ナショナルチャンピオン入部正太朗が大きな扉を開きました。
入部正太朗はシマノレーシングから今季終了と共に移籍、ワールドチームであるNTT Pro Cyclingと2020年シーズンの契約を結び、世界の頂点となる場で活動する事が発表されました。
2012年にシマノレーシングに加入した入部選手は、これまで多くの場面で勝利をあげてきただけでなく、持ち合わせるスピリットにより強く好影響をもたらしチームを牽引し続ける存在でした。
シマノレーシングとしては大きな戦力が抜ける事になりますが、同時に、チームが追い求めてきたものを実現した素晴らしい出来事となります。
夢の実現は、同時に大きな試練の入り口となります。
入部正太朗の挑戦に是非ご注目ください。
We are excited to welcome Shotaro Iribe, the Japanese National Road Race Champion, to @NTTProCycling for 2020!
— NTT Pro Cycling (@NTTProCycling) 2019年11月14日
🗣️"This is the challenge that I have been aiming for since I started bike racing. No words can describe how happy I am."
Details: https://t.co/NxGnMOSKnu pic.twitter.com/2LVthtwWwi
ツール・ド・おきなわのコースでゴミ拾い「ロードクリーン作戦」! 地元小学生とも交流!
ツール・ド・おきなわ翌日の11月11日、レースで使われたコースで道路清掃を行う「ロードクリーン作戦」が行われ、シマノレーシングの選手たちも一般サイクリストのみなさんとゴミ拾いに汗を流した。その後は大宜見村の大宜味小学校5年生のクラスを訪問し、ロードバイクやロードレースの魅力について一緒に勉強した。
■「ロードクリーン作戦」いつも使っている道路に感謝!
ツール・ド・おきなわではシマノレーシングらが出場した男子チャンピオンレースをはじめ、市民レースやサイクリングでも多くのサイクリストがコースを走った。 ロードレースでは選手が指定区間以外でボトルや補給食のゴミなどを捨てることは禁止されているが、それでもうっかりゴミを落としたり捨てたりすることはゼロではない。これまでは地元の方々がレース後に清掃活動を行っていたが、今回はサイクリスト自らの手でいつもお世話になっている道路をきれいにしようと今回のロードクリーン作戦が企画された。
スタート地点の結の浜公園(大宜味村)には、前日のレースに参戦した入部正太朗選手、木村圭佑選手、湊諒選手、横山航太選手、中井唯晶選手、野寺秀徳監督、そしてシマノレーシングOBで元全日本王者・シドニー五輪代表の阿部良之さん(abenova)さんらが集合。さらに地元沖縄県出身で前日2位表彰台を獲得したチーム右京の内間康平選手も、自ら志願して参加。ツール・ド・おきなわの市民レースやサイクリングに参加したみなさん、地元サイクリストなど総勢約30人で、一緒に自転車でコースを巡りながらゴミ拾いを行う。
この作戦の呼びかけ人であるツール・ド・おきなわ大会実行委員長の森兵次さんは「この地域は国立公園に指定されていて、さらに来年は世界遺産になる可能性があり、来年のツール・ド・おきなわは世界遺産の中を走るレースになるかもしれません。自然保護、環境美化という面で我々の活動はたいへん意義があると思う」と挨拶された。
一行は公園を出発して、この日のやんばる地区の東海岸までサイクリングで移動。清掃を担当した東村平良~名護市字天仁屋までの区間は、一見、道路上はきれいに見えるものの、路肩の藪や側溝などにはいろんなゴミが落ちていた。もちろん、レースで出た以外のゴミもみんなでしっかり回収。風は少し強かったものの、空も海も青く輝く沖縄らしい天気の中で、気持ちよく清掃活動を行った。
▲シマノレーシングを先頭に結の浜公園をスタートする Photo:Tatsuya Mitsuishi
シマノレーシングの選手たちも、レースや合宿でいつも使っている道路がこれからも使えるように、疲れた表情も見せず感謝の気持ちも込めてゴミを集めた。また休憩で立ち寄った東村ふれあいヒルギ公園でマングローブを見学したり、全員で一緒にランチを楽しんだりと参加したサイクリストのみなさんとの交流も深めていた。
限られた区間ながらも、みんなで拾ったゴミはゴミ袋で10数袋、自転車用のボトルは16本! 回収したボトルは、サコッシュなどに再生利用する計画もあるという。
▲ナショナルチャンピオンの入部正太朗選手、ゴミ拾いでも大活躍 Photo:Tatsuya Mitsuishi
▲取得物を集める袋を背負いコースを走る Photo:Tatsuya Mitsuishi (OCN)
▲道路わきの草むらからごみを集める横山航太選手 Photo:Tatsuya Mitsuishi
▲ウォーターボトルを回収、レースでの落し物を取得 Photo:Tatsuya Mitsuishi
▲サイクリング用のウォーターボトルも10本ほど回収 Photo:Tatsuya Mitsuishi
全日本チャンピオン入部選手は「思って以上に落ちていましたね、予想以上でした」と驚き、木村キャプテンは「これからもレースで故意に捨てる行為は全選手やめてほしいなとあらためて思いました。僕らも絶対に守っていきたいと思いました」と環境を守る意識を強くしていた。
▲最後は回収された取得物と記念撮影 Photo:Tatsuya Mitsuishi
■大宜見小学校でロードレースの魅力を伝える!
