月の裏側〜reprise〜

捻くれ者が音楽を語ったらどうにも収拾がつかなくなった件。マニアックな作品紹介と自分自身の音楽関係の思い出話を中心に。

NO.252 私達が愛したホテルカリフォルニア

2024-04-29 00:24:03 | 音楽雑学

今年も昭和の日が来ました。去年は何をやっていたかというと、

有名な番組のBGMの元ネタについてでしたね。(NO.148

次はラジオ編にするとか書いていましたが、ちょっと予定を変更します。

 

NO.244でアルフィーと拓郎さんが歌う「ホテル・カリフォルニア」の

カバーを聴いて結構いいなと思い、他には何かないかと調べてみたら、

意外な人がカバーをしているのを見つけたので、今回のネタは

これにしました。NO.118以来の特集です。もうやらないと思っていましたが。

 

「ホテル・カリフォルニア」は、日本語訳でのカバーも多いので、

まずはこちらから。

 

1.タンポポ

なかにし礼さんによる訳詞になります。個人的には、非常に好きなデュオです。

NO.50NO.55 でも記事にしています。

この曲は、洋楽のカバーを中心としたアルバム「過ぎし日の想い出」

に収録されていますが、シングルのB面でも発売されています。

切なさを感じる歌は、また違った魅力があります。

CD化していないのが残念です。

 

 

2.田中星児

あの「ビューティフル・サンデー」で有名な田中星児さんが

この曲をカバーするとは夢にも思いませんでした。

 

 

3.サンタクララ

あまり詳しく知らないですが(「男と女」という曲くらいしか知らないです)

結構いい声していますね。

 

 

 

4.狩人

ちょっと意外なグループもカバーを。

コーラスには定評がありますので、悪くないですね。

 

 

5.キャンディーズ

更に意外なグループも。昔のアイドルって洋楽のカバーをしていますが、

意表を突かれたというか。水谷公生さん関係で注目はしましたが、

まさかこの曲を演奏していたとは。

 

 

6.ピンクレディ

さらに驚いたのは、ピンクレディまでもカバーしていたとは。

当時はアイドルは毛嫌いしていただけに、新たな発見ですね。

 

 

ここからは、英語詞で歌われるものを。

 

7.佐藤竹善

この人はまるで詳しくないですが、独自の編曲で歌われていて、

なかなか面白いですね。

 

8.Char・奥田民生・山崎まさよし(三人の侍)

 

実力者が集まっているユニットなので、間違いはないです。

途中でニヤリとするような歌詞で歌うのはご愛敬ですね。

 

 

9.前川清

これは全く予想外だったですね。あの前川さんもカバーしています。

しかも英語詞でいい声で歌っています。何も知らない人に聞かせたら

わからないのではないかと。

 

10.桑名正博&モト冬樹

「やまだかつてないTV」に出演時の映像だとか。

桑名さんは、ドアーズとかのカバーもよかったけど、

この曲も渋く歌っていますね。

 

11.TUBE

これもまた予想外のグループですね。夏に関係ない曲でも、

前田さんのボーカルはガツンときますね。

元々実力がある人なので、納得の出来かと。

 

 

そして海外のアーチストも

 

12.Don Felder Feat. Styx

ドン・フェルダーは、実は「ホテル・カリフォルニア」を作曲した人ですね。

イーグルス以外の演奏で。やはりギターソロは、この人がいいかなと。

 

 

13.ジプシーキングス

アレンジが大胆なのは、やはりこのグループ独特のものですね。

「マイウェイ」のカバーもそうですが、まるで自分たちの曲のような

感じになっています。

 

 

ボーナストラック ロックフジヤマ

嘗てテレビ東京系で放送されていた音楽番組「ロックフジヤマ」。

元メガデスのマーティ・フリードマンがホストを務めていますが、

見てみたら、なかなか面白いです。現在は、Youtubeチャンネルで

見る事が可能です。ゲストに野村義男さんを迎えての

「ホテル・カリフォルニア」のギタ-ソロの演奏は必見かなと。

(ROLLYも加わっています)

それ以外にも「UFO」のロックアレンジとかも聴きどころですね。

 

それ以外にも探せばあると思いますが、今回はここまで。

もう次は無いだろうなと思います。


NO.251 映画「モンタレー・ポップ」

2024-04-27 01:05:21 | 映画

ここ暫くの音楽映画三昧。見たいと思っていた「モントルー・ポップ」、

何とか上映期間内に間に合いました。

 

