第83 回全日本自転車競技選手権大会ロード・レース
ナショナルチャンピオンシップ
日程: 2014年6月28日(土)アンダー23 11:00~スタート173.8 km (15.8 km× 11 周)
6月29日(日)エリート 8:00~スタート221.2 km (15.8 km×14 周)
開催地: 岩手県八幡平市八幡平温泉郷岩手山パノラマラインコース
出場予定選手(男子エリート):畑中勇介、吉田隼人、入部正太朗、野中竜馬、木村圭佑
(アンダー23):横山航太
その年のナショナルチャンピオンを決する頂上決戦『全日本選手権』が開催され、佐野淳哉選手(那須ブラーゼン)が優勝しました。シマノレーシングでは入部正太朗が6位、畑中勇介が7位に入りました。
-U23-
今季シマノレーシングに加入した横山航太がチームとしては単独で参加しました。23歳以下のカテゴリー1年目となる横山はチャレンジャーとして参加。
前半にできた逃げ集団に入る事ができず、後方からの追い上げを狙います。前方で逃げていた集団は次第に小さくなり、最後は2013年大会の覇者である徳田鍛造と、彼の実弟である徳田優の2名に。この2名の逃げは当然ながら目的を邪魔する不調和は存在せず、ロスなく逃げ続ける強力なものとなりました。横山は追走集団で積極的に前へ出てチャンスをうかがいます。
終盤、横山が後方集団からアタックをかけたことにより3位争いの7名の集団が形成されます。
横山は諦めずに前を目指しますが力及ばず7位でゴール。更なる上位を狙って出走しただけに悔しさをにじませましたが、今後の飛躍を予感させる素晴らしい走りを見せてくれました。
▲積極的にレースを牽引する横山航太
全日本選手権ロードレース2014 男子U23結果
1位 徳田鍛造(鹿屋体育大)
2位 徳田優(鹿屋体育大)
3位 秋田巧磨(朝日大)
4位 広瀬樹(中央大)
5位 鈴木龍(SEKIYA)
6位 石橋学(鹿屋体育大)
7位 横山航太(シマノレーシング)
8位 雨澤毅明(那須ブラーゼン)
9位 吉田悠人(日本大)
10位 岡泰誠(筑波大)
-エリート-
レースは250㎞の予定でしたが、悪天候が予想されるため2周回減らし221㎞に変更しスタートしました。単調で距離が長いコースは、前半にできた逃げを後方集団が追う形で進むことが予想されました。シマノレーシングは畑中勇介、吉田隼人をエースとし、 野中竜馬と 木村圭佑でレース前半の流れに対応し、入部正太朗が最終アシスト、展開次第ではサブエースとして走る事、長丁場の後半にダメージを最小限に抑えるために細心の注意を置く事を確認しスタートしました。
レースは予想していた通り序盤から逃げ集団が形成されました、しかしながら人数が多い事、逃げたメンバーの構成が強力であった事が各チームの、そしてチームメートを持たない有力選手の計算を少しづつ崩していくきっかけとなりました。
シマノレーシングは前週のJプロツアーでチームとして強さをアピールし、畑中勇が勝利しているものの、諸々の要素を考慮すれば、最後の登り区間での力勝負でライバルとイコールコンディションであれば勝利は難しいと考えました。つまり、ライバルチームの計算を崩すことが残る勝利への僅かな道を切り開きます。
逃げ集団は後続の計算を崩し、野中が最後の争いに残りかけますが遅れてしまいます、4位争いの2名で粘りましたがゴール前2㎞で集団に吸収されてしまいました。
11名の中から残った3名の逃げ切りが決定的となり、後続追走集団は4位以下の争いに。
入部正太朗、畑中勇介らが優勝候補らに食らいつき6位、7位をでゴール、吉田隼人12位、野中竜馬16位、 木村圭佑19位と、参加した5名全員が20位以内で走り切りました。
前半の大きな目標とし臨んだ全日本選手権、チームとしては勝ち星こそ逃したものの、来季、このタイトルを獲得するための現実的なプロセスが見える位置に来たという意味で、大きな収穫を得る事が出来たと考えています。
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以下http://www.cyclowired.jp より転載
全日本選手権大会ロードレース2014男子エリート
優勝候補たちの咬み合わない意志 ラスト3kmの壮絶バトルを制した佐野淳哉が再起の大勝利
1周めにできた11人の逃げが最後まで逃げきり、勝負を決めることになった。最後まで協調して逃げ切った佐野淳哉、井上和郎、山本元喜の3人は最後の3kmの上り坂で力勝負を繰り広げ、佐野が悲願の全日本タイトルを那須ブラーゼンにもたらした。
