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月の裏側〜reprise〜

捻くれ者が音楽を語ったらどうにも収拾がつかなくなった件。マニアックな作品紹介と自分自身の音楽関係の思い出話を中心に。

NO.305 映画「ヒプノシス レコードジャケットの美学」

2025-04-01 08:44:54 | 映画

古のロックが好きなものにとって、レコードジャケットは重要なもので、その中でも最重要と言えるアーチスト集団がヒプノシスです。

ヒプノシスの名前は知らなくても、例えば、ピンクフロイドの「原子心母」、「狂気」、「炎」といったジャケット、

或いは、レッドツェッペリンの「聖なる館」や「プレゼンス」、またはウィングスの「バンド・オン・ザ・ラン」、

Tレックスの「電気の武者」といった有名なジャケットは見た事があるはずです。それらは全て、ヒプノシスの仕事です。

この映画は、各アルバムの製作エピソードを交えたりしながら、アーチストのインタビューを通じてヒプノシスの歴史を振り返っています。

 

ヒプノシス結成のきっかけにピンクフロイドがある為に、話の中心はピンクフロイドとなっています。ピンクフロイドのジャケットは、

意味がわからないけれどインパクトが抜群だというものが多いので、その辺りの話は興味深いです。

特に「原子心母」の牛のジャケットは、何だかわからないけれど、人を引き付けるものがありますね。

深い意味があるのだと長年思っていましたが、単に牧場で牛の写真を撮って使っただけとの発言には、軽く眩暈を感じたほどです。

当時は、タイトルもグループ名も書かれていないジャケットに、レコード会社は流石に反発したようでした。

「狂気」に関しても、何故にピラミッドと光のプリズムなのか?わからないけれど、確実に印象に残ります。

そして「炎」は、実際に人に火をつけて撮影したとのエピソードには驚愕したりと。

また「アニマルズ」の撮影は、実際に豚の巨大な風船を飛ばしたけど、失敗して合成で済ますことになったとか。

 

レッドツェッペリンに関しては、やはり「聖なる館」に苦心したのだと。最初は、裸の女の子に色を塗って撮影していたのが上手くいかず、

結局、コラージュみたいな作品となりましたが、ジミー・ペイジには完全には満足してもらえなかったとか。

それでも以後の作品のデザインを頼んでいるので、それだけ評価しているんでしょうね。

余談ですが、ジャケのモデルとなった女の子の一人のサマンサ・ゲイツは、沢渡朔さんによる写真集「少女アリス」のモデルになっていたと

後から知りました。

 

他にも色々なジャケットの制作秘話が聞けるので、70年代のロックが好きな人には見てもらいたいなとは思っています。

ただ、往年のアーチストの現在のインタビューですので、こんなに年を取ってしまったのかと、別の意味でショックを受けるかもしれませんが。

 

ヒプノシスのジャケットを紹介しているものがあったので、載せておきます。本当に名盤が多いですね。

 

 

 


NO.302 映画「名もなき者」

2025-03-20 23:35:58 | 映画

先月から今月にかけて、音楽関係の映画を何本も見る事になっていますが、これもその中の1本です。

いつ公開されるかなと思っていたら、いつの間にか公開されていて、慌てて都合をつけて見に行きました。

自分にとっては、意外とボブ・ディランを聴いてはいなかったので、勉強のつもりで見に行きましたが、

思っていた以上に、見応えがある映画でした。

 

ボブ・ディランが登場する頃のフォークは、プロテストソングとしての形で広まっていました。

映画に登場するウディ・ガスリーも「我が祖国」ぐらいしか知りませんが、時事問題を扱った歌を歌ってきたのだとか。

初期のボブ・ディランを支えてきたピート・シーガーも、当局にマークされたりもしたようですね。

そしてジョーン・バエズとの出会いとシルヴィ・ルッソ(映画での役名。モデルとなったのは、『フリーホイーリン』のジャケットで有名なスージー・ロトロ)

との複雑な関係の事も描きつつ、ロックへの転換期となる「ライク・ア・ローリングストーン」の辺りまでの物語となります。

 

