名将会ブログ (旧 名南将棋大会ブログ)

名古屋で将棋大会を開いています。
みなさんの棋力向上のための記事を毎日投稿しています。

SS3-4 ダイレクト向い飛車(25):対策

2024-05-13 | 基本定跡の研究

ひとつ前の項目に戻るのですが、横山友紀先生が「ダイレクト向かい飛車こそが合理的な戦法である」という本を出しています。多くは見飽きた変化だったので、立ち読みで済ませてしまいましたが (済みません) 、重要な形が出ていました。

私はダイレクト向い飛車対策として37銀が良いという結論にしていました。横山先生は72銀58金右44歩46銀42銀

左銀を引いて43銀型を目指すのだと書いています。先手が矢倉型にした場合を解説されていますが、AIに聞いてみると、先手は銀冠を目指す方が良いのだと言います。86歩43銀87銀

手順の問題で (77桂を先にすればいいのですが) 、33桂37桂45歩

これはちょっと気になります。でも45同桂同桂77角

角を先着してから桂を取り返せば問題なし。

なので

33桂37桂21飛77桂42金88玉

この図から後手が動くのもあるのですが、明日に回します。84歩78金83銀26飛72金35歩

先手は3筋の歩を交換しておきます。35同歩同銀34歩46銀73桂66歩52金16歩14歩56歩54歩

54歩のところ、48角には57角59角成29飛がありました。57銀64歩58金42金46歩

手詰まりのようですが、評価値は+200ほどで先手の作戦勝ちを示しています。35歩ならば65歩同歩同桂

銀冠なので、左桂を使う打開がありました。65同桂は64角です。64歩には53角

この図の評価値は+643の先手有利。後手は隙を見せてはいけないようです。ともあれ後手陣に隙がなければ千日手かも。

なので先手がもっと積極的に動く順を探します。

この図から、55歩同歩54歩

54同銀は32角ですね。45桂同桂同歩55銀

37角56飛64桂

64桂の所で19角成は、65桂打61桂53歩成同桂73桂成同金54歩、と攻めが続きます。64同銀同角成55角

55同馬同飛64銀58飛

普通の受けは55歩なのですが、先手は57桂が好手だと。

66の地点を空けないように、45桂と65桂打をねらいます。この図の評価値は+298でほぼ先手有利。

ちょっと戻って

81飛が最善のようで、65桂打同銀同桂

65同歩は66桂なので、55角64角33角成

57歩18飛54銀65歩37角成57金

これくらいが相場のようです。評価値は+190で先手良しの範囲ですが、後手も戦えるというくらい。

先手が銀冠にすれば、いくつか打開策があって指しやすいというところです。

 

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SS3-5 先手角道オープン向い飛車(24)

2024-05-12 | 基本定跡の研究

高崎先生の定跡本の最後は、後手から角を交換する形です。

どちらで取るのもあるのですが、77同銀の場合、AIに聞いてみると、66角を打てば42角

8筋突破を見せて66角 (あるいは39角など) を打てば、後手は42角 (あるいは64角など) を打たねばならないようです。この図の評価値は0付近の互角です。

さて定跡本では77角成同銀44銀に、78金42銀86歩同歩同飛

飛をぶつけています。ここもAIに聞いてみると、86同飛同金72金

この図の評価値は-70で後手ペースかどうか。

定跡本ではこの図から

85歩88飛74歩68銀

86歩77金87角

84歩同飛95角

82飛86角同飛同金69角成

ここは87金と引いて先手良しとされているのですが、24角があって

59金は68馬同金78銀ですし、59銀のほうがましですが、

79角成の図は評価値-294の後手良しです。

戻って

77同桂の場合は、44銀57銀22玉89飛12香68金11玉46銀22銀85桂

角を交換している形で穴熊はどうかと思うのですが、先手は「85桂ポン」をねらえます。定跡本 (実戦例か) では55歩同歩を入れ、暴れようとして悪くしています。AIに聞いてみると、85同飛86歩82飛85歩95角

58金左に74歩~73角という指し方で互角のようです。先手はこの95角が生じない形で「85桂ポン」をねらう方が良いのでしょう。後手は穴熊はやめておいた方が。

 

力戦型の手将棋になるのですが、基本的には互角、バランスを崩すと形勢が傾くということのようです。

これで角道オープン向い飛車 (升田流向い飛車) を終わります。

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SS3-5 先手角道オープン向い飛車(23)

