後手番大山先生の手を考えます。
第1問
受け方は?
A 64同歩 B 53銀 C 31角
第2問
大山先生の勝負手です。
A 26角 B 56歩 C 25歩
第3問
大山流の終盤術です。
A 43玉 B 43金 C 65歩
第4問
先手を悩ませます。
A 66金 B 47歩 C 57歩成
第5問
この一手で投了となりました。
A 27銀 B 49銀 C 11飛
後手番大山先生の手を考えます。
第1問
受け方は?
A 64同歩 B 53銀 C 31角
第2問
大山先生の勝負手です。
A 26角 B 56歩 C 25歩
第3問
大山流の終盤術です。
A 43玉 B 43金 C 65歩
第4問
先手を悩ませます。
A 66金 B 47歩 C 57歩成
第5問
この一手で投了となりました。
A 27銀 B 49銀 C 11飛
今日の棋譜20190902
昭和44年1月、塚田正夫先生と第14期棋聖戦です。
相振り飛車模様で塚田先生が三間飛車を選択しました。この頃には塚田先生も振り飛車を指していたのですね。
大山先生は相振り飛車を好まないので居飛車です。
4筋の位を取りました。
塚田先生は穴熊含みですが、大山先生が中央をねらったので
金美濃から中飛車で受けました。
大山先生は中央の位も取りました。
64歩同歩同飛とできれば作戦勝ちでしょう。
78飛53銀(74歩同歩同飛で銀取りになるのを受けた)58飛44銀という千日手模様のやり取りから、大山先生が手を変えました。
塚田先生は石田流に組めたので一応満足です。現代的には穴熊に組みなおすかもしれませんが
74歩同歩64歩で開戦です。64同歩同角は先手が指しやすそう。
53銀の受けに86飛82飛72歩。62銀には65銀ですね。
塚田先生は桂を取って3歩との交換です。
歩切れなので79角~26歩と玉頭に目を向けたのですが、26歩が早かったのでしょう。
4筋で歩を交換するならば26歩の前でした。
大山先生のほうから25歩を突いたのが驚きの手です。後手玉のほうが先に当たりそうですから。
47金左26歩24歩、やはり先手のほうが先に王手できるのです。
でも大山先生の玉は4筋へ。こうなると24歩よりも26歩の価値が高くなります。
塚田先生は金を繰り出して2筋を攻めていきます。
大山先生は陣形を整えて待機します。
塚田先生は14金としたいのですが25桂で困ります。桂を打って11香を取りに行きました。
駒得なので先手よし、ではありません。
桂頭を攻められて79香が仕方なく
67歩から56歩が気持ち悪いです。58歩は打ちたくないので
23歩成から13と 駒得は広がりましたが大丈夫でしょうか。金をぶつけられて
47歩に同金とは(心理的に)取りにくいところです。
と金を作られて寄せ合いしかありません。広い後手玉を捕まえられるかどうか。
45歩同銀63金。これは決まったか。
44角の飛取りに96飛では失敗です。64飛同金同金は足りず、72金66角も負けそうですが、26飛同角72金ならば有望でした。
36桂~44銀というのは気が利かない攻め方です。
角を手に入れて82角で攻めるのですが、先手玉が危ないですね。27銀からばらされても詰みませんが
49銀が詰めろで受けがなく、投了です。
不思議な玉頭戦でしたが、大山先生の玉移動で景色が変わりました。それでも対抗型の駒得は大きくて塚田先生がまだ良かったのですが、決め手を逃してしまいました。
#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.41 棋譜ファイル ----
開始日時:1969/02/28
手合割:平手
先手:塚田正夫9段
後手:大山名人
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 9六歩(97)
4 1四歩(13)
5 9五歩(96)
6 4四歩(43)
7 7五歩(76)
8 4二銀(31)
9 7八飛(28)
10 5四歩(53)
11 6八銀(79)
12 4三銀(42)
13 4八玉(59)
14 6二銀(71)
15 3八玉(48)
16 4二玉(51)
17 2八玉(38)
18 3二玉(42)
19 5六歩(57)
20 4五歩(44)
21 6六歩(67)
22 5三銀(62)
23 3八金(49)
24 4四銀(53)
25 6七銀(68)
26 5二飛(82)
27 4八銀(39)
28 5五歩(54)
29 5八飛(78)
30 5六歩(55)
31 同 銀(67)