注目すべきは、主演のティモシー・シャラメ以下、吹替なしで演奏されている事ですね。パンフレットによると、シャラメは、

5年程かけて特訓してきたのだとか。バエズ役のモニカ・バルバロも、未経験からよくぞここまでのレベルに達したのだと思います。

役者というものは、ここまで役に没頭しなければならないのかと。尊敬に値しますね。映画では、かなりの時間の演奏シーンがありますが、

それだけ自信を持って勧められるレベルになっているんでしょうね。ボブ・ディランに興味があるのでしたら、見る価値があるかなと。

 

 

 


NO.301 映画「MR. JIMMY レッド・ツェッペリンに全てを捧げた男」

2025-03-14 12:34:11 | 映画

NO.283でも紹介しましたが、やっと地元にもやって来たので見る事が出来ました。

レッド・ツェッペリンに魅せられて生涯をかけて追い続ける男のドキュメントです。

ジミー桜井さんの病的なまでの拘りを、このドキュメント映画では描いています。

 

自分は、レッド・ツェッペリンのトリビュートバンドは、NO.60で紹介したシナモンというバンドが好きで何度もライブを見に行っていますが、

こちらもかなりの再現度でした。メンバーは、かなり入れ替わりがありますが、Youtubeにもライブが上がっていますね。

 

 

さて映画の方ですが、MR. JIMMYと言うトリビュートバンドのジミー桜井さんが主役のドキュメントです。

前半部分は、桜井さんの病的とも言えるくらいの拘りについてですね。ギター等の機材は、可能な限り当時使用された様に再現を目指し、

ジミー・ペイジが着用していた衣装も、映像や写真でを参考に寸分違わない様にカスタムしていきます。

その分野のプロフェッシャナルを起用するのは、もはや執念ですね。映画では、そのような人達のインタビューも収録されています。

桜井さんの凄い所は、初めて見た時の憧れの気持ちを、ずっと持ち続けている事ですね。ゴールがない目標に向かって走り続けている。

今だ探究し続けているのは、常人には出来ない事でしょう。

バンド活動も、再現不可能ともいえるツェッペリンの音楽を追求し続けてきました。それが評価され、活動の場をアメリカに移します。

そしてアメリカでも有数のトリビュートバンドである、Ledzepagainに参加します。ライブでは30分近くの演奏となる「幻惑されて」も、

ここまで再現されています。

 

 

ただアメリカでの活動は順風満帆ではなく、メンバーとの考え方にズレが生じてきます。

あくまで完璧に再現したい桜井さんと、トリビュートバンドとして客を満足させたいというメンバー側。

ビジネスとして成り立たせる必要もあるので、ある程度の妥協もする必要もあったけれど、桜井さんには出来なかったと。

結局、Ledzepagainからは脱退し、自分でバンドを作る道を選ぶことになります。

最後が多少中途半端な所があったものの、桜井さんの情熱は伝わってくると思います。

ただ、やはりマニア向けの面もあり、一般の人にはわからない部分はあるかもしれませんね。

 

そしてパンフレットの桜井さんと監督のピーター・マイケル・ダウドのインタビューを参照したのですが、

映画で使用されているツェッペリン関係の楽曲は30曲にもなっていて、許可なんて無理と思われたのですが、

ジミー・ペイジ以下ツェッペリンのメンバー、およびジェイソン・ボーナムも映画を確認したうえで許可をしてくれたそうです。

桜井さんの情熱は認められたんでしょう。これは凄い事ですね。長年桜井さんを取材してきた監督もまた、

筋金入りのツェッペリンファンなんだなと。

 

 

 

 


NO.297 映画「ブルースの魂」 

2025-02-23 00:19:14 | 映画

2025年は、偉大なるブルーズシンガーである、B.B.キングの生誕100年に当たる年になるそうで。

それを記念して、この映画が日本でも上映される事になったようです。2022年の2Kレストア版となります。

実はアメリカでもずっと公開されていなくて、2024年に初めて劇場公開された様です。実際にこの映画が製作されたのは、

もう50年以上前の事になります。

 

