「アナザージャケット」
Buono!の3rdアルバム「We are Buono!」が先週届きました。DVD付きの方を買いました。中身は特典としてミラーコート加工された一枚のアナザージャケットが入っています。さあ誰が出るか?
愛理でした。第一希望で自分おめでとう。
「ロキノン系と中二病」
早速聴いてみよう。一曲目のイントロからいきなりギターが全開で響いてます。Buono!はロック!そう叫んできた人達は早くも歓喜でしょうか?
クエスチョンマークなのは、先入観を抜きに聴き、先入観を抜きにレビューを書くため、他の人の感想をまだ読んでいないからです。これを書いている時点では、評判はまだわかりません。
二曲目。売上的には苦戦を強いられた「Our Songs」って、こうして聴くとなかなかヨイではないですか。つんく作曲になってBuono!はつまらなくなったと言う人がいますが、それは先入観というものです。
自分は確かに「co・no・mi・chi」の時に、Buono!がつんく楽曲である必要はないと書きましたが、それはBuono!のイメージ戦略についての話。そして、自分も含めて「Buono!を他のハロプロと違う立ち位置に置くべき」と思い続けてきた人は少なくありません。
ところが私は、その後のシングル曲については気に入っています。販売戦略的に、つんくPがBuono!に書くのは違うなとは未だに思っていますが。
次の「Independent Girl~独立女子であるために 」もギター全開。「ASIAN KUNG-FU GENERETION」あたりを思わせるサウンド。今回のBuono!はロキノン系(雑誌「ロッキンオンJAPAN」に紹介されているようなアーティスト系)で行くのか?と思いつつ閃きました。
そうか!Buono!を他のハロプロとは違うと定義づけたいという気持ちは一種の中二病(※)だ。
アイドルポップスというジャンルにコンプレックスがどこかにあるとすれば、人前でスピーカーから流す事が出来るかというと、それは出来ない!となる事でしょう。でも、Buono!ならなんとかいける。流してみる事に蝶蝶はない。そう思わせてくれる存在。
でも、それは違うような気がしてくる訳です。Buono!はアイドル。Buono!はハロプロ。れっきとしたハロプロミュージックです。それで良いのだ。ハロプロも躊躇せず流しましょう(笑)。
音楽を理屈で理論武装したり、必要以上に良く見せるキャッチフレーズは要らない。
※ 中二病 自分は他人とは違う(と思いたい)。そんな背伸びした気分の事。中学二年生くらいの年になると、少し大人な気分と世界をのぞき見たくなり背伸びを始める事が多いから、この名が付いたのかなと想像。ちなみに、自分はこな時期に洋楽を聴き始めた(苦笑)。
「ラブソング」
「MY BOY」の辺りで、なんだか気恥ずかしさを感じてきました。なんだこの妙な感覚?
つまり、作り上げたBuono!像に忠実であろうとする、作り手(この曲はつんくP)の気負いみたいなのが感じられてしまうのでした。いや、「MY BOY」は割と好きな曲なんだけれど、多分一曲目からずっと力んでいる空気が続く中で、「この流れは、何曲目まで続くんだ?」と心配にさせられているからに違いないのです。
ようやく中盤に差しかかり、曲の展開はバリエーションあるものに変化していきます。そこでふと気づきました。
「Buono!って、こんなにラブソングを歌うユニットだったっけ?」
中盤からのアルバム曲はなかなかサウンドも面白い。「うらはら」や「カタオモイ。」や「Blue-Sky-Blue 」は音的にも気に入りました。だが、なんか違う。恋愛がテーマな曲が多いから、流れに今ひとつのめり込めない。今度はこちらが勝手に描いているBuono!のイメージに縛られてジタバタする番。
「Take It Easy!」がビートが利いていなくてもBuono!らしさを感じるのは、歌詞の世界観にあると再認識をするのでした。「Our Songs」がポジティブな世界観に愛理の聴き心地よい低音がフィットしていたように、「Take It Easy!」の世界観では桃子の高音が心地よい。
そして、どちらの曲も見えてくるのは「個」ではなく「三人」なのです。それが、アルバム曲みたく恋愛を歌った瞬間に、それは「個」を歌ったものになって、メンバーの素顔がちらつき始める。あっ、3rdシングルの事を言ってる訳ではありません。
恋愛というテーマは「あなたと私」に完結する。「個」を歌うなら、色々出来る所属グループで歌えば良い。Buono!にソロ曲がない事は、ちゃんとした意味を感じます。理屈じゃない意味を。
「ボーカル」
「紅茶の美味しい店」の三人の歌声がステキです。この曲を作曲したのは、日本の歌謡曲界の大御所である筒美京平さん。1stアルバムの「星の羊たち」も書いています。
この「星の羊たち」から比べても三人のハーモニーは更に良くなっています。中低音の得意な愛理。高音の抜けが良い雅。裏声から低音までオールマイティーな桃子。その三人の歌声が見事に重なる。
三人はまだ走っている最中。青春途上な身。そんな三人だからこそ、真っ直ぐな歌詞が似合ってきたのです。青いくらいにまだ青い。その青い心はまさに空の青さ。
そして、「タビダチの歌」から、バンド風に歌っていくラストの「We are Buono!~Buono!のテーマ」。この一曲に、三人の自信が溢れています。三本の矢なら折れないという戦国武将の言葉の通り、三人だからこその力が溢れたエピローグ。
やはりBuono!は一味違うアイドルユニット。何に対して一味違うのか?それは「ハロプロの中では」ではない事は確か。各メンバーのイメージカラーのごとくパステルカラーイメージなBuono!は、紛れもないアイドルミュージック。ハロプロミュージック。
「まとめ」
Buono!のイメージとしてのロック」、「ハロプロだけれどハロプロっぽくない」というアーティストイメージ中で、一定の色を出せた一枚。多少のマンネリ感と、作り手がもはや自然体ではなく考えながら作っている感がしてしまうのは難点だけれど、まずはリピート出来る一枚になったのではないかと思います。
誉め方が足りない?私は鈴木愛理とBuono!は簡単には絶賛しないのだ(笑)。100点を狙える人に80点や90点で絶賛してはいけないですからね。