Sera の本棚

感動した本のことや映画を見たり、コンサートへ行ったりした感想、高槻の写真など記録できたらいいなあと思います。

みをつくし料理帖ー美雪晴れー高田郁作

2022-04-25 10:46:21 | 

前回のお話で澪がおみくじをひきました。それには「凍てる道を標なく行くが如し ただ寒中の麦を思へ」とありました。料理屋「一柳」の主人柳吾にも

「ただ、陽だまりの中に居てぬくぬくと育てられるよりも、凍てる場所に身を置いて自らを鍛錬するのが似合うのかも知れない。」

「寒中の麦」を示唆されます。料理人としての道をどう進むのか真剣に考える澪。そして澪がたどり着いた答えは「食は人の天なり」という言葉です。

「食は命を繋ぐ最も大切なものだ。ならば料理人として、食べるひとを健やかにする料理をこそ作り続けたい。」

と道がはっきりと見えました。ご寮さんは柳吾に嫁ぎ、澪が独立した後のつる家の新しい料理人も決まりいよいよ終盤です。登場人物それぞれが良い言葉を残しています。自分の周りのひとのことを大切に思い考えるからこそ出てくる言葉です。私も優しい言葉に癒されました。

厚く積もった雪が解けて消えそうに残っている雪、友待つ雪の朝、一片の雲もなく澄みきった蒼天。音は雪に吸い取られ静かな朝。澪の心の波も静まり、まさに雲外蒼天。美雪晴れというに相応しい澪でした。

2022-4-25(月) 図書館資料 請求番号:913/B/タカー9


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