新しいテーマに移ります。居飛車穴熊ですが、これがノーマル中飛車が指されなくなっている原因でしょう。定跡本としては、所司和晴先生の、「東大将棋中飛車道場第4巻」です。
初手から76歩34歩26歩44歩48銀42銀56歩52飛68玉62玉78玉72玉58金右54歩57銀
対中飛車では中央を厚く構えたいので、58金右としてから組むほうが普通です。43銀77角82玉88玉72銀25歩
この辺りで25歩を突いておく方がちょっと得です。というのは98香を急ぐと45歩66歩55歩
32金を省略して動かれて、55同歩同角67金44角99玉33桂88銀24歩
2筋を軽く受けられてしまう可能性があるから。でもこの図でも先手が悪いわけではないようです。
戻って
33角98香32金99玉45歩
後手は角交換を挑み、もちろん先手は角を交換しないほうが良いです。66歩55歩同歩同飛67金51飛88銀54銀56歩
先手はまだ56歩を打たなくても良いのですが、打っておけば無難です。この図の評価値は+207で先手の作戦勝ち。ここで後手の指し方が分岐しますが、64歩79金94歩96歩44角
先手は端を受けておく方が良いです。後手は何か動きたいのですが、作戦負けだと考えれば、動く方が間違っていて、評価値は次第に上がっていきます。24歩同歩同飛33桂
ここは34飛もあるけれど、36歩 (35歩ねらい) 23歩29飛21飛
AIに聞くと、ここでは65歩77角成同金
35歩をねらって後手は陣形をまとめることができません。評価値はすでに+771、はっきり先手有利です。
解説に戻ると
35歩同角55歩
AIに聞くと、55同銀65歩56歩とされると難しくしてしまっているようです。63銀引56銀41飛
と進むのが実戦例なのでしょう。金銀が上ずってしまい、評価値を下げています。65歩同歩同銀64歩54銀52銀38飛
AIに聞くと、79角成同銀46歩
この図の評価値は-445で後手有利。穴熊の場合は角よりも金のほうが価値が高いということが頻繁に起こります。解説 (実戦例) では、角を切らずに44飛68角・・・と進むのですが、もう定跡の範囲ではないのでやめましょう。
とりあえず定跡 (というよりは実戦例) を追いかけてみましたが、居飛車穴熊に組んだ時点で、居飛車の作戦勝ちのようです。原因は後手玉が薄く、右金の離れた居飛車穴熊でも十分だということですね。後手から動いてもらえれば、それに対応するだけで簡単に勝てそうです。