レトロのオークリーをかけて会場入りした別府史之(トレック・ファクトリーレーシング): (c)Makoto.AYANO
前回の八幡平の覇者土井雪広(チーム右京) 。得意なコースに覇気は高い: (c)Makoto.AYANO
6月29日の岩手県八幡平は雨模様。昨日の夕方より天候が安定せず、この日は終日の雨予報。そのため朝の会議でレースの2周の短縮が決まった。16周・252.8kmから14周・221.2kmへ。なだらかなアップダウンのこのコースは逃げ切りが難しく、前回この地で開催された2年前にはレースが消極化して大きな集団が最終局面まで残り、最後の坂だけの勝負のようになった。海外で走る選手には体験済みの距離でも、国内勢には不安が大きい距離。「レースの活性化にも繋がる」と、距離の短縮を歓迎する声が多くを占めたようだ。
山本和弘・幸平兄弟。幸平はMTBライダーとして異例のロード出場が叶った: (c)Makoto.AYANO
集中した表情でスタート最前列に並んだ佐野淳哉(那須ブラーゼン): (c)Makoto.AYANO
ディフェンディングチャンピオンの新城幸也がジロ・デ・イタリアでの怪我の回復とツール・ド・フランス開催日までの日程の余裕が少なすぎることから欠場。注目はやはり別府史之(トレック・ファクトリーレーシング)だ。前日のTTも制し、2冠に向けて自信をのぞかせる。
ライバルで親友の別府史之と土井雪広はニュートラルゾーンで会話が弾む: (c)Makoto.AYANO
登りで一気のアタックをかけた井上和郎(ブリヂストン・アンカー): (c)Makoto.AYANO
2周目には雨が本降りになり、選手たちを濡らした: (c)Makoto.AYANO
ぐずついた曇り空のなかスタート。ほどなくして雨が降り出し、路面を濡らす。ニュートラル区間では談笑しながら走る選手たち。ニュートラルが解除されるとさっそく集団は活性化。逃げ集団をつくろうという動きが繰り返される。しかし決まらないままコース最後の登りに入ると、後方から一気にアタックしたのは井上和郎(ブリヂストンアンカー)。野中竜馬(シマノレーシング)と綾部勇成(愛三工業レーシング)が合流して3人が差を広げる。これに3kmの上りを登り切るまでに佐野淳哉(那須ブラーゼン)らが後方から合流し、11人の逃げ集団を形成した。
逃げグループが快調に差を開く。 佐野淳哉(那須ブラーゼン) が先頭にたちペースを保つ: (c)Makoto.AYANO
集団内を走る山本幸平(スペシャライズド)。4周目には深い霧で視界が効かなかくなった: (c)Makoto.AYANO11人の逃げメンバー
綾部勇成・平塚吉光(愛三工業レーシング)
山本元喜(ヴィーニファンティーニ・NIPPOデローザ)
阿部嵩之(宇都宮ブリッツェン)
井上和郎・伊丹健治(ブリヂストンアンカー)
武井享介(Shingha Infinite)
佐野淳哉(那須ブラーゼン)
野中竜馬・木村圭祐(シマノレーシング)
山本隼(チーム右京)
優勝を狙える有力チームのほとんどが入った。そして前日のタイムトライアルでも2位だった佐野、3位の山本元喜、そして阿部嵩之など独走力のあるメンバーが入り込んだ逃げだった。佐野はゴール後に「行こうとしている顔ぶれを見て直感的にいいメンバーだと思って逃げに乗った」と語っている。
サブエースで構成された11人。逃げることで後方のエースのアシストもでき、逃げ切れば自ら勝利を狙う。後ろに残った優勝候補たちとそのチームは、自分のチームの選手が逃げていれば集団を引く必要がなく温存できる。しかし勝負どころに向けてお互いの出方を見つつ、エース同士の闘いを有利に進めるためにレースを組み立てていく必要がある。
2周目の後半にかけて50秒ほどだったタイム差は、4周目に入って4分まで広がる。雨が降り、続いて深い霧が立ち込めて視界を遮った。気温は低くはなく、コースに危険箇所がほとんどないものの、過酷なコンディションには違いない。
清水都貴、土井雪広、別府史之、西谷泰治らを含む追走集団が形成される: (c)Makoto.AYANO
淡々とペースを刻む11人の逃げ集団: (c)Makoto.AYANO自チームの選手を前の逃げに乗せたチームが多かったことで不利な立場に立たされたのが単騎参戦の別府だ。差が広がり過ぎないようにしきりにメイン集団の先頭に立ちペースを上げる。しかし後続は消極的。多くの選手とチームが、今日の勝負のカギを握る別府の動きに注目しながら、その消耗を待ち、大きなアタックがかかるタイミングを見逃さないように攻撃に備える走りが続く。