32 2四歩(23)
33 6七銀(56)
34 5五歩打
35 6五歩(66)
36 5四銀(43)
37 6六銀(67)
38 6二飛(52)
39 7八飛(58)
40 5三銀(44)
41 5八飛(78)
42 4四銀(53)
43 7八飛(58)
44 7二飛(62)
45 7六飛(78)
46 2三玉(32)
47 5八金(69)
48 3二金(41)
49 7七桂(89)
50 1五歩(14)
51 9七角(88)
52 5二金(61)
53 7四歩(75)
54 同 歩(73)
55 6四歩(65)
56 5三銀(44)
57 8六飛(76)
58 8二飛(72)
59 7二歩打
60 6四歩(63)
61 7一歩成(72)
62 8四歩(83)
63 8一と(71)
64 同 飛(82)
65 7六飛(86)
66 6三金(52)
67 7九角(97)
68 8二飛(81)
69 2六歩(27)
70 4四角(22)
71 4六歩(47)
72 同 歩(45)
73 同 角(79)
74 4五歩打
75 6八角(46)
76 2五歩(24)
77 4七金(58)
78 2六歩(25)
79 2四歩打
80 3三玉(23)
81 3六金(47)
82 4三玉(33)
83 5七銀(66)
84 3三金(32)
85 2五金(36)
86 1三桂(21)
87 1五金(25)
88 6五歩(64)
89 4六歩打
90 7五歩(74)
91 9六飛(76)
92 6四銀(53)
93 4五歩(46)
94 同 銀(54)
95 4六歩打
96 5四銀(45)
97 2三桂打
98 7二飛(82)
99 1一桂成(23)
100 7一角(44)
101 1四金(15)
102 7六歩(75)
103 7九香打
104 6六歩(65)
105 同 銀(57)
106 6七歩打
107 5九角(68)
108 5六歩(55)
109 2三歩成(24)
110 4四金(33)
111 8六飛(96)
112 7四金(63)
113 1三と(23)
114 5五金(44)
115 7六飛(86)
116 7五歩打
117 9六飛(76)
118 4七歩打
119 3九銀(48)
120 6六金(55)
121 同 飛(96)
122 5七歩成(56)
123 4五歩(46)
124 同 銀(54)
125 6三金打
126 4四角(71)
127 9六飛(66)
128 7一飛(72)
129 3六桂打
130 3五角(44)
131 6四金(63)
132 同 金(74)
133 4四銀打
134 同 角(35)
135 同 桂(36)
136 7六歩(75)
137 8二角打
138 4九銀打
139 投了
まで138手で後手の勝ち
20190902今日の一手
7月13日の名南将棋大会から、MさんとSさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。
前回の一手の回答
☆ 形勢判断をします。
駒の損得はありません。
玉の堅さは先手のほうが堅いです。
先手の攻め駒は、24に利きのある28飛68角はどちらか1枚。銀がぶつかっているので2枚くらいです。
後手の攻め駒は33角と65銀で2枚。
総合すれば先手もちです。
☆ 大局観として
先手の穴熊が組みあがっているのに対して、後手は9筋の歩が伸びていませんし、84歩も突いておきたいです。玉の堅さを気にせず銀をぶつけて攻めてきたけれど、良い手でしょうか?先手はおかしな手を指しているわけではないので、後手の大技はリスクが高いのです。
先手としては対等な駒の交換でも悪くはないです。しかし穴熊らしい強い戦い方ができそうな局面です。
☆ 簡単なまとめ
すぐ後にもう一度書きますが、65同銀66歩で悪いと打ち切らないで
銀得だから66同金同角64歩
とすれば先手有利でした。65銀とぶつけたのは後手の勇み足です。
○ 65同銀と取ると66歩
これが後手のねらいだということはすぐにわかります。66歩を打たないで65同桂66歩では後手がまずいでしょうから。ここで先手が金を逃げて後手65桂ならば後手有利です。
でもこの局面は銀をもらっているのです。金を取られても良いのではないかと読んでみます。67歩成同金とされるよりは66同金同角のほうが得です。そこで64歩
こういう形での定番の返し方ですね。62金引74銀と進んだら
63銀打があるので先手よしです。後手の歩切れも大きいです。
ゆえに後手は65桂
