友達に教えてもらって「上海灯蛾」を読みました。とっても面白いです。物語は1945年上海の黄浦江へ死体を沈めるところから始まります。はて?誰の死体なのか?それは最後に分かります。
主人公は吾郷次郎、田舎の小さな農家に生まれ、貧しい生活にいや気がさして上海へ渡ってきました。最初は雑貨屋を営んでいましたが、原田ユキヱから持ち込まれた上質の阿片によって、青幇(チンパン)ー記録を残さないことを掟とした秘密結社で中国の裏社会を取り仕切っているーとかかわりを持つようになっていきます。阿片で日中両軍、央機関、青幇(チンパン)などが望外な資金を調達していました。ビルマ、タイ、ラオスの三つの国が接する地帯は、世界最大の麻薬密造地帯「黄金の三角地帯ーゴールデントライアングル」となったのは戦後だそうですが、19世紀から阿片の栽培と流通が行われていました。吾郷次郎は日本人でありながら中国人の楊直(ヤンジー)と義兄弟になり、中国名黄基龍(ホアン・ジーロン)を名乗るようになりました。黄基龍は語学(中国語・英語)を学んで阿片の育て方、流通の仕方など学びました。どんどん阿片地獄に足を突っ込み、危険な世界で生きるようになりました。
「金とは手にすればするほどもっとほしくなり、ひとたび苦労せずに得る方法を知ると、苦労する気がなくなってしまうのだった。金は金のあるところへ集まり、持っている者はさらに増やし、持たぬものは失うばかりなのだ。」
「自分も楊直も、眩いばかりに輝く上海に惹きつけられ、その火の周囲で舞い踊った蛾にすぎない。この町に引き寄せられた無数の人間がそうだ。だが、ユキヱは違うのだ。ユキヱだけは灯火だったのだ。蛾を誘い、蛾の目を眩ませ、蛾を焼き尽くすために強烈な光を放つ、復讐に燃え狂う炎そのもの。」
人間の欲のせめぎ合いで、ハラハラドキドキの連続です。真実がなかなか見えてきません。残酷なのですが、小説が上手に書かれているので引き込まれて最後まであっという間に読めました。また上田早夕里さんの書かれたものをぜひ読んでみたいと思いました。教えてもらってありがとう。
2024-8-25(日) 図書館資料 請求番号:913/ウエ
そういう小説を読むようになると難しい数学や物理の本など読む気がなくなりそうなので、私には読むことはできませんが、共感はできます。
また読まれた小説の紹介をお願いします。
読書したり散歩したり楽器の練習したり、ブログを書いたり、写真を撮ったり。
読みたい本も図書館で借りて、順番が回ってくるまで待つのも楽しいです。
本は読み切れないぐらい沢山あるので今すぐ読めなくても
いつまでも待てます。続き物は続けて読みたいですが。
いつもコメントをいただきありがとうございます。