「県政オンブズマン静岡(静岡県庁の光と闇)~よりよき未来のために~」管理人のブログ

注)teacupブログから移転の2022年5月以前の投稿には、文字コードの違いから多くの文字化けがあります。

JALだけ保証、役所による不公正な競争への関与は許されるのか

2009-02-13 22:13:08 | 静岡空港
県はJALの福岡便のみ搭乗率保証の対象にするとしたことは既報のとおりだが、これに対してANAが反発している。
ANAは福岡便を予定していないのになぜか?

問題は70%という高率の保証と15,800円という金額にある。
県はJALとは収支均衡の覚書を交わしており、JALにとっては静岡&汢ェの単独路線でも黒字になる計算であることは間違いない。
これは、ANAと競合する静岡$V千歳便についてはANAよりも優位に立つということである。なぜならば、地上スタッフは福岡便専属ということはなく、新千歳便にも従事することから、この分がコストとしてANAに勝るからだ。
つまり、羽田というドル箱路線の黒字で赤字地方路線を維持する構造が航空事業にはかつてあったが、今回の搭乗率保証も、一方のJALだけが福岡というドル箱路線で新千歳のANAとの価格競争に楽勝できるという構図だ。
そもそも一企業に地方自治体が肩入れしてよいのか。
地方自治法第232条の2では「普通地方公共団体は、その公益上必要がある場合においては、寄附又は補助をすることができる。」こととされている。
県は損失保証の理由として「JALの静岡&汢ェ便だけが1日3便あり、東海道・山陽新幹線と競合することなどから、JAL側のリスクを軽減する必要がある」(2009.2.11読売新聞)としているが、一営利企業がやはり営利企業であるJRとの競合を踏まえて参入した営業活動のリスクを、後になってから一方だけを行政が助けましょうというのは明らかに公平とはいえないだろう。不公正な競争そのものだ。
まして同業者のANAから見れば、今話題の簡保の宿売却で最初の条件から次々と条件を変えて最後の入札者を1社だけにした出来レースと変わらない不当な手順・手続きというべきものだ。それだったら最初からそういう条件(=赤字にしない)だといえば、ANAどころかほかの航空会社だって参入したはずだ。条件も70%15,800円よりも低い条件で競争させることも出来たのは明白だ。
癒着もここまで堂々とやられるとかえってあっけにとられごまかされる。
競合の代替手段がなく公益性が主張できる能登空港の損失補償とは根本的に異なる違法性が高いものであることを認識すべきである。

また、もう一つの疑問もある。
これは「法人に対する政府の財政援助の制限に関する法律」第3条「政府又は地方公共団体は、会社その他の法人の債務については、保証契約をすることができない。ただし、財務大臣(地方公共団体のする保証契約にあつては、総務大臣の指定する会社その他の法人の債務については、この限りでない。」規定の問題だ。
元々はこの法律の目的は「政府又は地方公共団体の不確定な債務がむやみに増加することを防止し、もって財政の健全化を図ることを一つの重要な目的としていたものと認めるのが相当である」(H18.11.15横浜地裁)
しかし、総務大臣の指定という煩雑を逃れるため旧自治省が昭和29年に自治省行政課長による見解、いわゆる行政実例という形で「損失補償については制限法3条の寄生するところではない」と逃げ道を作ってしまった。
まるで、公務員の渡り禁止の法律を政令でひっくり返したのとそっくりだ。

結局債務保証ではなく損失補償と名を変えれば合法とばかりにはびこってしまったのだが、平成18年11月15日の横浜地裁で実質は損失補償も債務保証と変わらないから違法と、ひっくり返った。
まだ判例が少なく事例も第三セクターであったり金融債務であったりと限局したものばかりだが、法の趣獅ゥらすれば、能登空港のような「2億円まで損失を補填する」というような保証上限が示されていない以上、何億になるか不確定極まりない債務を負う恐れがあり違法の可能性が高いというべきだろう。
参考
http://www.ombudsman.jp/3rd-sector/

いずれにしても、前提として、今回の70%という高率の保証と15,800円という金額の積算根拠だけは県民に対してしっかりと説明責任を果たしておいてもらいたいものだ。

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