1969年のウッドストックの2年前、

モンタレー・ポップ・フェスティバルが開催されました。

この時期は、ビートルズの「サージェントペパーズ・ロンリーハーツ・クラブ・バンド」が発売されています。

今までシングルの寄せ集めだったアルバムですが、この「サージェント~」以降、

アルバムの曲目や曲順に大きな意味を持つようになります。

そしてモントルーのフェスですが、60年代終わりに相次いで亡くなる

ジミ・ヘンドリックスやジャニス・ジョプリン、

そしてオーティス・レディングが出演している重要なフェスとなっています。

 

この映画は、モンタレーのフェスの記録映画として製作されましたが、

日本では劇場公開はされず、今回、レストアされた4K・5.1CH版という

最良の状態での初公開となります。

兎に角、50年以上前の映像とは思えないほど画像が奇麗です。

まずそれに感動。ママス&パパス、キャンド・ヒート、

カントリー・ジョー&フィッシュといった

通は喜ぶようなグループも参加していますが、

やはりジャニス・ジョプリンの熱唱は心を打ちます。

 

 

最初見た時に「え?」と思ったのが、エリック・バードン&アニマルズの

「黒くぬれ」ローリングストーンズのカバーですが、

冒頭のバイオリンから圧倒されました。こんなにカッコいいグループだっけ?

 

 

そしてジミヘン以外にもギターを破壊していたのがTHE WHO。

最後にはドラムセットも倒されて、収拾がつかない状態に。

でも「マイ・ジェネレーション」はカッコいいです。

 

 

そしてモンタレーと言えば、ジミ・ヘンドリックスの演奏。

「ワイルドシング」は、映画「メジャーリーガー」でカバーされ、

今も聴く機会が多い曲ですが、ジミ・ヘンドリックスもカバーしています。

この時の演奏は、ギターを背中にまわして演奏したり、

マイクスタンドにギターを擦り付けたり、そして最後にはギターに火をつけて

更には破壊するというパフォーマンスを見せています。

今やったら、即退場でしょうね。

 

 

そして映画の最後を飾ったのは、意外にもラビ・シャンカール。

当時のサイケデリックカルチャー全盛期には、

インドの音楽は神秘的と感じられウケていたのでしょう。

まさか20分近くの演奏が流れるとは思っていませんでした。

今は聴く機会が少ないので、シタールやタブラ(太鼓)

に触れられるいい機会だったと。

因みに、ノラ・ジョーンズは、彼の娘だと初めて知りました。

 

 

全体的に編集が雑で

観客や周りの様子の割合が多いのが気になりましたが、

当時のファッションとかも見ることが出来て、

それはそれでよかったのだと思いますね。うん、見れて良かったです。


NO.250 ELP「タルカス」

2024-04-25 00:14:53 | 英国のプログレ

恒例となりましたキリのいい番号での英国プログレ紹介。

今回はELPの名盤である「タルカス」です。

 

発売は1971年。プログレが普通に人気があったいい時代ですね。

フロイドの「原子心母」もそうですが、大曲と言われるものでも

普通に受け入れられたのは、この時代ならではかもしれませんね。

80年代くらいになると、コンパクトなヒット曲を求められるようになり、

当然ながら、殆どのプログレは残る事はなかったです。

またシンセサイザー等の急激な進歩は、職人のようなアーチストにしか

出せなかった音を簡単に出せるようになり、それもプログレには

悪影響だったとの見方もあります。時代の流れとはいえ、

ガチのプログレが見向きもされなくなるのは、仕方ないかもしれません。

 

そして「タルカス」ですが、アナログのA面を占めているのが

組曲「タルカス」。20分にもわたる大曲です。

怪物タルカスが、全てを破壊し海へと帰っていくストーリー。

途中戦うマンティコアは、後のELPのレーベル名にも使われます。

キース・エマーソンは、クラシックを学んでいただけあり、

その影響は強いものがあります。

「展覧会の絵」のロックアレンジは、ELPの人気に拍車をかけたものですね。

「タルカス」は、クラシック的な要素に、ロック的な激しい一面、

そしてバラードのような優しい部分も加わった傑作かと思います。

B面に関しては小品集といった感じです。やはりA面の圧倒的な存在感が

凄すぎて目立たないというか…。

 

 

ロック史においても、「タルカス」は重要なアルバムの1枚ですが、

NO.98でも紹介しているように、オーケストラのアレンジもされて

演奏されたりもしています。その時の演奏のコンサートマスターは、

NO.151で紹介しているモルゴーア・カルテットの荒井英治さんだとか。

モルゴーア・カルテットは、プログレの名曲のカバーは凄いです。

 

