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お金欲しさに・・・。それとも、また、ほんとに好きになってしまったのか。私は、その女のところへ通うようになっていました。貸せてもらった500万は花りんの病気治療費として冴子に渡してしまいました。こんな大金、どうしたの ? と冴子は言いましたが、なんにも答えませんでした。
「あれでは足りないみたいね」
「・・・」
「じゃ、もう500万・・・」
「・・・」
女は、また、紙袋を私の前にどさっと投げました。
「ありがと、・・・いずれ返すから」
「ははっ、どうやって返すの ?」
「・・・なんとか工面するから」
「えっ、どこで ?・・・はははっ、聞くだけやぼね」
「・・・」
「じゃ、約束を実行してくれますね」
「その、約束って・・・」
「だから、天使にしてくれるということ」
「また、天使か」
「冴子とか京子とかいう人、私に会わせてくれる ?」
「それはできない」
「ははっ、冗談だよ。・・・貴方は正直だね」
「もう一つ聞きたいことがある。・・・旦那と子どもはどうしてる ?」
「正直だね。そんなものいないよ」
「嘘だろ ?」
「嘘かほんとか、・・・まあ、どっちでもいい、ということにしておきましょう」
「不思議な人だね」
「あら、貴方も不思議だらけだよ。ははっ、リアルな話は苦手・・・」
「・・・」
「こんど貴方が来た時は、私の言うことをすべて実行していただきます」
「どういうこと ?」
彼女は、私を見つめているだけでした。
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