サモワールを囲んで

日本ユーラシア協会愛知県連ブログ

ロシア語サロン番外編開催のお知らせ

2011年08月30日 | ロシア語サロン
今日は「ぬくもり雑貨いっぱいのロシアへ」(イカロス出版)の著者、花井景子さんが愛知県連の事務所に来てくださいました。


今年の春出版されたこの本についてはホームページでもご紹介していますが、美しい写真が一杯の楽しい本です。花井さんは職人の手によって大切に作られ、どこか懐かしく、ぬくもりのあるロシアの工芸品やロシアのあれこれを紹介するブログ「ロシア・モノコト図鑑」を続けてこられ、このブログをもとにして本が作られました。

また彼女が日本語講師をつとめたリャザン国立大学の学生さんたちによる東日本大震災の被災者への募金活動もまだ記憶に新しいことですが、この橋渡しをしてくださったのも愛知県連のロシア語講座で学んだことのある花井さんです。この7月にリャザンでのお仕事を辞めて故郷の名古屋に帰ってこられましたが今後も日本とロシアを行き来しながらリャザン大学の優秀な学生さんたちが日本にホームステイや勉強に来たり、日本語を活かした就職ができるようにサポートもしていきたいとのことです。

この秋には伏見にロシアの工芸品や日本の器のお店を開かれるそうです。カフェも併設されるとのことで楽しみですね。

「ぬくもり雑貨いっぱいのロシアへ」より ブルーが美しいロシアの陶器「グジェリ」


 さて、今日、彼女に「ロシア語サロン番外編」のゲストをお願いすることができました。ちょっと先の話になりますが 10月30日(日)午後2時からです。2年間を過ごされたリャザンの町のことやロシアの工芸品についていろいろお話していただく予定です。お楽しみに。
(miska)

ピーチェルの魅力、ロシアの現状 -ロシア語サロン報告

2011年08月28日 | ロシア語サロン
今日午後2時からロシア語サロンが開かれました。サロン開催が決まってから今日まで4日間しかなく、ホームページ、ブログ、メールでの連絡しかできなかったにもかかわらず、15名が集まり、ゲストのタチアナ・イスマギーロワさんを囲んで楽しくお話しました。山崎タチアナ先生とご子息のマクシムさんも来てくださいました。

笑顔が素敵なタチアナさん。


サロンはまず単語の復習から始まりました。


дядя(おじさん)、тётя(おばさん)は教科書で習いますが、それでは甥や姪はなんというのでしょう?
甥はплемя̀нник、姪はплемя̀нница、従兄は двою̀родный брат、従妹は двою̀родная сестра̀です。

8月7日に来日したタチアナさんは先日京都に行き、サンクトペテルブルクと似ていると感じたそうです。

「どちらの町も歴史ある古い町で素晴らしい建物がたくさんあるという共通点があります。でもそうした有名な場所を見学した後でふと小さな路地を見つけて覗いてみると、そこにはまた、もっと面白いものがある。そういう点でも似たところがあるのです。」

「サンクトペテルブルクの人たちはこの町を愛情をこめて ピーチェル(Питер)と呼んでいます。この町を作ったピョートル大帝もきっと ピーチェルって言っていたことでしょう。」

「ピーチェルは歴史的な町ですが、ここでも住民は普通の生活をしています。由緒ある橋の上も普通の人が歩いていますし、自転車も通り、時にはブレークダンスをする人もあります。この町にはロシア中から特に芸術やクリエイティヴな仕事を目指す若者たちがたくさんやってきます。田舎の町では自分が一番才能があると感じてきた人もここに来ると、さらに上には上があると知ってショックを受けたり、自分の進路を考えなおしたりすることもあると思います。」

会場のロシア語教室は満員になりました。


様々な質問に答えて:

質問:社会主義社会から資本主義社会への移行はスムーズだったのですか?現在の富裕層はどのようにしてできたのでしょう?

答:富裕層のことは知り合いでもないのでよくわかりませんが(笑)どの社会、どの時代にでもずるい人、うまく立ち回る人はいるものです。資本主義への移行はスムーズどころか大変でした。特にお年寄りには。ですから今でもかつてのソ連を懐かしみ、ソ連時代の方がよかったと考える人もたくさんいます。若い人でも共産党支持者は少なくありません。時々若い共産党支持者のデモもあります。

質問:最近では日本に裕福な中国人観光客が来て多額の金を使うようになりました。石油や天然ガスの値段が高かったころはロシアからも金持ちが日本に来て豪遊することがありました。彼らはどういう人たちだったのでしょう?

