クラシックな音楽的生活

日々、家の中にヴァイオリンとピアノの音が流れています。

ヴァイオリン工房にて

2013-06-01 | 上の娘ごと

娘の弓を見るなり、

「ああ、これはプレイヤーがつけた傷ではないですね。」

とTさん。

あ、そうなんだ。

「たぶん、毛替えのときにできた傷ですね。」

え、そうなんだ。

「毛替えの時にどんなに細心の注意を払っていても、

 傷がつくことがあるんです。

 叩く作業があるので、こういうふうに縦にひびが入る。

 ただ、この傷はかなり古いと思いますよ。

 ほとんど気が付かない程度の浅い傷だったのが、

 汗や埃や汚れが中に入り込み、広がった感じです。

 押してもしっかり閉じませんからね。

 傷が目立ってきたので気付いたんじゃないかな。」

なるほど、なるほど。

「いつごろ毛替えに出しましたか?」

あれ?

こっちの弓はいつ出したっけ?

もう一本の方の弓は、半年ほど前にTさんにお願いしましたけど。

こっちの弓はいつ?

娘も覚えていないと。

「かなり経たっているようなので毛替えもした方がいいですね。」

お願いします。

「ところで、この弓の製作者は?」

「アンドレ・ヴィネロンです。」

これ、絶対聞かれると思って、

電車の中で夫にメールで聞いておきました。

よかった。

「あー、やっぱり。息子の方のヴィネロンですね。」

「え、おわかりになるんですか?」

「ええ、わかりますよ。フロッグの形とかでもいつごろのものかわかります。」

ほぅ。

「これは、お父さんから独立した後の作品ですね。」

アンドレ・ヴィネロンの父ジョセフ・ヴィネロンは非常に有名な弓製作者で、

アンドレはずっと助手を務めていたそうですが、

父の死後、父のスタイルを継承しつつ、自分のオリジナリティを出していったそうで、

その頃のものなのだそうです。

「いずれにしろ、100年以上前の作品なので、

 傷んでくるのは当然です。

 よく見ると、この傷のほかにも浅い傷が一つ、

 それから角の部分が少し欠けています。」

あ、ほんとだ。

「それはしかたがないことです。」

・・・知らなかった-

100年以上前の作品だったんだ、この弓。

娘も知らずに使っていたというね。

夫は、ことヴァイオリンに関してはかなりマニアック。

この弓は、20代の頃にそれ相応の金額で購入。

今は娘にしっかり受け継がれているのだから、

良い買い物だったってことですよね。

「今日、お預かりしてよろしいでしょうか?」

「実は、9日にK先生門下発表会があるんです。」

「あー、そういうことですかー

 そうですね、修理には5日はほしいんですが。

 発表会後にしますか?」

「後10日のうちにさらに傷が深くなったり、

 どうにかなってしまうってことはありますか?」

「なんとも言えませんね。古いものですし。」

うーん。

どうしようか。

発表会まで、こわごわ練習するのも良くないし、

本番で何かあっても大変。

「毛替えのあとは、どのくらいで馴染みますか?」

「1週間は必要です。」

となると、今日修理に出したら、本番は無理。

うーん。

もう一本の弓はどうだろう?

実は現在使っていないそちらの弓こそ、

現代の弓製作で最高峰と言われるフランス人が製作した、

なお値段の弓。

ただ、娘には持ち手の部分が微妙に太いらしくて、

長く練習していると指に少し負担がかかるらしい。

娘、

「心配しながら弾くのは嫌だし、もう一本の方で頑張る。」 

そうだね。

ま、それがいいね。

1年前より練習量も格段に増えているから、

指も強くなっているだろうし。

というわけで、

修理と毛替えをお願いして、お預けしました。

ヴァイオリンの方も見てくださって、

松脂まみれで布だけでは落とせなくなっていた部分を

きれいにしていただきました。

実は致命的な不具合も見つかった・・・

というか、前から気付いてらしたそうなのですが、

娘本人があまり理解していなかったこともあって、

そのままになっている不具合、

このことについても説明をしていただきました。

まあ、これはまた次回ということで。

今回、とても勉強になりました。

一緒に行って良かったです。

まだ高校生ですからね。

まだまだフォローが必要です。

去年1年間は、本当に1人でよく頑張ったと思います。


帰り、お腹が空いたので、

三軒茶屋の駅ビルにあるサンジェルマンでお茶しました。






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