星さんぞう異文化きまぐれ雑記帳

異文化に接しての雑感を気ままに、気まぐれに

コルドバ便り(2) ホストファミリーとご対面

2008年03月28日 06時51分56秒 | Weblog
定刻7時にコルドバのバスターミナルに着いた夜行バスから降りると、そこにはホストファミリーが出迎えに待っていて、留学生と対面です。こちらでは初対面の挨拶(初対面のみならず、毎日顔を合わせる者同士でも)は男女を問わず頬に軽くキスをし合うのが通例です。キスと言うよりも「頬ずり」とでも言うべきニュアンスでしょうか。スペイン語でBesoが名詞で、あの「ベッサメムーチョBesame mucho」「いっぱいキスをしてちょうだい」のBesameと同じ語源ですね。英語で言うHug and kissと同じ挨拶で、お辞儀や握手よりも時間と手間が求められます。

親しい者同士の手紙やe-mailの最後に「un beso」なんて書き添えるのが通例のようですから、「キス」なんて深刻に考えない軽い挨拶の定型表現なんでしょうね。

いい年をした大の男同士が頬を付け合って「チュッ!」なんて音を出しているのには、初めは戸惑ったものでした。相手から明らかに近寄って来た場合は私も応じましたが、そうでない限りは初対面の男性とは握手で済ませるようにしました。相手が女性の場合は、初対面であるかどうかに関係なく例外なしに現地方式の挨拶を徹底するように努めたのは言うまでもありません。なんせ異文化交流が今回の訪問の主目的ですから。

一台のバスから降り立った留学生4人と付き添いで合計5人。出迎えたホストファミリーと現地スタッフがザッと15人程度として、合計20人の男女が入れ替わり立ち代りBesoの挨拶を繰り返すわけですから時間も馬鹿になりません。名前を名乗りあって握手をするのとは異なり、同じ仲間だなと認め合ったらすぐにBeso。初対面でありながら名前も知らずにBesoだけで挨拶を済ませ、後で「今の人、名前は?」と考え込むことの連続です。

他の留学生はホストファミリーと面会して、三々五々家路に就きましたが、私がお世話になるのはコルドバから35キロ離れたカルロスパスという保養地にあるご家庭なので、ファミリーとの面会は更にバスを乗り継いで一時間ほど後になります。年齢制限を超えたこの学生を受け入れるホストファミリー探しに苦労した様子が、この距離と時間の差に偲ばれます。めげるな学生さん!!

英語の喋れるスタッフに付き添われてカルロスパスに到着したのが8時過ぎ。サマータイムを導入しているためまだ夜が明け切っておらぬ暗さの漂うバス停にホスト夫妻が出迎えてくれました。上背も横幅も大柄なホストに抱きすくめられるようにしてBesoで歓迎されたあとは、そのお返しにホスト夫人を今度は私がゆとりを持って抱きすくめBesoで返礼したものでした。

縦も横も一番大きな付き添いと大柄なホストとのBesoは、相撲取り同士が取っ組み合いしながらチュッなんて音を出しているようで、何とも滑稽でありながら、当地の人の優しさがにじみ出た、得も言えず微笑ましい光景でした。

ホストは私より一歳年下、夫人はほぼ十歳若いので、ブラザー、シスター(スペイン語でhermano(弟)hemana(妹))と呼ばせて貰うことに私の一存で決めました。このことは今は説明する能力も無いので、私の胸のうちに収めておき、言葉の習得に応じて、なるべく早い機会に関係者の了解を取り付けるものと決定しました。

私のスペイン語能力は高が知れているので、その機会が早く来るか遅くなるかは弟・妹の英語理解能力次第なのです。初対面の様子では・・・その機会は大分遅くなりそうな予感ですが・・・・。