCですが、解散に関する語りもあるのが

貴重です。その辺りもこの音源の価値を高めていると思います。

最初の「TO LOVE YOU」は、ライブ音源がないと言われていた曲で

大変貴重と思いますが、僅か17秒の曲だったりします。

それ以外にも休みの国の曲である「第五氷河期」もあったりします。

ラストライブとは言えない位の演奏が聴けて、

それだけでも買う価値はあったと思います。

 

2枚目は、1969年7月25日の第5回ジャックスショウの音源。

音質は更に良くないですが、今まで聴けなかった音源ですので、

気になりませんね。何といっても「堕天使ロック」が2回演奏されて

しかもレアな歌詞違いバージョンです。

「さあ兄弟 ゆこうぜ出発だ」と歌われますが、

新たな旅立ちを意味したのだろうか?

それ以外にも「ピコの唄」や「お前はひな菊」のライブバージョンは

珍しいかと。

 

兎に角、日本ロック史における重要なグループのラストライブなので、

よくぞ発売してくれたと思います。

 


NO.127 スピード・グルー&シンキ「EVE 前夜」

2023-02-03 00:41:34 | 日本のロック

陳信輝さんがソロアルバムの次に出したのがこれです。

一言で言ったら、日本人離れをしたセンスのグループ。

スピード・グルー&シンキは、そんな言葉が相応しいグループだと思いますね。

まあみんなハーフですので、反則と言えば反則ですが…。

メンバーは、ジョーイ・スミス、陳信輝さん、ルイズルイス加部さんです。

歴戦の兵が揃ったというか、これで悪いものは出来ないなとは思います。



ニューロックというか、ヘヴィブルースとでも言うべき重い音なのですが、

それがまた何ともいえないぐらいいいです。ルイズルイス加部氏のベースも

派手な演奏はないものの、しっかりした演奏を聴かせてくれます。

なにより、ジャケットからいっていいセンスをしていると思います。

別に派手な事はしていないのに、何故か印象によく残るデザイン。

タイプライターで打ったような表示もグットかなと。

 

とはいうものの、90年代にCD化されるまでは、

熱心なマニアしか知らないような知る人ぞ知るといったグループでした。

それでも早くから海外では、マニアの間では評価が高かったようですね。

ブートレグもどきのようなものも販売されていたようですし。

 

まあ確かに派手なところは少ないので

熱狂的に受け入れられる事はないでしょうけど、

1曲1曲がなかなかいい味を出していると思います。

 

 

NO.42でも発掘ライブの記事を書いていますが、日本のニューロックでは、

1~2を争うくらいのいいグループだと思いますね。

 


NO.124 TOO MUCH「TOO MUCH」

2023-01-25 00:07:06 | 日本のロック

ヘルプフルソウルのサイドギターだったジュニオ・ナカハラさんが

ジュニ・ラッシュと改名し、結成したのがトゥーマッチです。

ベースを担当していた青木正行さんは、後に外道に参加します。

そういった意味でも興味深いグループです。



内容的には、重厚感のあるロックといったところですが、殆どの曲が

オリジナルになります。

(1曲は、ボブ・ディランの「I SHALL BE RELEASED」のカバーです)

歌詞は英語でも日本人の歌うカタカナ英語で興ざめという事はないです。

というか、ジャケのセンスからいっても、かなりいいものがありますね。

当時発売された日本のアルバムと比べてみても垢抜けているというか…。

そしてこのアルバムの注目すべきところは、最後に富田勲さんが

ストリングスのアレンジをした大曲を演奏しているところですか。

フルートをフューチャーした曲で、どちらかというと

プログレファン向きかも。

 

 

じゃあそれ以外はダメかというと、

欧米のグループにもひけをとらないセンスの曲が揃っています。

一部でミッキー吉野さんが参加しているのもポイントが高いです。

 


残念ながら、トゥーマッチはこのアルバム1枚を残して解散。

一般には知られる事なく消えていきました。

知る人ぞ知るグループですが、なかなか聴く機会もないかなと。

この時期のワーナーパイオニアは、日本のロックに力を入れていたようで、

71年の柳田ヒロさんのアルバムの発売以降、

4月にフラワートラヴェリンバンドの「SATORI」、

6月にスピード、グルー&シンキの「EVE(前夜)、

そして7月にTOO MUCHの本作が発売されています。

日本のニューロックの最重要盤と言えるものが、こんな短期間に

発売されていたのは驚きです。

まあ残念ながら、その割には販売は厳しかったようです。

再販のCDの帯にも書いてありますが、ロックエイジ帯付きの

オリジナルアルバムは国宝級だと。これはチト大袈裟ですが、

現存数は2桁しかないとも言われており、

市場に出れば、50~60万ぐらいの値が付くとも。

 

ライブ活動は殆どイベント参加のようでしたが、

結成直後に野外イベントに出演した時の映像が、

「ツーマッチ~自由広場の若者たち~」というタイトルで

70年7月24日にNHKで放送されています。

2000年10月1日に「NHKアーカイヴス」で奇跡的に再放送されていますが、

その時は知らなかったので見れませんでした。もう次はないかなぁ。


NO.119 ヘルプフルソウル「ソウルの追求」

2023-01-12 08:21:39 | 日本のロック

紹介したパワーハウスやブルースクリエイションと同時期に

ジミ・ヘンドリックスやクリームに影響を受けたグループが

アルバムを発売しています。それがヘルプフルソウルです。

1969年はGSブームも下火となり、所謂ニューロックが

一部でもてはやされる事になっていました。

そんな中、比較的早い時期にこのアルバムが発売されています。

ジミ・ヘンドリックスやクリームのカバーが中心ですが、

オリジナル曲も2曲ほど収録されています。

(「ピース・フォー・フールス」にはアイアン・バタフライの

「ガダダヴィダ」っぽいフレーズが聴こえるのはご愛敬ですか)

残念ながらアルバム発売後、ギターのジュニオ・ナカハラさんが

アメリカへ留学。翌年には解散したと思われます。

 

 

その後、手塚治虫さんによる大人向けアニメである

「千夜一夜物語」のサントラに参加していて、

テーマ曲のシングルも出しています。

このサントラのアルバムは、アニメのサントラ史上、

最も見つけにくいものの一つではないかと思っています。

 

 

ちなみに「アルディンのテーマ」を歌っているチャールズ・チェーさんですが、

この仕事を切欠に、ルパン三世の1stシリーズの主題歌を担当する事に。

名前を変えて、チャーリー・コーセイ名義でのリリースになります。

 

 

 

ルパン三世といえば大野雄二さんの印象が強いですが、初代ルパン三世の

山下毅雄さんのものもクールでいいですね。

実は現在、DMM TVにて配信されている「ルパンゼロ」にアレンジバージョンが

使われています。ルパンの少年時代の話だそうです。

 

 

またしても横道にそれてしまいました。留学から帰国した

ジュニオ・ナカハラさんは、ジュニ・ラッシュと改名して

TOO MUCHを結成する事になります。