答:知り合いの中にそういう人はいないのですが(笑)、、成功したビジネスマンだったのではないでしょうか?普通のロシア人にとって日本観光はとても高くて贅沢なことで、まず来られません。私は叔母がいるので来ることができたのですが、友人たちはとてもうらやましがりました。

質問:ロシアの学校では6月から8月まで長い夏休みがあり、ソ連時代は子供たちはピオネールキャンプですごしていたものですが、今ではそういうものはなくなったと聞いています。子供たちは夏休みをどう過ごしていますか?

答:ソ連時代のようにだれでもが行くことができるピオネールキャンプはほとんどなくなりました。今は人によりそれぞれです。学校単位や 親の職場でまとめて子供たちを受け入れるキャンプに送ることができる人もいますが、それができない人も多くなりました。残念ながら夏休みも家に残ってゲームをしたり、インターネットで遊んだりしている子供も多いと思います。

質問:今、ロシアで若者たちに人気のある歌手やグループは?

答:人気があるということと才能があるということは必ずしも一致しないとは思いますが(笑)、、ロックでは DDT やСплин というグループ、ラップならТимати,歌手ではДима Билан(イケメンですよ!インターネットで画像を見てください)。 Валерияという女性も人気があります。

質問:どんな作家が人気がありますか?

答:現代の作家ではПелевин(ペレーヴィン)です。幅広い世代に人気があります。少し前の作家の本もよく読まれています。ドストエフスキーだけではないですよ。Бунин(ブーニン)やНабоков(ナボコフ)もよく読まれています。

質問:日本のアニメではどんなものが知られていますか?

答:私はあまりよく知らないのですが アニメが大好きな友人がいます。知られているものは「エヴァンゲリオン」や「ドラゴンボール」それに「ナルト」です。コスプレする人もいます。

プラムケーキと紅茶で一休みして


質問:ロシアでは人命が軽視されいるような気がします。いつかの学校でのテロの事件の時も、巻き添えをくう子供がいるにも関わらず軍隊が強硬手段を取って犠牲者がたくさん出ましたね。交通事故などの際、保障はどうなるのでしょうか?運転する人たちは保険には入っているのですか?

答:保険加入は任意です。人それぞれだと思いますが ひき逃げもよくあるようです。だいたいロシア人は法律遵守しない傾向がありますからねえ。日本では車がまったく来なくても赤信号なら道を渡らないでしょう。ロシア人なら渡ってしまいますよ。(笑)」

質問:サンクトペテルブルクが好きで何度も行っているのですが 町を散策するとしたらどんなところがお勧めでしょうか?

答:まずペトロパブロフスク要塞から歩き始めましょう。見どころはだいたい町の中心にありますから歩いて回れます。エルミタージュのある宮殿広場や青銅の騎士、イサーク寺院やカザン聖堂、足を延ばすならアレクサンドル・ネフスキー修道院まで行くとチャイコフスキーやドストエフスキーのお墓のある墓地も見られます。日本と違って公共トイレは非常に少ないのでご注意ください。

質問:3月の地震のことや福島の原発のことなどはロシアでも報道されたと思いますが,今回の来日を躊躇されることはなかったのですか?お母さんは反対されませんでしたか?」

答:地震や原発の問題はテレビで見てよく知っていましたが、日本人が落ち着いていて、作業員の方たちも勇敢に処理にあたっておられるのを見て、それだからこそ 日本に来てそばにいたいと思ったのです。母も全く反対せず、もうちょっとお金に余裕があれば自分も来たいくらいだったんですよ。(笑)

山崎タチアナ先生から「私もあの地震の後、彼女は来ないかもしれないと思ったのですが こういう時だからこそ来たいと言ってくれたので感激しました。」

「こういう時だからこそ日本に来たい」というタチアナさんのお気持ちに一同感激でした!
どの質問にも丁寧に答えていただき、話は尽きないのですがあっという間に終了時間の4時を過ぎてしまいました。

お線香やお地蔵様が好きなタチアナさんはお地蔵さまを見かけるとお線香を供えてお参りしてしまい、従兄たちに「そういうのは日本では年寄りがすること!」と笑われたそうです。
あと2週間ほどで帰国されるとのこと。まだまだ暑い名古屋ですが 楽しい休日を過ごしていただきたいですね。

Дорогая Татьяна !
Большое спасибо за интересные рассказы.Желаем Вам хорошо провести время в Японии.
(タチアナさん、今日は楽しいお話をありがとうございました。日本で楽しく過ごしてください。)

(miska)

サンクトペテルブルクから素敵なお客様!