63歩成同銀86角64歩55銀
先手が十分すぎます。後手が回避する順が見当たりません。
△ 工夫としては64歩を打つと
62金引なら利かしです。65銀66歩同金同角74銀で前の図と合流して先手有利。
64同金65銀となれば
後手は66歩を打つ余裕がありません。65同金66歩同金同金同角
86角52金打24飛22歩
(34飛があるので後手は52金打ではなく43金だったかもしれません。)形勢は互角でしょう。
先手としては64同金に86角もあります。
66銀同金同角64角63金
これも互角くらい。
後手が86角に66銀同金62飛と受けて
55金同金同歩69飛成53角成
こんな激しい変化もあります。
△ 62歩も利かしです。
62同金引ならば65銀66歩同金同角74銀
64歩が残っていませんが63歩から攻めることもできます。24飛や86角の味も良く、先手十分です。
後手としては62歩に同飛なのでしょう。
65銀66歩同金同角64歩
64同金が余計な変化ですが、64同銀同飛86角
88角成同金69飛成78銀39竜
62歩同金24飛79銀69金・・・というような激しい終盤になります。先手が駒得でも穴熊の場合は角よりも金銀のほうが良いということもあり形勢不明です。
△ 実戦は55歩でした。
これはおとなしい指し方です。66銀同金46歩
これは46同歩とするのが正しかった、というのは46同角65歩56金45銀
と進んだのですが、35銀~47飛成でまずかったからです。この45銀は後手のミスで、45同金同飛24角
としていたら先手の飛の働きが良いです。1手勝ちになったでしょう。
さて24角を逃して45同金同飛54歩同金56銀
飛を追って47飛成を防いでから24角をねらったのが実戦の順ですが、46飛同歩39角
56銀の働きが悪く、24飛と走ることのできない形で39角を打たれて思わしくありません。飛を取らせて寄せ合いを目指したのですが、後手Kさんがそのまま勝ちました。
× 55銀とかわすと
54歩で銀が死にますが66歩を打てますから取り合いです。後手の56銀が手筋で、56同金55歩
これは後手が指しやすそうです。
後手としては66歩77金寄を入れてから54歩とするほうが
銀を取れるので駒得です。先手も24角から暴れるのでしょうが、ちょっと無理でしょう。
△ 57銀と引けば
66歩77金寄に85桂86金
桂取りが残るので85桂は跳ねないほうが良いです。跳ねずに駒組みして
先手は右桂を跳ねて46歩から動きます。66歩の拠点は大きいですが、穴熊なのでこれでも戦えます。
△か× 77銀上は
66銀同銀65歩77銀85桂88銀打
駒損ですが後手玉が薄くなるのでまだまだ。でもあえて選ぶ順ではないです。
× 77銀引は
66歩57金85桂86銀76銀
金銀の配置の違いで後手よしです。
△ 角を使って受けてみます。77角は
66銀に同金は85桂で駒損になります。66同角同角同金39角
68飛57角成(57銀は38飛)67金引68角成同金引67歩同金左49飛55角
後手にいいように攻められたようでも悪くはありません。
△ 57角だと
66銀同角ならば前の変化と同じです。この場合は66同金と取ることもできて46歩同歩65銀
67歩66銀同歩65歩67銀
66歩同角同角同銀46飛55角
丁寧に受けると66銀の形は39角が厳しくないです。反撃してまあまあの形勢です。
△ 6筋を放置して24角はどうでしょうか。
66銀33角成同桂66金
やはり39角があるのですが、先手の飛が成りこめる形ですから64歩同金55金同金21飛成
金を捨てて踏み込んでみます。56金64歩67銀79金62歩51角
金損なので無理をしているのですが、実戦ならばどう転ぶかわかりません。
☆ まとめ
相手に疑問手がない時に自分の力だけで有利にしようというのは難しいです。仮に作戦勝ちであったとしても、自分から動いて有利になるという方が少ないのです。相手に無理な動きをしてもらって、反動で利を得るのがスマートな勝ち方です。
問題図では先手におかしな手がない(手損もしていない)のですから、後手からの動きは無理をしています。堂々と相手のねらいに踏み込んでみれば先手有利でした。カウンター攻撃は先制攻撃よりも破壊力があります。
後手が銀を捨てて66歩を打とうというのは理想的な攻めの手順なのですが、失敗することも多いです。攻める場合は基本的に駒損を伴いますから、変化をよく読んでみる必要があります。読みに自信がなければ(感覚派ならば)序盤をよく研究しておくことです。そのために定跡があるのです。