 

予告編を見る限り、70年代のB.B.キングやバディ・ガイの演奏を楽しめるドキュメントかなと思っていたのですが、

実際に見てみたら、ちょっと思っていたものと違っていましたね。

最初は刑務農場で働く受刑者が歌う労働歌としてのブルーズが収められていて、ブルーズの歴史を統括するものかと思っていたのですが、

何故か、だらしない男とそれに翻弄される女のドラマみたいなものが始まって、何だこれはと思ってみたり。

それでいてブルーズのアーチストのインタビューや演奏が所々に挿入されてくる感じですね。

B.Bキングやバディ・ガイ以外では、ジュニア・ウェルズの名前ぐらいしか知りませんでしたが、

有名だろうブルーズのアーチストの演奏が聴けるのは嬉しいですし、自分にとっては、新たな発見もあったりしましたね。

そういった点は良かったのですが、ドラマパートが必要以上に時間を割いていて、しかもイマイチつまらないと感じたのは、

自分にとっては大きな減点でしたね。かなり印象が悪くなった感じです。作られたのは古い時代でしたので、

このような作りとなったかもしれませんが、ブルーズのドキュメントに特化してくれたらなぁと、勝手に思うのでした。

B.Bキングもいい演奏だったのに、少ししか見れなかったのは、やっぱり不満ですね。70年代の映像がレストアされて画像としては問題ないだけに、

う~ん、やっぱり勿体ないなと。

 

 

そしてバディ・ガイも同様に演奏は少なめでした。60年代半ばとかは、ロックのアーチストが大きくブルースの影響を受けていましたが、

70年代だと、その影響は以前ほどではなかったかもしれませんね。

 

 

出演しているブルーズのアーチストたちの演奏が良かっただけに、イマイチ必要性を感じなかったドラマパートのせいで

後味が悪くなったのは、勿体ない気がします。ブルースをもっと堪能したかったなぁというのが、正直な感想です。

 

 

口直しというか、昔、バディ・ガイが日本のテレビ番組で演奏したものを観たくなりました。

浪曲師でありながら、三味線でロックな演奏をする国本武春さんとの共演は、見応えがありました。

50代という若さで亡くなった国本さんは、やはりもっと長生きしてもらいたかったなぁと。

B.Bキングと同じく、亡くなってもう10年になろうとしているんですね。話が横道に逸れました。すみません。

 

 


NO.291 映画『ヒプノシス レコードジャケットの美学』公開予定

2025-01-29 01:00:15 | 映画

ピンクフロイドの「原子心母」、「狂気」等、レッド・ツェッペリンの「聖なる館」等、

ウィングスの「バンド・オンザ・ラン」等、70年代のロックアルバムの名作のジャケットを担当した集団、「ヒプノシス」。

彼らに関するドキュメンタリーの映画が公開予定です。

 

映画『ヒプノシス ーレコードジャケットの美学ー』

 

レコードジャケットを芸術の域に高めたとも言われる独創的なデザイン。ピンクフロイドのメンバーと出会った事から始まるという事ですが、

特にヒプノシス関連の文献は読んでこなかったので、映画にて語られるエピソードには、興味津々です。

時には奇抜なデザインをしてきただけの事はあるので、アーチスト達との衝突も多々あったでしょう。その辺りの話は、なかなか面白そうですね。

まぁマニア向けの内容ですので、上映館数は少ないですが、幸いにも地元には来るみたいです。

ただいつものように、ロードショーの最後の方になるので、観れるのはかなり遅くなりそうですが。

70年代の特にブリティッシュロックが好きな人には、馴染みのジャケットが沢山出てきますので、楽しめるとは思います。

しかしながら、インタビューに応じてくれているアーチストは、もう高齢の人ばかりです。かなり年を取っているので、

往年のヒーローからは遠くなった風貌ばかりです。でも、それでもライブをし続けている人もいるのは、あっぱれだとは思いますね。

 

 

そして参考映像として、よく拝見している「みのミュージック」より。知らないジャケも多いけど、知っているものも多々あって、

本当に名盤率が高いと思いますよ。