2011年08月24日 | ロシア語サロン
久しぶりにロシア語サロンを開催しますのでお知らせします。ゲストはサンクトペテルブルクから来られた素敵な女性です。


ロシア語講座の山崎タチアナ先生の姪御さん、タチアナ・イスマギーロワさんが今名古屋に滞在されています。サロンのゲストをお願いしたところこころよくひき受けてくださいました。ただし、9月初めには帰国されるとのことで8月28日(日)しかお願いする日がありませんでした。
タチアナさんは1983年生まれ、いろんな国が好きなのでエスニックショップ店員を仕事を選んだというアウトドアライフが大好きな元気な方です。今回は16年ぶり、3度目の来日。興味があるのは日本の仏教、地蔵、線香、日本食(刺身、わさび、生姜、ミョウガ、そば、つけもの、おにぎりなども大好き)
いつものようなスピーチではなく、タチアナさんを囲んでサンクトペテルブルクの最新情報をお聞きしながらおしゃべりする集まりになる予定です。

ロシア語勉強中の方はぜひ腕試しを!ロシア語を知らない方もロシアに興味のある方なら大歓迎です。ロシア語での発言はすべて通訳しますのでご心配なく。お気軽に遊びにいらしてください。 

ロシア語サロン
日時:8月28日(日)午後2時~4時
場所:愛知民主会館3F ロシア語教室
   地下鉄東山線「新栄町」下車、2番出口から徒歩2分)
参加費:800円 (会員は600円)
申し込み:日本ユーラシア協会愛知県連合会事務所
     電話:052-526-1150
    mail: eurasia-aichi@ae.wakwak.com  

ロシア語検定試験直前対策講座開催!

2011年08月22日 | ロシア語検定試験
ロシア語能力検定試験(10月8・9日)の対策講座が開かれます!今回は3・4級を受験される方が対象です。この試験では文法力、和文露訳、露文和訳、朗読やリスニング(4級はなし)など様々な点からロシア語力が試されますから、普段ロシア語学習者のみなさんが勉強しておられることがすべていわば受験対策でもあるわけです。しかしたいていの試験には傾向があり、したがって対策もある、ということで愛知県連のロシア語講座の講師陣が「合格まであと一歩」のみなさんを応援します。会場が手狭ですので先着10名までです。お申し込みは今すぐどうぞ!

日時:10月1日(土)
   午後1時~3時       3級受験クラス(講師:難波忠清)
   午後3時15分~5時15分 4級受験クラス(講師:市川春季)

場所:愛知民主会館3F ロシア語教室
   (名古屋市東区葵一丁目22-26 TEL 052-526-1150
    地下鉄東山線「新栄町」下車、2番出口から徒歩2分)

受講料:現在の愛知県連ロシア語講座の受講生及び来期の講座を申し込まれてい
る方は(一クラス受講につき)1,000円、それ以外の方は2,000円

申し込み先:日本ユーラシア協会愛知県連事務所
      TEL 052-526-1150  
       Mail: eurasia-aichi@ae.wakwak.com

ロシア語検定試験の申し込みはもう始まっています。期限は9月22日ですのでお申し込みをお忘れなく!
(miska)

ラチャ・アヴァネシアン コンサート 伴奏者変更

2011年08月22日 | お知らせ
先日お知らせした9月17日のラチャ・アヴァネシアン ヴァイオリンコンサートですがピアノ伴奏者が変更になりました。リリー・マイスキーが来日できなくなったそうです。新しい伴奏者はミロシュ・ポポヴィッチです。1985年ベオグラード生まれのセルビア人でベルギーの王立音楽院に学んだピアニストです。アヴァネシヤンも1986年生まれということですから二人の若い芸術家の競演ですね。会場は宗次ホール、チケットは4000円です。

8月31日(水)の宗次ホールのランチタイムコンサート「モスクワより愛をこめて」はまだお席がございます。チケットは1000円で11時半開演、ラフマニノフのプレリュードの後,栄あたりでおいしいランチでも、、優雅な水曜日をどうぞ。
(miska)

ロシア語能力検定試験

2011年08月20日 | ロシア語検定試験
今年も10月にロシア語能力検定試験が実施されます。
10月8日(土)2・4級、 10月9日(日)1・3級 です。ロシア語を勉強されている方はぜひチャレンジしましょう!今年からインターネットでの申し込み、コンビニでの受験料納入ができるようになりました。クレジットカード決済も可能です。
詳しくはこちらをご覧ください。