中盤、雨から一転晴天へ。変わりやすい天気だが予報の豪雨にならなかったのは幸いだ: (c)Makoto.AYANO
下りでもペースをあげようと試みた別府史之(トレック・ファクトリーレーシング): (c)Makoto.AYANO6周目には雨が止み、晴れ間が出てくる。7周目、別府や愛三の西谷泰治と中島康晴、土井雪広、清水都貴など優勝候補メンバーたちが登りで抜け出し、第2集団を形成。そのペースアップでメイン集団は分断。下りでこの第2グループに後方から選手が続々と合流し、18人の追走集団ができる。
しかしほどなくして下りで集団が追いつき、メイン集団は47名に。脚のない選手はふるい落とされるも、再び追いついて数はなかなか減らない。
2名を逃げに送り込んだブリヂストンアンカーは追走集団のコントロールにもあたる: (c)Makoto.AYANO
登りでのペースアップは追走集団の中でも分断が起きた。脚が揃っていないようだ: (c)Makoto.AYANO先頭11名はイーブンペースでローテーションを繰り返し、うまく協調して逃げ続ける。残り6周のとき追走集団はタイム差を1分55秒差まで詰めていたものの、残り5周回の時点で3分20秒差と再び開く。
選手の数を揃える愛三工業、アンカー、ブリッツェン。土井雪広にはこの日強い走りを見せた平井栄一がアシストとして残っていた。注目のMTB選手、山本幸平(スペシャライズド)は集団後方で時折遅れ、苦しんでいる様子を見せる。2時間を超える時間のレース耐性は不足していたか?
ラスト4周、下りでアタックをかける別府史之(トレックファクトリーレーシング): (c)Makoto.AYANO
追走のメイン集団は残り5周から4周にかけて大きくペースアップし、その数を20人程度まで減らした。
天候は再び曇りがちになったがもはや雨の気配はない。選手たちも続々とウォーマー類を外す。油分の抜けきったチェーンにオイルを差しにニュートラルサポートまで下がり、勝負に備える選手も。
登りでペースをあげようとする別府史之(トレックファクトリーレーシング)、増田成幸(宇都宮ブリッツェン): (c)Makoto.AYANO
チーム右京は土井雪広をサポートする平井栄一の走りが光った: (c)Makoto.AYANO
追走グループで、下りのハイスピードからさらにアタックを掛けて抜け出しを試みる別府。追走する他チームのアシスト選手はいるものの、まだ優勝候補たちには火が点かず、開いた差はすぐに詰められ、振り出しに戻る。ペースの上下はあってもなかなか追走モードにもならない。別府が後方へと離れた集団に向かってゼスチャーを出し、まとまらない動きに対してフラストレーションを抱えている様子が伺えた。
別府史之がアタックすれば土井雪広と清水都貴が必ずチェックに入る: (c)
Makoto.AYANO
前にも後ろにも人数を揃えたチームブリヂストン・アンカー。逃げの追走に協力する: (c)Makoto.AYANOラスト3周。前を行く逃げ集団は変わらず。追走集団は次の21人のメンバーに絞られた。
別府史之(トレックファクトリーレーシング)
土井雪広・平井栄一(チーム右京)
西谷泰治・早川朋宏・中島康晴(愛三工業レーシング)
鈴木譲・増田成幸(宇都宮ブリッツェン)
清水都貴・初山翔・寺崎武郎(ブリヂストンアンカー)
畑中勇介・吉田隼人・入部正太郎(シマノレーシング)
和田力・安原大貴(マトリックスパワータグ)
普久原奨(那須ブラーゼン)
秋丸湧哉(ヴィーニファンティーニ・NIPPOデローザ)
山本幸平(スペシャライズド)
佐々木勇輔(早稲田大)
武末真和(ロヂャースレーシング)
下りでブリッヂをかけようとアタックした綾部勇成(愛三工業)と阿部嵩之(宇都宮ブリッツェン): (c)Makoto.AYANO
登りで逃げを捕まえ、ラスト周回へ。「行くのか?」「どうする? 」お互いを見合うシーンが多く見られた: (c)Makoto.AYANO登りでは平井・土井のチームUKYOコンビと別府、清水都貴ら上りに強いメンバーが前に出てペースを上げようとする。すると追走グループ内で分断も発生。脚がないのか消極的なのか、ペースアップにはなかなかつながらない。思うように縮まらないタイム差について追走集団内で危機感が出てきた。
残り2周でタイム差は1分20秒。11名の先頭グループからは上りで井上和郎、野中竜馬、佐野淳哉、山本元喜がアタックして抜け出し、野中が落ちて佐野・井上・山本の3人の逃げグループになる。野中は武井亨介(Shingha Infinite)と合流、2人になって宙ぶらりんの状態。