後手番大山先生の手を考えます。
第1問
ひと目好手の角を打たれました。つぶされてはいけません。
A 31玉 B 74歩 C 85歩
第2問
苦しい中で最善を選びます。
A 29角成 B 65銀 C 77歩
第3問
歩切れは痛く、やれることは限られます。
A 78同馬 B 99馬 C 65銀
第4問
これが有名な局面で、先手玉は頓死しているのでした。23手。
後手番大山先生の手を考えます。
第1問
ひと目好手の角を打たれました。つぶされてはいけません。
A 31玉 B 74歩 C 85歩
第2問
苦しい中で最善を選びます。
A 29角成 B 65銀 C 77歩
第3問
歩切れは痛く、やれることは限られます。
A 78同馬 B 99馬 C 65銀
第4問
これが有名な局面で、先手玉は頓死しているのでした。23手。
今日の棋譜20200508
昭和23年3月、升田幸三先生と第7期名人戦挑戦者決定戦第3局です。
角換わりの出だしですが
大山先生は角を交換せずに62銀~54歩。前局にも負けている、升田先生の得意戦法を避けました。
升田先生は飛車先の歩を交換し、横歩を取りました。この形ならば77角成同銀25角(や45角、これは35飛27角成15角~38金もある)は32飛成同銀38銀として角の打ち込みがありますから先手有利です。
大山先生は中央の位を取りました。1歩損は手得でカバーしようというわけです。
しかし56歩は取りにくく(56同飛54歩ではばからしい)44銀
55歩に52飛、多分に予定ではない戦いになりました。
中央を抑え込んでやれやれと思ったら57歩と合わせられました。57同歩成同銀右56歩は56同銀同銀53歩で困ります。
中央を押し返して
雁木に組み、手損が手得になった升田先生が作戦勝ちです。
先手の中央が手厚いので大山先生の飛は8筋に戻り、手損もひどいです。
升田先生の59角~77桂というのはちょっと間違ったか。手得を活かすためには早く攻撃の形を作りたいですし、3筋の歩を取っているので35歩~34歩というのが正しい指し方です。
大山先生は2歩手持ちにできたので、歩損は薄まりました。73桂~65歩という攻めの筋もできました。つまりここでは互角に戻ったのです。
26角に44角。このやり取りは微妙なところですが、44同角同歩55歩を取れないですし、44同角同銀72角も馬を作られるので、大山先生の小ミスでしょうか。
升田先生は角交換を避けて37角~48飛。59角は0手で37に移動したことになるので悪くはないです。
大山先生の65歩は指しすぎです。45歩と突かれて37角の筋を止めるには
6筋を押さえてから
55歩ですが、中央が危なくなりました。
銀2枚で55に利いている数は上回るのですが。
升田先生は44歩同角35銀。22角に44歩同歩55歩というつもりです。
大山先生は角を逃げずに33桂でしたが、44銀同歩で駒損になるからちょっと悪いはず。升田先生は角を取らずに55歩でしたが
55同角に53歩同銀55角という手順で交換して
左桂を攻めに使えるというのは雁木の利点でもあります。
53歩も気持ち良いところですが
24歩を打つというのは意味がわかりにくいですね、自信はなかったと思います。65銀に53角52歩23歩成同金52歩成同金43飛成というのが24歩の意味なのですが、24同歩には44歩同歩同銀くらいしか見えません。
大山先生は57歩~66歩を利かしてから45角。攻防の手ですが、先手の65桂を取り切る順は捨てています。
対する升田先生は96角。いかにも升田好みの自陣角です。31玉は52歩成なので
85歩同銀82飛76銀31玉、大山先生は1歩犠牲にしのぎます。
升田先生はチャンスと見て37桂56角(36角か)57金と角を追います。29角成とさせて23歩成同金24歩22金34銀としたいのでしょう。
77歩が利いて、77同金89角成で難しい図です。
升田先生は飛を2筋に使い
24歩が入り
金をひいて34銀~23歩成ねらい。大山先生は馬ができていても(いつもの))歩切れで不利になっています。
65銀同銀73桂は非常手段です。
桂をつなぎ
銀を出て67歩成などの攻めがあります。
73銀成に飛を逃げる余裕はなく(52歩成で悪い)、78馬から
67金ですが、升田先生は89玉77桂成59金を選ぶことはできました。69玉のほうは王手がいっぱいかかります。
詰めろで迫られて
39玉に大山先生の48成桂は疑問手です。37成銀が詰めろで、後手玉は詰まないので38金と受けるくらい、48金か47桂で指せていたと思うのです。
2枚替えの取引で飛を取るというのは、攻め駒が減るので好手になることは少ないです。88飛と打って、58桂67歩成ならば勝ち筋ですが