2024-05-11 | 基本定跡の研究

高崎先生は

後手の42銀を見て、先手が66歩と止める形を書いています。後手は急戦をねらうのですが、52金右58金左53銀左67金

67銀でも構わないと思うのですが、金を上がる力戦型を勧めています。大野流ということになるのですが、42金上57銀64歩46銀

古い将棋にありそうな形です。45銀と出られるのが気になるので、後手は44銀と対抗して、26歩63銀27銀73桂38金

この図で先手十分だと。評価値は+28なので互角です。後手の仕掛けは難しいけれど、先手から動けないのでは千日手になるのでは。

さてAIに聞いてみると、

44銀ではなくて44歩だと。「歩越し銀には歩で対抗」ですね。26歩43金右36歩45歩

この歩は取っても難しいことが多いのですが、この場合は45同銀13角78飛33桂

先手は46歩を突けないので苦しいです。

なので

ここは銀を引くのですが、37銀引は堅いけれど、どこかで後手から65歩から攻められそう。57銀のほうは73桂27銀65歩

先手の27銀が不用心だったわけですが、65同歩は同桂22角成同玉68銀69角

47角成と86歩同歩87歩の筋を見て後手良しです。評価値は-224

なお先手が36歩を突かなくても45歩があります。

45同銀には13角78飛33桂36銀引35歩

この図の評価値は-118、25銀同桂同歩として、まだ難しいのですが、先手が好む変化でもないでしょう。

ということで、高崎先生の勧める

67金の形は今一つです。後手が初見ならばいい勝負でしょうが。

なお高崎先生は後手が棒銀を採用した場合も書いていて、73銀57銀84銀

78飛64歩98香75歩68角

というのが実戦例なのでしょう。後手は65歩を突いて難しくしている (77桂と迎撃された) のですが、AIに聞いてみると、72飛75歩同銀76歩84銀

この図の評価値は-58、先手良しというわけでもありません。

ということで先手の正しい対応は

67金ではなくて46歩を突いて待つことでしょう。先手三間飛車よりも1手早いのですから、後手の65歩急戦は難しすぎます。左64銀か棒銀になるのでしょうが、後手四間飛車に対しても、居飛車は互角がやっと、かなり指しにくいです。ただ後手が千日手でも良いと待っていたらどうなるかわからないのですが。まあそれは先手振り飛車全般に言えることです。

 

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SS3-5 先手角道オープン向い飛車(22)

2024-05-10 | 基本定跡の研究

高崎先生の定跡本には、持久戦で端を受けて33角から

46歩22玉36歩32銀37桂24歩58金左44歩

左美濃にして、47金43金66銀64銀58飛52飛

前に書いたのですが、田中先生の定跡本には書いていない、後手が銀と飛を対抗する形です。私は評価値が0付近の互角だとしていたのですが、この局面の先の展開を高崎先生は書いています。実戦例なのでしょう。75歩42角78飛

先手の飛は7筋へ。23銀26歩32金27銀82飛38金94歩59角84飛76飛

先手は石田流へ。66銀型はあまり見ない形です。12香48角11玉77桂33金寄65銀

先手は後手の穴熊完成前に仕掛けました。定跡本 (実戦例) では、65同銀としているのですが、これが疑問手です。65同桂58銀48金引67銀成74歩

74同飛同飛同歩53銀31角71飛

以下、後手の離れ駒を利用して先手が攻める展開で優勢になっています。

さて

AIに聞いてみると、ここは32金引が正しく、64銀には同角でも同飛でも65銀と打つ展開で、互角です。74歩のほうが自然に見えますが、65銀が利いて、同桂74飛同飛同歩

この局面の評価値は、0付近の互角です。後手玉のほうが堅い (深い) けれど、先手は65桂と跳ねているのがプラスです。

なお

65同銀同桂32金引でも同じことのようですが、先手は74歩ではなくて41銀と掛けて

評価値は+238の先手良しです。この辺りの細かいやり取りは、持久戦の場合に重要になってきます。(だから難しいので、アマチュアには急戦のほうがやさしいです。事前研究できるのですから。)

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7月の予定

2024-05-09 | 名将会

7月の予定が決まりました。     

 

