とぎれとぎれの物語

瀬本あきらのHP「風の言葉」をここで復活させました。小説・エッセイをとぎれとぎれに連載します。

桜は今年も咲いた

2011-04-19 15:03:07 | 日記
桜は今年も咲いた




 桜は毎年咲く。当たり前のことであるが、被災地の今年の桜は殊に美しかった。
 私は津波で横倒しになった無残な姿の桜が今年も咲いている姿を見て、色々なことを重ね合わせて胸が締め付けられるような気がした。その側には男の子と父親が感慨深げに見つめていた。瓦礫の山に取り囲まれた樹だが、自然の運行はきわめて平等だということを証明していた。それがまた痛々しいほど美しかった。
 三春滝桜(みはるたきざくら)という名木がある。所は福島県田村郡三春町である。樹齢1000年以上の紅枝垂桜の古木である。 「三春の滝桜」、または単に「滝桜」とも呼ばれている。
 この度の東日本大震災では折れた小枝がいくらかあったものの大きな損傷はなかったそうである。避難所にいる被災者がたくさんお花見に訪れた。
 「力を貰いました」
 「あんな地震があってもちゃんと咲くんだねえ。ありがたいことです」
 そう言いながら涙ぐんでいる女性もおられた。花は変わらず咲いている。このことが大きな力を与えたに違いない。
 この桜が咲いたことが再生への大きな力になるだろう。
 私は桜を見て泣いたことはない。しかし、分かるような気がした。
 因みに国の天然記念物に指定されている。同時に指定された他の4本の桜とともに「日本五大桜」と呼ばれている。そのうちの3本は「日本三大桜」と呼ばれている。
 三大桜は、滝桜のほかに「根尾谷淡墨ザクラ」(岐阜県本巣市)、「山高神代ザクラ」(山梨県北杜市)が、五大桜は、そのほかに「狩宿の下馬ザクラ」(静岡県富士宮市)、「石戸蒲ザクラ」(埼玉県北本市)がそれぞれ指定されている。

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