47玉に87飛上成同角同飛成。ここがよく話題にされる局面です。
後手玉は23桂同金32銀からの詰みがあります。合駒に何を使ったら詰めろが消えてしまうかを読み切っていないと先手が勝てないわけですが。ソフトにかけると、飛金以外の合駒、角か銀か桂合いならば詰めろを保てます。
合駒を使わずに46玉(他の場所も詰んでいます)、これが升田先生が数年後に名人になるまでに最も悔やんだ手です。64角を打たれて
55桂に47金。これで57竜~55竜~75竜という詰将棋に出てきそうな手順で詰んでしまうのです。「錯覚イケナイヨクミルヨロシ」と自嘲したのでした。
かなり難しい将棋で、両者に間違いもあるのですが、それも含めての熱戦です。技量と体力は、長い戦いになると体力のほうが有利なのでしょうね。
#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.41 棋譜ファイル ----
開始日時:1948/03/03
手合割:平手
先手:升田幸三8段
後手:大山7段
手数----指手--
1 2六歩(27)
2 8四歩(83)
3 2五歩(26)
4 8五歩(84)
5 7六歩(77)
6 3二金(41)
7 7七角(88)
8 3四歩(33)
9 6八銀(79)
10 6二銀(71)
11 7八金(69)
12 5四歩(53)
13 2四歩(25)
14 同 歩(23)
15 同 飛(28)
16 2三歩打
17 3四飛(24)
18 5三銀(62)
19 3六飛(34)
20 5五歩(54)
21 5六歩(57)
22 4四銀(53)
23 5五歩(56)
24 5二飛(82)
25 6九玉(59)
26 5五銀(44)
27 4八銀(39)
28 5六歩打
29 5七歩打
30 同 歩成(56)
31 同 銀(48)
32 4一玉(51)
33 5六歩打
34 4四銀(55)
35 2六飛(36)
36 4二銀(31)
37 6六歩(67)
38 5三銀(42)
39 6七銀(68)
40 5四銀(53)
41 2八飛(26)
42 6四歩(63)
43 5八金(49)
44 7四歩(73)
45 4六歩(47)
46 8二飛(52)
47 3六歩(37)
48 5二金(61)
49 5九角(77)
50 5三銀(44)
51 7七桂(89)
52 8六歩(85)
53 同 歩(87)
54 同 飛(82)
55 8七歩打
56 8四飛(86)
57 2六角(59)
58 4四角(22)
59 3七角(26)
60 2二角(44)
61 4八飛(28)
62 6五歩(64)
63 4五歩(46)
64 6六歩(65)
65 同 銀(57)
66 6五歩打
67 5七銀(66)
68 5五歩打
69 4六銀(57)
70 7五歩(74)
71 同 歩(76)
72 6四銀(53)
73 4四歩(45)
74 同 角(22)
75 3五銀(46)
76 3三桂(21)
77 5五歩(56)
78 同 角(44)
79 5三歩打
80 同 銀(64)
81 5五角(37)
82 同 銀(54)
83 6五桂(77)
84 5四銀(53)
85 5三歩打
86 4二金(52)
87 2四歩打
88 5七歩打
89 6八金(58)
90 6六歩打
91 7六銀(67)
92 4五角打
93 9六角打
94 8五歩打
95 同 銀(76)
96 8二飛(84)
97 7六銀(85)
98 3一玉(41)
99 3七桂(29)
100 5六角(45)
101 5七金(68)
102 7七歩打
103 同 金(78)
104 8九角成(56)
105 2三歩成(24)
106 同 馬(89)
107 2八飛(48)
108 2五歩打
109 2四歩打
110 8九馬(23)
111 7八金(77)
112 6五銀(54)
113 同 銀(76)
114 7三桂(81)
115 7四銀(65)
116 6五桂打
117 5八金(57)
118 5六銀(55)
119 7三銀成(74)
120 7八馬(89)
121 同 玉(69)
122 6七金打
123 6九玉(78)
124 5八金(67)
125 同 玉(69)
126 5七桂成(65)
127 4九玉(58)
128 4七銀成(56)
129 3九玉(49)
130 4八成桂(57)
131 同 飛(28)
132 同 成銀(47)
133 同 玉(39)
134 8八飛打
135 4七玉(48)
136 8七飛成(82)
137 同 角(96)
138 同 飛成(88)
139 4六玉(47)
140 6四角打
141 5五桂打
142 4七金打
143 投了
まで142手で後手の勝ち