NO.219で、ちあきなおみさんの「ルージュ」について書いてから、もう1年以上経ってしまいました。
「あまぐも」について書くという予告はしましたが、どのようにまとめるか悩んでいるうちに、時間が経ってしまったわけです。
「ルージュ」は、中島みゆきさんや井上陽水さんといったニューミュージック系の人の作品を多く取り上げた異色作ですが、
「あまぐも」は更に異色の作品となります。A面は河島英五さん、B面は友川かずきさんの作品を取り上げています。
ジャケットはビル・エヴァンスの名盤『Waltz for Debby』のオマージュです。
そして演奏は、ゴダイゴのメンバーが参加しているというから、何とも豪華なものです。これなら名作となる事を約束されたように思えますが、
実際には、ちょっと不満が残る部分があったりします。編曲がスタイリッシュ過ぎる感があるからです。
A面の河島英五さんも、アクが強いアーチストですが、出来としては悪くないとは思います。シングルカットされたタイトル曲の「あまぐも」も
洗練された感じがいい方向に出ているとは思います。ただ、アルバムバージョンは少し大人し過ぎるかなとは思ったりもします。
シングルバージョンは、こちらになります。
因みに、河島英五さんのバージョンはこちらになります。
問題は、B面の友川かずきさんの作品ですね。友川さんの強烈なアクの部分が生かされていない感があります。
普通の曲として聴けば、決して悪くはないとは思いますが、やはり友川さん独特の個性が感じられないのがどうかなと思ってしまいます。
特にその点が顕著なのが、『夜へ急ぐ人』ですね。大人しく抑えたアレンジが勿体ないと思います。
この曲もシングルで発売されていて別バージョンですが、まだ抑えられている感じですね。
因みに友川かずきさんによる歌唱はこんな感じです。やはり迫力が違います。
結局、行きついたのは、当時ちあきさんがテレビに出演している時の映像でした。山川アナが「気持ち悪い歌ですね」と思わず言ってしまった
紅白歌合戦の時の映像は今は見れませんが、1977年のNHKの番組に出演時の映像のインパクトは凄かったです。これが求めていたものだと。
ちあきさんの表情も迫力があり、レコードのものとは別物です。
これを聴いてしまうと、アルバムも全てこの路線で聴きたかったと思ってしまいます。そういった点から、非常に評価がしにくいアルバムだと思います。
余談ですが、近年NHKBSにて、ちあきさんの特番が放送されましたが、改めてちあきさんの実力の凄さを感じさせられました。
(『夜へ急ぐ人』も放送されたのは嬉しかったですね)
後年、ポルトガルの歌謡曲であるファドを歌ったものもありますが、圧倒されるような歌唱は、もっと再評価されるべきかと。
2024年には、デビュー55周年という事でシングルを含めた配信もされていますので、チェックしたい所です。