第253回

壱  5月18日(土)R1800点以上

弐  5月26日(日)R1800点以下

第254回

壱  6月8日(土)R1800点以上

弐  6月22日(土)R1800点以下

第255回

壱  7月13日(土)R1800点以上

弐  7月27日(土)R1800点以下

 

プラスマイナス100点までは参加してよいです。つまり壱は1700点以上、弐は1900点以下です。
誤差100点は超えないように、R区分は守ってください。
皆様の参加をお待ちしています。

 

なお名南研究会の次回は6月29日(土)に予定しています。9時30分より3局。

どなたでも参加できますが、レーティング3局、表彰はありません。棋譜を残して感想戦をしっかり行い、棋力向上することを主眼にしています。

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SS3-5 先手角道オープン向い飛車(21)

2024-05-09 | 基本定跡の研究

昨日の話の続きで、32銀型に対して86歩同歩同角はだめでしたから、86同飛にしてみます。

86同飛同角の時に手が広く、高崎先生の定跡本にも解説が多いですが、34歩を見てみましょう。

これ以外にも87飛、57飛、62金、52金右、82飛があるのですが、全部追いかけても仕方がないのでこれだけにします。84飛82歩54飛52歩88歩

高崎先生は先手が重い形で不満だと。評価値は-272で後手良しです。AIに聞いてみると、84飛82歩には77角

このほかに55歩も難しいみたいです。進行例は77同角成同桂57飛58金左56飛成68銀33銀

83歩72金82歩成同銀53角62角

75角成には74歩が面倒なので、57銀55竜62角成同玉66銀

25竜48玉27竜38銀28竜

65桂31角54飛53歩56飛44銀

何とも言えない攻防ですが、評価値は-100前後で推移しています。とにかく変化が多く、先手が乱戦を好むならばというところです。感覚の良いほうが有利になる将棋でしょう。

なお後手が85歩と謝ると

手順は飛ばしますが、

引き角から8筋の歩を伸ばされたら78金と受けておいて

86歩を取りに行けば先手が指せるようです。

後手が86歩と伸ばさない場合は、66角~84歩として

73桂96歩62銀97桂

86歩77銀

やはり86歩を取りに行けば先手が指せるようです。

 

 

 

 

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SS3-5 先手角道オープン向い飛車(20)

2024-05-08 | 基本定跡の研究

この角道オープン向い飛車には、先に出版されている定跡書があります。2010年出版の「高崎一生の最強向い飛車」で、重複しているところが多いのですが、田中先生が書いていない変化を調べてみます。

32銀とする手、これは31角と引いていわゆる飯島流引き角戦法を目指すような形です。 (飯島流といいながら、アマチュアの先行する定跡書があり、どこがオリジナルなのかを言及せず宣伝するので、私は飯島先生を軽蔑します。)

さて86歩同歩同角と動いたら。

34歩には77角同角成同桂

88飛成同銀

この図の評価値は+105で先手ペースです。本に書いてあるのは、57飛58金右56飛成83飛82歩85飛成 (87飛成のほうがわずかに優る) 62金

高崎先生は後手良しというのですが、評価値は+110で先手ペースです。

でもここまでが一本道ではありません。

この図で86同飛同飛95角83飛打31角とするのもありそうで

後手も角が使えます。87歩86角右同歩

ここも分岐で、82飛とするのはあとで。87飛81飛成86角

王手飛車の筋がまた出てきて、48玉75角同歩81飛成

53桂89竜66角76飛

どうしてこれが最善手なのかもわかりにくい応酬です。評価値は+94の先手ペースですが、初見だとどちらが有利になるかわかりません。

少し戻って

ここで87飛ではなくて、82飛同飛成同銀とするとおとなしい展開になります。

進行例は48玉64角78金72金38玉74歩

この図の評価値は+77で少し先手が指しやすいようです。

ということで王手飛車の筋は、先手が少し指しやすいというのが結論です。

話は戻って、34歩77角同角成同桂の図ですが、

本に書いてある88飛成も必然ではありません。87歩89飛88角

これが先手にとって厄介な変化です。66角79角成同金88銀84歩

89銀成同金88歩成同金79飛

48玉99飛成65桂64香

11角成65香78金33桂

妥当にみえる進行で、評価値は-192の後手良しです。

つまり先手の86歩同歩同角は無理なのでした。

 

 

 

