名将会ブログ (旧 名南将棋大会ブログ)

名古屋で将棋大会を開いています。
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SS4-6 ノーマル中飛車に53金戦法(1)

2024-10-17 | 基本定跡の研究

新しいテーマに移ります。再び加藤一二三先生の「プロの中飛車破り」から、53金戦法 (金立ち戦法) を調べます。

初手からの手順は前後しても良いですが、76歩84歩56歩85歩77角54歩68銀34歩66歩62銀58飛42玉48玉32玉38玉52金右67銀74歩28玉42銀38銀53金

金で攻めようというのは珍しいです。角落ち本定跡から応用したのでしょうか。対中飛車だけで使われます。 (向い飛車に使った実戦もあったと思いますが。) 先手としては、中飛車のまま対応するか、三間飛車や向い飛車にするか、に岐れます。大山加藤戦の進行は、78金64金16歩14歩68角

これで75歩と攻めても互角です。53銀右77桂55歩

とするのはあるようで、評価値は-96の後手ペースです。65歩に54金と寄れる (75歩を突いている形ならば74金) というのが金で攻める利点です。

戻って

73桂77金 (75歩に備えた) 53銀右36歩44歩

角筋を止めて持久戦に移行します。46歩43銀47銀42銀38金33銀59角31角78飛

銀矢倉に組み替えるというのが加藤先生の素晴らしいアイデアでした。22玉58銀左32金57銀

大山先生も金銀の繰り替えで対応しているのですが、後手玉のほうが堅いです。この図の評価値は-205、後手の作戦勝ちです。94歩96歩55歩67金

56歩同銀右55歩47銀84飛58飛

54金56歩64角

55歩同金56金の時に、実戦進行は54金55歩同金同金同角・・・なのですが、54歩と打つのが好手だった

と加藤先生は書いています。この図の評価値は-282の後手良し。実戦進行でも悪くないですが。後手玉のほうが堅く、飛角金桂を使いやすいです。

加藤先生は別の形も書いていて (想定手順だと思います)、先手がツノ銀中飛車でもこの図を目指します。

気を付けなければいけないのは、94歩96歩を入れていることです。無い場合は65歩同桂同桂同金95角

馬作りを防げないので後手が指しにくくなります。

戻って

加藤先生の想定は、57角75歩同歩同金76歩74金

この図の評価値は-221で、後手良し、指しやすいです。

また戻って

AIに聞いてみると、先手が動くならば65歩同桂同桂同金95歩同歩57桂64金95香同香

1歩手に入れて65歩を打てば金は死ぬのです。でも95同角92飛51角成55歩では殺せません (評価値-221) 。すぐに65歩として、97香成64歩同角

この図の評価値は-326の後手有利。香歩と金の交換でも成香を作られ、先手が駒得というわけでもないのです。玉の堅さや攻め駒の数で劣ります。

ということで、中飛車のままならば、後手は銀矢倉への組み換えが優秀だとわかりました。

コメント
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