星さんぞう異文化きまぐれ雑記帳

異文化に接しての雑感を気ままに、気まぐれに

ケロウナ便り(126) MVP殿堂入り

2013年07月18日 23時22分19秒 | Weblog
今季限りでの引退を宣言して先日のMLBオールスターでMVP表彰を受けた、ヤンキースのセーブ王リベラの話ではありません。まだまだ活躍を嘱望されていた我が愛車MPV君が、ボロボロになる前に殿堂入りさせてあげようとの、私の温かい心遣いの話です。

今年初めて足を踏み入れたカーオークションで一目見てちょっと気になった中古車がありました。T社の高級ブランドLシリーズの最高峰SUV、4700ccエンジンを積んだLX470。新品を買えば一千万円を下らない超高級車だそうです。野次馬根性丸出しにしてキーを借り出してエンジンを始動してみたら、1998年製20万キロの走行歴にもかかわらず超静かなエンジン音です。



ミネソタ往復の長旅をこの静かで力強い車で快適にぶっ飛ばす自分をイメージしただけで、維持費や、燃費の問題はもう頭の隅から消えてなくなり、この車にオークションでどれほどの値段がつくのか、どんな人が競り落とすのか後学のために見ておきたい、なんなら、値段によっては「やったろか!」とだんだん自分のなかでテンションが上がって行くのを押さえきれなくなって行きます、オークションの魔手に陥って行く自分を感じる瞬間です。

同じようにこの車が気になって精査しているカナダ人がいました。私と違ってメカに強そうな御仁ですが、ボンネットを開けて「タイミングベルトは交換が必要。エンジンを20分以上回しておくと『チェック・エンジン』のウオーニングランプが点きっぱなしになるのが気がかりだ」とのたまう。内も外も見た目には年相応の汚れや小傷はあるものの、結構程度は良いと思うけどね、と機械音痴の私。でも、安心して乗り出すためには、落札額にそれなりの金額の整備費上乗せは覚悟しなければなるまい程度の常識は備えてもいる私です。上乗せ整備費の額がどのくらいになるのかが読めないのがド素人の悲しさです。

そこにもう一人のカナダ人が登場して、オークション全般に関するもっともらしいコメントを連発。曰く、「この車はもう何週間も競りに出ているけど誰も応札しない。大体この手のオークションで高額の買い物はリスクが高すぎるからやめた方が良いよ」どうやらこのカナダ人は近所に住んでいてチョクチョク顔を出しているらしい。「おっしゃることは至極ごもっとも、よ~くわかります」「一般論としては分かるけど、こいつ良い顔してるし、オイラが競り落とすのを何週間もかけて待っていたのかも知れないし・・・」私の心が叫びます。私の思い入れはもうほぼピークに達しています。

ミネソタへの旅行に使うためには、今週末のオークションがラストチャンスです。出来ればオークション会場の敷地内だけでも試乗してみて自分なりに腹を固めるつもりで下見に出かけてみると・・・・・・、あれれれ・・・・、あの車の姿が敷地内に見えません!

自分の愛車を誰か他人に持ち去られたような、もっと言えば、この人こそと自分が心に決めていた娘さんが、いつの間にやら自分の手の届かない所に連れ去られたような・・・・。

居合わせたスタッフに聞いたら、「ついさっき買い手がついて売れちゃった」だと。
何週間も競りにかけて売れない物件は、出品者の意向を代弁するオークション業者と買い手との間での直接交渉で売買が成り立つのです。私にも直接交渉のチャンスはあったのですが、「4週間も買い手がつかなかった車が、まさかオークションまでの2~3日の間に売れることはあるまい」と油断があったのです。

「貴女しかいないってわけじゃないけど、いっしょになれたら嬉しいな」程度の中途半端なスタンスだったので、こちらの気持ちが娘さんに伝わらず他の男の手に落ちたってところですかね。ま、もともと「どうしても!」って気はなかったし、ご縁が無かったということを自分に言い聞かせて前編は終わりです。

それがどうして「MVP殿堂入り」になるかは後編のお楽しみ!