検定料は7000~8000円と安くはないですし、受けるからには絶対に合格を目指しましょう!まずは過去問を取り寄せて勉強してください。

また今年は愛知県連では3・4級を受験される方のために検定試験対策講座が開かれる予定です。
10月1日(土)の午後1時~3時(4級)、3時15分~5時15分(3級)の予定で準備が進んでいます。受講料は現在のロシア語講座の受講生及び来期の講座をその時点で申し込まれている方=1,000円、それ以外=2,000円、定員=10名。詳しいことは決定し次第お知らせします。
(miska)

名古屋に眠るロシア兵士たち

2011年08月17日 | お知らせ
下の記事で取り上げた竹内さんのこと、番組ではたった一行「シベリアで死亡」と出ただけでした。がっかり。NHKのディレクターさんがかなり詳しく取材されたと聞いていたのでもう少しこの方のことが取り上げられるかと思っていました。いつかドキュメンタリーで彼のこととロシア人たちが大事にしてくれているお墓のことが取り上げられるといいなと思います。
1936年のベルリンオリンピックの時のサッカー日本代表チームのメンバーは戦死した方も多かったようですが、何人かは生き延びてその後サッカーの指導者となり、釜本のような名プレイヤーや元日本代表監督の岡田さんを育てたとのことが紹介されていました。

さて、名古屋にもロシア人兵士の墓地があることを御存知でしょうか?
日露戦争後、名古屋にも捕虜収容所が数か所あり、数千人のロシア人兵士がいたとのことです。比較的待遇もよかったようで ロシア正教の教会に通ったり、散策したりして日本人との交流もありました。

こちらを見ると 捕虜とは思えないほどくつろいでいるロシア人兵士たちの写真が見られます。

捕虜と名古屋ハリストス教会(ロシア正教教会)の交流についてはこちらを。

名古屋の収容所で亡くなった15人のロシアの兵士は最初は東区にあった陸軍墓地内に埋葬されていたそうです。現在彼らの墓地は平和公園内にあります。名古屋の空襲や墓地の移転などでよくわからなくなっていたのだそうですが1990年に再発見され、ユーラシア協会愛知県連やハリストス教会の呼びかけで市民から募金もあり、15基の墓が再建されました。1991年からは毎年4月にハリストス教会とユーラシア協会愛知県連の共同主催でこの墓地で追悼式が行われています。
詳しくはこちらをご覧ください。

2011年4月の追悼式の様子。左に並ぶ15基がロシア兵士の墓。


(miska)


ロシアに眠るサッカー日本代表選手

2011年08月11日 | お知らせ
8月14日(日)午後10時からNHKのサンデースポーツでは「日本サッカーが築き上げてきたもの」と題してこれまでの日本サッカーの歴史が紹介される予定です。戦前に日本代表としてオリンピックに出場したサッカー選手たちはその後兵士として戦場に送られたのでした。

1936年8月のベルリンオリンピックで優勝候補だったスウェーデンを小さな体の日本代表チームが破った試合があったそうですが(75年前!)そのチームでキャプテンだったのが竹内悌三さんでした。この時の日本代表チームは学生選抜で構成されていましたがただ一人の社会人(当時26歳の会社員)が竹内さんでした。竹内さんは1944年に召集され、シベリアに抑留されて、1946年4月にシベリアで病死しました。

この件については岐阜を中心にロシアとの友好交流活動を進めているNPO「ロシアとの友好・親善を進める会」の方からお知らせをいただきました。このNPOは毎年のようにアムール州イワノフカ村を日本人墓地の墓参と地元の人たちとの交流のために訪問し、抑留者についての情報を集めています。上記の竹内さんの情報を求めてNHKのディレクターが連絡してこられて、竹内さんはアムール州のブラゴシチェンスク地区第13支部アレキサンドロノフカ地区で亡くなったことがわかりました。

ここには日本人墓地がありましたが長い間墓参に来る人もなく荒れ果てていました。しかし地元の農場主が見るに見かねて墓地の整備をし、ロシア式に回葬してくれていたことがわかったのだそうです。シベリアで無念の死を遂げた日本人への地元の人たちの気持ちが有難いですね。
2004年に撮影されたアレキサンドロノフカの日本人墓地、右から2番目が竹内さんのお墓)


「ロシアとの友好・親善をすすめる会」は今年9月にもロシアへ墓参の旅に行くそうです。
(miska)

