7月2日午後2時から第99回ロシア語サロンが愛知民主会館のロシア語教室で開かれました。
第一回めのロシア語サロンが開かれたのは1996年9月のことでしたからもう27年の歴史があります。
当時名古屋在住のロシア人は少なく、ロシア語講座の生徒さんたちから「せっかく習ってるのにロシア語を
使うチャンスがないのはつまらない」「どこに行ったらロシア人に会えますか?」などという声がありました。
そこで当時ロシア語講座の講師をされていた遠藤先生が「講座の生徒さんたちのためにロシア人やユーラシア
諸国の人たちとの出会いの場を作り、生のロシア語に触れてもらおう」とロシア語サロンを始められました。
コロナ渦もあり、それ以外にもいろいろあって最近はたまにしか開催されていませんが、それでもやっと
99回目にこぎ着けました。
さて今回の久しぶりのサロンのゲストは田中アリョーナさんです。サンクトペテルブルク生まれで、子供の頃に来日、
その後数年間ベルギーで過ごしたこともあってロシア、日本、ベルギーで教育を受け、名古屋の大学を
卒業された後は貿易会社で通訳や営業の仕事をしておられます。彼女のお母さんはやはりサンクト
ペテルブルク出身の田中エカテリーナさんです。ロシアで日本語を学んで通訳や教師をしていらした方で
ユーラシア協会の特別講座で講師をしてくださったり、新春お茶会のゲストに来てくださったりしています。
アリョーナさんはこのおかあさんの影響を受けて 幼い頃から外国語や外国の文化に興味を持ち、将来は
国際的な仕事をしたいと思っていらしたそうです。彼女がサロンのために選んだお話のテーマは『レトロファッション』!
参加者10名が興味津々でお話を聞きました。
彼女は優雅で女性らしさを強調するレトロなファッションが好きで時々は実際の生活の中でそういうファッションを
身につけているそうです。モードは社会の変化を反映するもので 最近では男女の壁が崩れて女性の
パンツスタイルが増えたり、おしゃれな男性がスカートをはいたり、お化粧をしたりすることも増えてきました。
社会のおける男女のあり方が変化してファッションにも影響を与えていると思われます。アリョーナさんの
お気に入りはディオール、特に1949年に発表された、ウエストを絞ってスカートはふんわりさせたワンピース
スタイルはそれまでのミリタリー調から一変した、女性らしい優雅なものでファッション界に革命をもたらしました。
50年代になるとショートパンツや短めのスカートが出現しました。その他に彼女の好きなファッションは
19世紀の終わり頃のイギリスのファッションで、これはビクトリア朝、シャーロック・ホームズが活躍した頃の
ファッションです。ロシアではシャーロック・ホームズの映画が作られ、そこに登場する女性たちの優雅な
ファッションも話題になりました。
アリョーナさんは長身ですらりとした美しい方で、ご自分でいろいろなスタイルのファッションをまとった
写真をたくさん見せてくださいました。またご自分でデザインしたドレスの絵も描いておられます。彼女は
韓国の『シャイニー』というグループのファンなのだそうで彼らのアルバムをイメージしたドレス、それに
ふさわしい靴やバッグ(カセットテープの形!)もデザインされていました。
将来は自分のデザインででドレスを作って売れたら、、という夢もあるそうです。
お茶と御菓子で一服した後、おしゃべりタイムになりましたが 彼女のファッションへの情熱に圧倒されたのか
参加者のみなさんはちょっとお静かでした。「ファッションに一ヶ月いくら使っていますか?」という質問も出て、、
「そんなに高価な服は買いませんよ。ZARAとか庶民的なところで買い物しています。そしてちょっと高級に
見えるように工夫して着ています」というお返事でした。この日彼女は白地にピンクの花模様のとても
かわいいノースリーブのワンピースに白いボレロを羽織っていましたが、なんとこのワンピースは彼女の
おばあちゃんが彼女のお母さん(エカテリーナさん)に縫ったものだそうでした!まだ“ソ連時代”の話で
おばあちゃんはこの布を手に入れるのに苦労なさったそうです。