 

日本のプログレのグループも、「タルカス」のカバーをしていたりします。

ジェラルドとアルスノヴァの共同名義のアルバムの

「キーボード・トライアングル」、ここでアルスノヴァがカバーしています。

ボーカルがいないのでインストのみですが、オリジナルをリスペクトした

いいカバーだと思いますね。

 

 

 

 


NO.249 NOIZ「NOIZ」

2024-04-21 00:14:32 | 隠れた名曲

自分が好んで購入する日本の王道的ロックのCDは、

殆どが60年代、70年代のものですね。80年代以降は少なめです。

(例外はミッシェルガン・エレファントとか)

数少ない80年代のCDが「NOIZ」唯一のアルバムです。

 

NOIZは、カルメンマキ&OZに参加している春日博文さんや

川上茂幸さん(シゲ)が中心になって結成されたグループです。

そしてボーカルは、後にVOWWOWに参加する人見元基さんです。

ドラムの火乃玉男さんは、日本のプログレバンドのスペースサーカスの

小川宣一さんという事です。

そんなメンバーで1983年に唯一のアルバムを発売しています。

 

ジャケットがダサい感じなので、今まで躊躇していましたが、

やはりメンバー的にも気になるので購入しました。

ゲストも忌野清志郎さん、仲井戸麗市さん(チャボ)と豪華。

更に上田正樹さん、金子マリさん、厚見玲衣さんの名前も。

 

曲としては、結構ハードになりますね。人見さんのボーカルが迫力あります。

 

 

もちろん、ブルースっぽい感じのスローな曲も。テンポは遅くても

迫力は変わらずです。

 

 

VOWWOWを期待すると肩透かしを食うかもしれませんが、

これはこれでいいのではないかと思います。

人見さんのボーカル、やっぱ凄いですね。


NO.248 映画「リトル・リチャード アイ・アム・エブリシング」

2024-04-16 01:12:35 | 映画

今週も気になる映画を見る為に地元の映画館へ。

今回、見に行ったのは「リトル・リチャード アイ・アム・エブリシング」

上映が終了している所も多い中、ようやく地元で公開されました。

 

「シャラップ」と言っても許される唯一のアーチストである

リトル・リチャードは、チャック・ベリー、ファッツ・ドミノ、

ボ・ディドリー等と並んで、ロックの土台を築いた偉大なるオリジンです。

「トゥッティ・フルッティ」、「のっぽのサリー」、

「グット・ゴリー・ミス・モリー」、「ルシール」といった曲は、

オールデイズを聴いてきた人なら、間違いなく知っている曲ばかりです。

迫力を感じさせる歌い方に、叩きつけるようなピアノの演奏、

更にピアノの上に乗ったりする破天荒なパフォーマンス、

これらは後のロッカーにも大きな影響を与えています。

例えば『のっぽのサリー』。

デビュー前のビートルズの共演した時もあり、確実に

ポール・マッカートニーは影響を受けていますね。

 

 

 

インタビューが中心かと思っていましたが、予想以上に本人による

コメントが多かったです。しかしながら、

やはりリチャードが黒人であるという事、更に早くから自分がゲイである事を

公表しており、差別的な扱いを受け続けていたのは、想像に難くないです。

それでも時には叫び、時には化粧をし、ユーモア溢れる言動を続けていきます。

この映画は、彼がクイア・カルチャーの先駆者だった事について

多くを割いています。当時は異性装や同性愛は違法だった時代、

そんな中で堂々と活動するのは、何とロックな生き方だろうかと。

 

しかしながら、この生き方は自分自身を縛り付け苦しんでいく事にもなり、

人気絶頂期に一度引退し、信仰の道へと歩むことになり、

信仰上、同性愛は否定することになります。

そしてゴスペルに転向したかと思えば、またロックへと戻って来る。

『自分がロックの創設者だ』みたいなビックマウス、更に薬物への依存。

正当な印税が支払われなかったのではないかという発言等、

その一貫性のなさは、なかなか説明するのは難しいです。

 

デビューして半世紀、グラミー賞にも縁がなかったリチャードですが、

第24回アメリカンミュージックアワードでようやく功労賞を受賞。

長年の功績がようやく認められたのは感動的なシーンでした。

 

 

この時はもう還暦をとっくに過ぎているのに、

このあり余るパワーは何なんでしょうね?流石レジェンドというべきか。

思っていたようなドキュメンタリーとは違いましたが、

別の意味で見応えのある映画でしたね。