今週の新婦人しんぶん、一面は愛媛の記事です。
四国唯一の伊方原発がある愛媛県ですが、同じ南予地域に位置する「西予市」「大洲市」での自然エネルギーの取り組みが紹介されています。
あまり大々的に報道されない分野なので、愛媛県人でも「へぇー!」と初めて知ることが多かったです。
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少しだけ掲載分を紹介します。
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新婦人しんぶん 2013年9月12日号 一面
<自然エネルギーでふるさと再生 愛媛>
関西電力大飯原発3号機が定期検査のため3日停止、4号機も15日には停止、再び日本の原発は「稼働ゼロ」に。一方、福島第一原発の汚染水漏れが大問題になっているにもかかわらず、電力4社は再稼働に向け6原発12基の安全審査を原子力規制委員会に申請しています。もっともはやい再稼働がねらわれている四国電力伊方原発3号機のある愛媛の周辺市町村では、「原発に頼らない自然エネルギーこそふるさと再生の道」と動き出しています。
<四国の屋根、カルスト牧場の牛の糞尿でバイオマス発電 西予市>
標高1400メートルの石灰岩が点在する四国カルスト牧場、大野ヶ原でいま牛の糞尿を使ったバイオマス発電が動き出そうとしています。
雄大な天空の草原で、ゆっくり草を食む牛たち。ここはかつて、クマザサやカヤが茂る秘境の地でした。戦後、海外からの引き揚げ者や焼け出された都市の人たちが入植し、並々ならぬ苦労の末、一鍬一鍬開墾して、愛媛県一の酪農地帯につくりあげました。
このパイオニア精神で東宇和農協がすすめるのが、将来の地域農業のあり方を見据えた「いのちを育む東宇和”総合産地”構想」。
「環境にやさしいものづくり」「持続的な担い手づくり」「魅力ある産地づくり」を掲げた新たな挑戦の一つとして、愛媛大学の研究者や行政の力も借りて、畜産バイオマスエネルギー活用研究会をたちあげています。大野ヶ原地区の乳牛や肉牛の糞尿や大野ヶ原小学校の給食加工残渣を使って、バイオマスガス発電を計画。設計ができあがり、来夏には稼働予定です。
糞尿を使ってメタンガスを発生させ、50キロワットの発電をしようというこのとりくみは、小さいながらも農協本体が中心にやっていく全国でも数少ない試み。「発電を終えた消化液は臭いもなく、液肥として畑に有効利用できるので、連作障害で減ってしまった名産の大野ヶ原ダイコンも復活できるし、チーズやヨーグルトをつくり、グリーンツーリズム型の宿泊施設を復活させて…。都会の若者にもぜひきてもらいたい」と担当の古本陽一営農部次長の顔がほころびます。
山の反対側は、自然エネルギーでまちおこしをする高知県梼原(ゆすはら)町です。2基の風力発電の売電収入で1キロワットあたり20万円、上限80万円という日本一の太陽光発電の補助金を出して、公共施設とともに住民による太陽光発電を促進。梼原とタイアップしたエコツアー客も見込めます。
伊方原発に近い大洲市では、今年1月に「大洲環境とエネルギー研究会」がたちあがり、ユニークなとりくみが始まっています。
<棚田の再生と学校跡に太陽光パネル 大洲市>
「4年前、大阪から越してくるとき伊方原発があるのは知っていましたが…。福島の問題がおこってからですね。”終の棲家”と家を建てたのに、福島みたいに問答無用で追い出され、2度と帰ってこられないなんて。再稼働には反対せざるをえないですよ」と「大洲環境とエネルギー研究会」事務局長の大崎義治さん。伊方原発から20数キロの地に住んでいます。
伊方原発の沖合6キロ北には、国内外でも最大級、関東から九州まで1000キロもの長さで走る中央構造線という大断層があり、地震の恐怖にさらされています。さらに巨大地震がいつおきてもおかしくないといわれる南海トラフの震源域が、伊方原発直下まであることを、内閣府の有識者会議が明らかに。その連動性も大問題になっています。
「瀬戸内海に向かって建っているこの原発が事故を起こしたら、関西、中国、四国、九州、広い範囲でたいへんな事態です」。会の設立のきっかけは、地域九条の会の原発発表会。今年1月の設立総会で見たドイツのドキュメンタリー映画『シェーナウの想い』。子どもたちに自然エネルギーの社会をと、市民による電力会社をたちあげた人たちに思いを重ね、原発に頼らない循環型社会をつくるために、何か始めようとの一心でした。
先進地の視察などにとりくむ「自然エネルギープロジェクト」、高齢化で維持がむずかしくなっている「棚田保全」、「みどりのカーテン」「放射能測定」などのプロジェクトが動き出し、「大洲・内子の棚田写真展」は1000人の観覧者が、樫谷の棚田をモデル地区として復活させたいとの市の考えも知りました。
廃校になった体育館の屋根に太陽光発電パネルを張って公民館活動の運営費になど、地域の活性化に夢がひろがります。
会の代表の山口誠さん宅の太陽光発電見学会で、個人宅への設置の可能性を探り、会設立時に市の担当課を訪ね、自然エネルギーの担当窓口の一本化が必要なことなど、見えたことも多いと言います。
「地域で次の世代が生活できるようにするには、食とエネルギーの地産地消が大事」と、愛媛大学客員教授で愛媛県自然エネルギー利用推進協議会会長の村田武さん。今年3月に設立され、県内の自然エネルギーの利用状況とともに、各地の先進事例を学び交流、利用を促進しています。
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この8月、伊方原発の運転差し止めを求める裁判の第3次提訴が松山地裁におこされ、新婦人の会員も積極的に参加。1次、2次と合わせて1002人の大原告団になりました。
「直下の大地震が起きれば激しい揺れで原子炉に制御棒が入らない可能性が指摘され、その上拝観の破断がおきればどうやって始末するのか…。88年には、沖縄・普天間基地を飛び立った輸送ヘリが原発近くの斜面に激突。松山空港発着の民間機も飛んでいますが、航空機事故の対策はとてもじゃないが無理」と「伊方原発をとめる会」事務局長の和田宰さん。
再稼働させようとしている3号機は、プルトニウムをウランに混ぜた「MOX燃料」という核燃料を使ったもの。こうした事態が知らされるなかで「伊方原発を稼働させず、廃炉計画を求める」40万署名は、四国・九州各地から23万人分がよせられています。