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SS3-5 先手角道オープン向い飛車(19)

2024-05-07 | 基本定跡の研究

田中先生の定跡書の最後は

後手が急戦含みの舟囲いを選んだ場合です。38銀42銀16歩14歩57銀53銀右22角成

先手から角を交換するのですが、2手損になります。最初から向い飛車なので、後手番の角交換四間飛車に比べればまだ1手得とは言えるのですが。22同玉77桂32金89飛64銀66銀44歩68金

先手は下段飛車の形を作り、後手は54角を打てない形なので、先手がまずまずという気もするのですが。73桂26歩43銀36歩52金27銀33桂38金24歩37桂

AIはここで45歩と位を取れば後手が指しやすいと言います。定跡本では42金右46歩

田中先生は片銀冠と木村美濃の違いがあるので先手の作戦勝ちだというのですが、評価値は-92の後手ペース。先手から攻める手がないので、後手はどのようにでも金銀を繰り替えられます。あとは8筋の歩の関係があって、先手の89飛は動かせないけれど、後手の82飛は移動できるということもあるのでしょう。もし振り飛車が後手番ならば手待ちだけで構わないわけですが、先手番だから打開しなくては、ということもあります。

なので先手の工夫をAIに聞いてみると、

角を交換しないで、66歩のほうがましではないかと。後手がすぐに攻めるならば、75歩同歩64銀ですが、74歩75銀65歩

と迎撃して、評価値は0近辺の互角です。

この角道オープン向い飛車 (升田流向い飛車) は、急戦に面白い変化もあるのですが、後手に正しく対応されると互角を超えることがありません。

 

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SS3-5 先手角道オープン向い飛車(18)

2024-05-06 | 基本定跡の研究

またまた後手の工夫です。

この図から、44歩、33角、74歩を調べてきましたが、最後は24歩からの天守閣美濃。24歩46歩23玉45歩32銀46銀

先手は意欲的な指し方ですが。44歩同歩同銀45歩33銀

昔流行した、四枚美濃にすると、58金左43金47金31角36歩74歩26歩

田中先生は先手の作戦勝ちだとしていて、評価値は+114です。通常の形に比べて、66歩を突いていないから55歩同歩同角などと動きやすいのと、後手の引き角に対しては、最初から向い飛車なので手損していないです。

では後手の作戦が失敗なのかですが、AIによると、途中のこの図で

77角成同桂74歩

ここで先手の指し手が難しいです。55歩同歩同銀54歩66銀くらいで桂頭を守っておきますが、

64歩89飛33桂68金62金

この図の評価値は-87。44歩同歩同銀と、73桂~65桂のねらいがあります。後手にだけ打開策があるので、後手の作戦勝ちでしょう。

もっと前からAIに聞いてみると、

24歩には66銀

23玉26歩32銀27銀74歩38金

四枚美濃 (44銀~31角) には68角~46角が見えます。それは避けるとして、後手の指し方もいろいろあるのでしょうが、64歩36歩65歩

57銀44歩37桂43金

こんな図で、評価値は0近辺の互角です。

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SS3-5 先手角道オープン向い飛車(17)

2024-05-05 | 基本定跡の研究

また後手の工夫ですが、端を受けてから74歩を突きます。

22角成同玉66銀32銀75歩

先手は角交換で手損するから、うまくいく感じではないですが。75同歩同銀33角66角

66同角同銀までは良いとして、定跡書 (おそらく実戦例) には44歩

この歩を突く必然性はないでしょう。78飛73歩88飛43金72歩

後手は駒の片寄りをつかれています。62銀55歩同歩同銀54歩66銀

田中先生は先手ペースとしているのですが、この図の評価値は-76で、わずかに後手に振れています。ただAIの推奨手順を追いかけてみると0付近の互角なので、この図も互角とみるべきなのでしょう。

後手としては

この44歩の代わりに64歩を突く方が良さそうですね。78飛73歩88飛74歩

「歩越し銀には歩で対抗」の形になりました。58金左に44角

77歩ならば73桂36歩65歩57銀75歩

この図の評価値は-122の後手ペース。44角のにらみが大きいです。

昨日もそうでしたが、この辺りの変化局面の評価が、田中先生のものは振り飛車に肩入れし過ぎているのでしょう。後手が変な手を指さなければ、先手が指しやすくなる理屈がありません。

 

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