ラチャ・アヴァネシヤン ヴァイオリン リサイタル

2011年08月06日 | イヴェント
Hrachya Avanesyan,これでラチャ・アヴァネシヤンと読むそうです。「・・・ヤン」という名字でピンと来てチラシを見たらやっぱりエレヴァン生まれのアルメニア人でした。1986年生まれの若いヴァイオリニストですが実力派のようです。9月17日(土)18時より宗次ホールで彼のリサイタルがありますのでお知らせします。
ピアノ伴奏はリリー・マイスキー、あの伝説のチェリスト ミーシャ・マイスキーのお嬢さんなのだそうです。
詳しくはこちらをご覧ください。
(miska)

第22回ロシア語特別講座報告

2011年08月02日 | ロシア語特別講座
7月31日(日)午前10時から第22回ロシア語特別講座が開催され,28名の方が参加されました。

まず初級、中級、上級のグループに分かれて朗読の練習です。朗読のテキストも3種類あり、各自が御自分の実力に合わせて選ぶことになっています。ロシア語歴の長い、上手な方でも長い間にだんだん発音やイントネーションが我流になってしまっている方もあり、先生に厳しくチェックしてもらうことはとても大切なことです。1時間の朗読練習を終わって朗読大会を前にいささか緊張した表情の参加者のみなさん。

くじで順番が決められ、一人ずつテキストの朗読です。人前でロシア語を朗読するなどということはめったにないわけで、緊張のあまり読み間違えてしまう人やpをピーと読んでしまう初心者も。みなさん一生懸命です。全員の朗読が終わったところで審査員の先生方はいったん別室に移り、各級の最優秀者と全体から一人の特別賞受賞者を選考。
最優秀者には初級:堀口美樹さん、中級:大橋真範さん、上級:鈴木由香さん、特別賞には榊原吉昭さんが選ばれました。

ランチタイムを挟んで1時半からは今回の特別講師ウラジーミル・セマコフ先生(大阪大学講師)による講演「北ロシアの伝統文化」です。講演するセマコフ先生。

北ロシアとはカレリア、ムルマンスク州、アルハンゲリスク州、ヴォーログダ州、コミ共和国の一部を含む地域のことで、もともと製塩やアザラシ猟が行われていたこの地域にロシア人は農業を持ち込みました。非常に厳しい気候とやせた土地という悪条件なのに、ここで大麦、カラスムギ、ライ麦が生産され、中央ロシアをしのぐ生産量となったのはどうしてだったのでしょう?その秘密は牛フンにありました!
ロシア人は寒い季節は牛を屋内で飼育して牛フンを手に入れ、それで土壌を改良して行ったのでした。セマコフ先生は家の建築様式、黒海から白海まで張り巡らされた水路のこと、酷寒の地に建てられた修道院のこと、北部に独特の工芸品のこと、、と様々な視点から北ロシアについて語られ、参加者は対訳テキストを見ながら話を聞きました。(このテキストは難波先生の労作!)

講演の最後には教会で歌われる聖歌や北ロシアの民謡も聞かせていただきました。

さて、この後はまた初級、中級、上級に分かれての授業です。

アリビーナ先生担当の初級のクラスではまず発音の確認から始まり、簡単な会話を。ロシア語だけによる授業は初めてでとまどう人もいらしたようですが。


こちらは難波先生の中級クラス、今回のテーマは「関係代名詞」です。

先生の説明の後はたくさんの練習問題を。関係代名詞を自由自在に使いこなせるように頑張ります。


上級クラスでは前もってこのテキストを読み、準備してくることになっていました。トルストイの「皇帝とシャツ」です。


お話を読みながら動詞を言い換えたり、同義語、反対語を覚えたり、テキストに出てくる表現を使って例文を作ったり。「トルストイが理想としたことは何か?」との質問に答えに窮する場面も。


4時すぎに授業が終わりました。いささかお疲れの表情のみなさんでしたが、感想・ご意見をお聞きしたところ「こんなに長くロシア語を聞いたことがない。疲れました。」「緊張もしたけどおもしろかった。参加してよかった」「朗読大会の賞品はもう少しいいものにできないのか?」「朗読もいいけどスピーチコンテストをやったらどうですか?あるいは大阪や東京のコンテストに名古屋からも出たら?」「名古屋は暑いから特別講座は冬にやったらどう?」(セマコフ先生より)などの御意見をいただきました。
暑い中、参加していただきありがとうございました。お疲れ様でした。
(miska)