星さんぞう異文化きまぐれ雑記帳

異文化に接しての雑感を気ままに、気まぐれに

ケロウナ便り(81) 救急病院(その2)

2008年09月20日 16時45分14秒 | Weblog
単なる虫刺されだったらどうしよう?大騒ぎしてみっともないよな。それより、もし本物の破傷風だったら、本当にどうしよう?前の晩遅くにインターネット画面で独りで見た、海老が反るような形に全身痙攣して苦しむ破傷風患者の姿が脳裏に焼きついています。

賽は既に投げられたのです。もはや「まな板の鯉」状態です。ジタバタしてもしょうがありません。ボランティアの高校生らしい坊やに受付票を出すと、間もなくTriage(治療優先順位を選別する部署)の窓口に呼ばれました。なんと玄関を入ってから10分も経たずの手際の良さです。ここで、住所・氏名の詳細と来院の趣旨を訊かれ、いわゆる受付台帳のような書類の入ったフォルダーがが用意されて、次の窓口にフォルダーを出すようにとの案内です。いいぞいいぞ、思ったより順調だぞ。

待つこと暫し、窓口に呼ばれたら、支払い能力のチェックでした。旅行者でBC州の健康保険は適用対象外であること、自分の保険でカバーされるので、全額自己負担する用意のあることを伝えると、「それなら結構です。もし支払いが困難であれば、ここより安く診てもらえる医者を紹介することもできるので、一応確認したまでです」だと。どうやら、何とかの沙汰も金次第、ここでも金の無い患者は「安かろう悪かろう」の医者に回されるようです。

自分で立て替えられる範囲の額かどうか尋ねると、「初診料500ドル、通常の医療処置(問診、注射、投薬、処方箋の発行などで、その先の高額医療処置は除く)320ドル、合計820ドルを前払いにて申し受けます」とのこと。先刻調べた「10万円未満」なので、これなら立て替えられそうです。支払いは勿論お世話になるカード会社のクレジットカードです。この医療費支払額にもポイントがつくのかどうか・・・、この期に及んでも余計な心配をする自分の冷静さに妙に感心をしたものです。本当はどうなんだろう?

ここまでの手続きが約30分。病院としてしっかりと金を受け取るまでのステップは極めて順調に進んだのです。でも、金を受け取ってしまった後の対応の遅いこと遅いこと。私より前に居たと思われる患者が数人、私より後に来た患者が2~3人。付き添いの家族を含めると20人ほどの、口数少ない集団が待合室で辛抱強く待ち続けています。事故なのか事件なのか、口の周りの出血をタオルで抑えている中年男性。松葉杖をついて母親に付き添われた中学生。やはり救急窓口に自分でやってくる患者は外科が多いようです。

パーキングメーターが一時間で切れるので、友達がもう一時間の延長をするためにわざわざ駐車場まで足を運んでくれたのに、またぞろ次の延長に走らなければならないような時間になって、やっと処置室への案内がやってきました。金の支払いを済ませてから一時間近く待たされたことになります。日本の大病院と大差無い待ち時間でした。

病院に着いたのが午後9時、看護士が私を含めて3人の患者を呼びに来たのが10時半を回っていました。いよいよこれから担当医による診察と処置が始まります。付き添いの女房と友達を待合室に残し、単身で未知の世界に入り込む緊張感と不安感とで、思わず武者震い、というのはちょっと大袈裟ですが・・・。