星さんぞう異文化きまぐれ雑記帳

異文化に接しての雑感を気ままに、気まぐれに

ケロウナ便り(73) カナディアンロッキー物見遊山(3)

2007年09月03日 00時17分10秒 | Weblog

寝る前に翌日の予定を確認しあった際に、温泉好きの私としては「明日は前々から興味のあったラジウム温泉Radium Hot springsに行く。ここから100キロほど南だから往復に3時間、一時間立ち寄り入浴して合計4時間のコース。」と高らかに宣言しました。初日のキャニョン温泉に期待を裏切られた家族の間に「また温泉??」とでも言うべき妙な雰囲気の空気が流れ出しました。

余談ですが、最近のはやり言葉に「KY能力」というのがあるそうです。その場に流れる空気を読んで臨機応変に対応する能力、つまり「空気を読む能力」のことだそうです。私も「KY能力」は高い方だし、もそそもGoldenからKelownaまでの帰路だけで4時間走ることを考えると、一時間の立ち寄り温泉のために合計7時間を走り続ける計算となる行程には、運転が嫌いではない私もいささか疑問を感じていた矢先でもあり、寝る時間を惜しんで熟慮の結果、このまま温泉行きを強行するのは賢明でないと判断。「みんなの意向を尊重して温泉は次の機会にまわす。今日は当地でゆっくりハイキング中心の『遊山』に変更!」と「朝令暮改」ならぬ「暮令朝改」の一幕です。KY能力が高いだけではなくて、臨機応変、融通無碍、No Policyの私なのです。

Goldenの街を見下ろすKicking Horse Mountain Resortのゴンドラで2200メートルの山頂まで上り、遠くにカナディアンロッキーの高峰を望みながらカナダで一番高所と謳われるレストランで昼食をとり、実物のグリズリーベア(はいいろ熊、Grizzly bear)にもお目にかかる等、思いがけずノンビリとしたロッキーの休日を満喫いたしました。

実はこのグリズリー、名前をBoo君といって、親熊が密猟者によって射殺され孤児となったところを保護されて、このスキー場内に設けられた保護施設で観察飼育されている「半野生」なのです。この一頭の熊のために、野生状態で生活するのと同じ生態系を備えた自然環境をスキー場内の一角に創り出し、冬眠のための仕掛けまで完備した、至れり尽くせりの保護施設です。他の野生動物との接触が無く、野生社会への適応能力が身についていないBoo君は、野生に戻れる可能性は無く、今後とも半野生の熊として人間の研究の対象であり、教育の材料として生き続ける人生(熊生?)が宿命づけられているのです。「死んだふり」の出来ない熊なんですね。

スキー場のゲレンデをマウンテンバイクやハイキングのトレイルとして開放し、リフトとゴンドラを夏場も運転して観光客を誘致し、近くを流れるColumbia Riverではゴムボートでの急流下りが人気を博すなど、ゴルフ、キャンピングにとどまらずあらゆるアウトドアスポーツを楽しむ施設が充実した街、そんなGoldenでした。
(詳しくはhttp://www.kickinghorseresort.com/summer/をご覧下さい)

アルバータ州のカナディアンロッキーの西側、ブリティッシュコロンビア州に展開するクートニーロッキーKootenay Rockiesこそ、参加型のアウトドア「遊山」のメッカなのです。Goldenがその中心的存在であることを今回はじめて知りました。どうやらこれからのカナダ滞在でクートニーロッキーにはチョクチョクお世話になりそうな予感がしてなりません。
(詳しくはhttp://www.kootenayrockies.com/をご覧下さい)

ということで温泉めぐりを次の機会の楽しみに残して、ロッキーへの物見遊山ドライブ1500キロの旅の第一幕は無事に幕が引かれたのでした。