続いて、シマノレーシングは大宜見小学校の5年1組のクラスを訪問。学校はツール・ド・おきなわのコース沿いにあり、子どもたちは近くで見るジャージ姿の選手たちやレースで使われたロードバイクに興味津々。中にはロードバイクに乗ったことがあるという子もいた。
野寺監督はロードレースの競技の特徴やチームの活動、入部選手が優勝した全日本選手権など選手たちの活躍をスライドや映像で紹介。子どもたちもロードバイクやホイール、ヘルメット、サングラス、サイクルコンピューターなどの機材に興味深そうに触れていた。中井選手がローラー台で全力疾走すると子どもたちからも大きな歓声と拍手が上がっていた。
短い時間ながらも、ツール・ド・おきなわのお膝元で子どもたちに自転車競技、ロードレースの魅力を伝える貴重な機会となった。]
▲野寺監督がチームの活動を紹介し交流を開始 Photo:Tatsuya Mitsuishi
▲ロードレースで使用する機材の特徴を説明 Photo:Tatsuya Mitsuishi
▲選手のポストカードを配布、選手は生徒からのサイン攻めに。 Photo:Tatsuya Mitsuishi
Photo&Text:Tatsuya Mitsuishi
ツール・ド・おきなわ2019 男子チャンピオンレース(UCI1.2)
【開催地】沖縄県名護市(スタート&ゴール)
【日時】2019年11月10日(日)
6:45 スタート 210㎞(名護21世紀の森体育館前)
12:00- フィニッシュ予定(名護21世紀の森体育館前)
【出場選手】入部正太朗・木村圭祐・湊諒・横山航太・中井唯晶
国内ロードレース最終戦となるツール・ド・おきなわ2019が、11月10日、沖縄県北部のやんばる地域で開催。
ツール・ド・おきなわは11月9~10日の2日間、市民レースやサイクリング、バリアフリーサイクリングなど全26種目で約4500人が参加する一大自転車イベント。その最高峰である男子チャンピオンレースは、UCI公認のアジアツアー1.2にクラス分けされ、東京五輪代表選考レースのひとつでもある重要な一戦だ。
今年は海外招待6チームを含む、全14チームが参加。出走人数が昨年の85人から67人に減少し、集団コントロールする人数が少なくなることも考えられることから、シマノレーシングは序盤の逃げも警戒しながら、レースを進めていく。
コースは、国内最長クラスの210km。序盤は海岸沿いの平坦基調が続くが、中盤からは普久川ダム、羽地ダムなどの上りが続き、勝負の分かれ目となる。
まだ肌寒い中、朝日が差し込み始めた午前6時45分に名護市の名護21世紀の森体育館前からレースはスタート。リアルスタート直後、山本元喜(キナンサイクリングチーム)、ラース・クルブ(チームサワーランド)の2人がアタック。シマノレーシングからはスプリント賞、山岳賞獲得も視野に入れる中井唯晶が他チームとともにここに合流しようとするが、先頭2人がどんどんタイム差を拡大。50kmを過ぎたところで最大14分の大差を築いた。その直後、単独追走のリック・バン・ブレダ(WTC de アムステル)が追いつき、先頭は3人となる。
メイン集団内では国内コンチネンタルチームを中心に、追走を開始。シマノレーシングは野寺秀徳監督の指示で、中井がメイン集団のローテーションに加わる。しかし普久川ダムの上りを2度越えても、例年とは異なる落ち着いた展開が続き、集団は多くの人数を残したままレース後半に突入する。
普久川ダムを下りきったところで先頭はバン・ブレダ単独となり、中井らのけん引でタイム差はタイム差も2~3分まで縮まる。100km以上もアシストとして奮闘した中井は残り約35kmで遅れるも、シマノレーシングはまだ集団内に4人を残す展開となった。
▲牽引役を務めた中井唯晶 photo:Tatsuya Mitsuishi(OCN)
