怨念
上村松園『焔(ほのお)』(1918)
光源氏の愛人・六条御息所が、正妻の葵上に嫉妬して生霊となった姿だと言われている。怨念を込めて乱れた髪を口で噛んでいる姿は凄絶である。松園自身どうしてこのような絵を描いたかよく分からないと言っている。その後しばらく筆を絶ち、『序の舞』を完成させる。
その後、笙子さんが喜多川さんに自分の気持ちの真実を告げたらしく、喜多川さんから電話をいただきました。
えっ、一人で静御前を演じたいという気持ちが変わったんですか。
ええ、巫女舞いをバックにして踊りたいということで、近くの神社の娘さんに働きかけているそうです。
すると、別の劇団を作るということですか。
劇団という意識はないと思います。お祭りで神楽を演じるという感じみたいですね。
そう言えば、集団で舞いを奉納する神社もありますね。
そうです。
そうなると、湖笛に対抗する勢力ということになりはしませんか。
いや、どうもそんな強いライバル意識はないようですね。純粋に舞いを演じて霊を慰撫したいということではないでしょうか。
一人ではだめということの意味が私には分かりませんね。
畝本さん、笙子さんのお母さんの死の動機が不明ですが、私はおぼろげながら分かった気がします。
ということは・・・。
夫の不祥事、つまり、落款を使ったという、私はそのことだけではないような気が・・・。
何か他に・・・。
女性問題があったんではないかと・・・。
えっ、・・・それは初めて聞きますが、・・・何か事実をご存知ですか。
いえね、あくまで私の勘ですよ。
勘ですか。
そうです。・・・笙子さんが松園の『焔』の模写をしていたことを坂本さんから聞きました。そのことから画家としての修業以上のものを感じるわけです。
夫への嫉妬ですか。
まあ、そう言ってしまえばあまりにも簡単すぎますが・・・。
・・・。
お母さんの「焔」を体感していたのでは・・・。
・・・。
ですから、静が六条御息所に突如変身するという場面を今私は考えているんです。
そりゃ、あまりにも・・・。・・・私は強い衝撃を受けました。
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上村松園『焔(ほのお)』(1918)
光源氏の愛人・六条御息所が、正妻の葵上に嫉妬して生霊となった姿だと言われている。怨念を込めて乱れた髪を口で噛んでいる姿は凄絶である。松園自身どうしてこのような絵を描いたかよく分からないと言っている。その後しばらく筆を絶ち、『序の舞』を完成させる。
その後、笙子さんが喜多川さんに自分の気持ちの真実を告げたらしく、喜多川さんから電話をいただきました。
えっ、一人で静御前を演じたいという気持ちが変わったんですか。
ええ、巫女舞いをバックにして踊りたいということで、近くの神社の娘さんに働きかけているそうです。
すると、別の劇団を作るということですか。
劇団という意識はないと思います。お祭りで神楽を演じるという感じみたいですね。
そう言えば、集団で舞いを奉納する神社もありますね。
そうです。
そうなると、湖笛に対抗する勢力ということになりはしませんか。
いや、どうもそんな強いライバル意識はないようですね。純粋に舞いを演じて霊を慰撫したいということではないでしょうか。
一人ではだめということの意味が私には分かりませんね。
畝本さん、笙子さんのお母さんの死の動機が不明ですが、私はおぼろげながら分かった気がします。
ということは・・・。
夫の不祥事、つまり、落款を使ったという、私はそのことだけではないような気が・・・。
何か他に・・・。
女性問題があったんではないかと・・・。
えっ、・・・それは初めて聞きますが、・・・何か事実をご存知ですか。
いえね、あくまで私の勘ですよ。
勘ですか。
そうです。・・・笙子さんが松園の『焔』の模写をしていたことを坂本さんから聞きました。そのことから画家としての修業以上のものを感じるわけです。
夫への嫉妬ですか。
まあ、そう言ってしまえばあまりにも簡単すぎますが・・・。
・・・。
お母さんの「焔」を体感していたのでは・・・。
・・・。
ですから、静が六条御息所に突如変身するという場面を今私は考えているんです。
そりゃ、あまりにも・・・。・・・私は強い衝撃を受けました。
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