残り約30kmで先頭のバン・ブレダが捕まると、全日本チャンピオンの入部正太朗が得意の少人数の展開に持ち込むべく、自らアタックの口火を切る。これはすぐに吸収されたが、その直後に湊諒がアタックし、シマノレーシングが集団に揺さぶりをかける。さらに再び入部が、内間康平(チーム右京)、増田成幸(宇都宮ブリッツェン)、柴田雅之(那須ブラ―ゼン)とともに飛び出しし、この4人が約20秒のリードを開く。
しかし、羽地ダムの上りで先頭4人から増田が単独で抜け出すと、そのまま独走態勢へ。入部はこの動きに反応できず、後方の集団からもさらに遅れをとる。
▲攻撃の口火を切った入部正太朗 photo:Tatsuya Mitsuishi(OCN)
増田の背後では、内間、ベンジャミン・プラデス(チーム右京)、石橋学(チームブリヂストンサイクリング)が新たに追走を開始。そのさらに後方の約20人の集団にシマノレーシングはキャプテン木村圭佑、湊、横山航太を残す。しかし、集団内も長丁場のレースで多くの選手が体力消耗し、なかなか前との差を詰められないまま、レースは終盤へと向かっていく。
結局、増田がそのまま独走で逃げ切り、2014年、16年に続く3度目の優勝を飾った。シマノレーシング勢は6位以下の集団内でスプリントし、横山がUCIポイント獲得圏内の10位でフィニッシュ。湊が11位、木村が12位で続いた。
今シーズンのシマノレーシングは、全日本選手権でチーム一丸の走りの末に入部が優勝し、チームに悲願のタイトルをもたらした。さらに中堅、若手を含め、チーム全体で大きなレベルアップを果たし、国内レースで多くの表彰台を獲得。しかし、世界にアピールするためにはさらなる成長が必要ということもあらためて認識した一年で、来シーズンも引き続きチャレンジを続けていく。
■コメント
入部正太朗 「サバイバルな展開で人数が減った方が僕は運びやすいかなと思ったので、積極的に攻撃を仕掛けて抜け出せればいいなとチャレンジした。最終的に4人で抜け出す形になったが、その時点で脚に来ていて、羽地ダムの上りに入った瞬間に増田さんの強烈なペースアップで僕も力尽きてしまった。(今年の全日本選手権を振り返り)みんなのおかげでチーム一丸となって獲ったジャージは一生の宝物になったと思うので、忘れられない一年になった。引き続き、まだまだ足りてないところを強化して来年も頑張っていきたい」
横山航太 「今シーズンは中盤、終盤に苦しんでいたので、ようやく調子が上向いてきたし、ポイント圏内に入れてよかったと思う。やはりトップの増田選手たちとは大きな差があると感じたので、今シーズンはだいぶ失敗したのでその反省も踏まえて来シーズンを迎えたい」
■リザルト <ツール・ド・おきなわ2019 男子チャンピオンレース>
1 増田成幸(宇都宮ブリッツェン)5時間17分58秒
2 内間康平(チーム右京)+18秒
3 ベンジャミン・プラデス(チーム右京)+18秒
4 石橋学(チームブリヂストンサイクリング)+18秒
5 ジェイソン・クリスティ(愛三工業レーシングチーム)+49秒
6 岡本隼(愛三工業レーシングチーム)+54秒
7 富原隼人(沖縄選抜)+54秒
8 フェン・チュンカイ(チャイニーズタイペイナショナルチーム)+54秒
9 畑中勇介(チーム右京)+54秒
10 横山航太(シマノレーシング)+54秒
11 湊諒(シマノレーシング)+54秒
12 木村圭佑(シマノレーシング)+54秒
35 入部正太朗(シマノレーシング)+7分21秒
DNF 中井唯晶(シマノレーシング)
■ツール・ド・おきなわ2019 横山選手が10位フィニッシュ インタビュー(2) https://youtu.be/NRGNiG1FRPw
Photo&Movie&Text:Tatsuya Mitsuishi(OCN)