「県政オンブズマン静岡(静岡県庁の光と闇)~よりよき未来のために~」管理人のブログ

注)teacupブログから移転の2022年5月以前の投稿には、文字コードの違いから多くの文字化けがあります。

ANAと県、物別れ

2009-02-17 21:01:36 | 日記
予告どおり、今日午前、県庁内でANAの執行役員らと副知事の花森君ら県職員との非公開の会談が行われた。
当然のことながら、一企業に肩入れした(全国唯一の上限金額のない)搭乗率保証にANAが納得できるわけがなく、具体的進展もないまま終わったようだ。
面会後、ANAは報道陣に対し「特定企業の特定路線だけを優遇するのはバランスを欠いて不公平」「信頼関係が損なわれる」と指摘しつつも、後は県が判断することと切り捨てた。
一方の県は、指摘は受け止めるとしながらも新たな搭乗率保証はしない意向で、修学旅行の補助を持ち出しながらいろいろなインセンティブがあるなど、と別の形での便宜供与を臭わすなど困惑気味。
結局、拙速な手順と稚拙な内容で、静岡県の危機管理のなさというよりも、(公平公正な)行政能力の欠如を全国に露呈した格好となった。
まさにこれが、私が虚構を指摘し続けてきた静岡県流「新公共経営」の実態である。
また、今日は世界中に失態をさらした中川財務大臣が辞職を決断したが、静岡県では考えられないこと。
静岡県では責任とは出来るだけ金で済ますものと知事が範を示したのだから。

明日からはANAよりも覚えめでたきJALにあやかりたい県会議員の隷属ぶりが見られるだろう。
明るいニュースもない中、怒らずに笑っちゃうくらいあきれながら観戦しようではないか。

「他空港利用より高ければ差額補助」これが行政?

2009-02-16 22:50:54 | 静岡空港
「他店より高ければ値引きします」という量販店があるがこれはあくまで市場の自由競争。
一方の静岡県では来年度、修学旅行向けに「学校から空港までの移動費用と航空運賃の合計が、他空港を利用するよりも高くなった場合、差額の全額を補助する」(2009.2.16読売新聞)ということだ。
もちろん税金で。
特に補助してもらわないと実施できないということでないことは「差額」ということから理解できるだろう。
職を失い、家を失い、医療を受けたくても受けられず、これら真に救いを求めるものには手が差し伸べられずに「静岡空港の利用客を増やす」という役所の目的・メンツのために税金が優先的に投じられる構造がはっきり示されたものといってよいだろう。
しかも、ターゲットは競合空港だけではない。
航空機以外、すなわち新幹線で移動していた学校が計画変更し静岡空港を使った場合も補助金が出るそうだ。

原則である受益者負担の考えhttp://navy.ap.teacup.com/hikaritoyami/329.htmlどころかそのかけらすらここにはない。真逆だ。
もちろん生徒の中には現下の経済状況で援助を必要とする家庭の事情もあるだろうが、むしろそういう生徒のためにその差額補助分の税金を使った方がまだ血の通った行政というものだ。

社保庁が保険料の納付率向上という組織の目的のために道義を捨て手段を選ばなかったように、県行政もまた利用者数増という「(知事から)与えられた組織目的」のためになりふり構わずということだが、ここまで開き直られるとも、小泉元総理じゃないが、「怒るというより、笑っちゃうくらい、ただただあきれる」ばかりだ。

注目の2月後半

2009-02-15 00:13:01 | 日記
JALのみ優遇の搭乗率保証についてANAが17日に県に説明を求めるとのこと。
県にしてみれば専門性の高い経営上の数字に弱い県議会を丸め込むのは容易だろうが、現に航空事業を行っているANAに対して説得力のある説明が出来るのか、注目だ。
もしANAがJALより有利な条件で、例えば65%15,000円で出来ますよと明言したらどうするのだろう。
やること前提で県民の利益を考えるならより有利な条件の方を選ぶべきが筋だろう。
公正な競争を回避し裏でJALと結託したやり方は糾弾されてしかるべきだ。
また、今週・来週と県議会の代表等質問がある。
石川君の当初のシナリオどおりなら与党から五選について質問してもらってそれに答える形で出馬表明のはず。そのためのいち早い30%3か月減給で責任終わり宣言だったからだ。

しかし五選出馬はすなわち、暫定開港という状態が民事訴訟が結審するまで、特に今回の事例は土地収用法を回避した民事請求で実質土地収用が可能かという最高裁レベルの論点で3年くらい先まで、継続することを意味する。
一方で、知事の決断しだいで地権者は県から一銭ももらうことなく自費で除去と言っているのである。

もともとあれほどの隠蔽や判断の遅れといった失態をして実損害を与えていれば民間なら当然に辞職している話だ。
さて、石川君がどちらをとるのか。空港を取るのか保身に執着するのか、これからが見所である。

JALだけ保証、役所による不公正な競争への関与は許されるのか

2009-02-13 22:13:08 | 静岡空港
県はJALの福岡便のみ搭乗率保証の対象にするとしたことは既報のとおりだが、これに対してANAが反発している。
ANAは福岡便を予定していないのになぜか?

問題は70%という高率の保証と15,800円という金額にある。
県はJALとは収支均衡の覚書を交わしており、JALにとっては静岡&汢ェの単独路線でも黒字になる計算であることは間違いない。
これは、ANAと競合する静岡$V千歳便についてはANAよりも優位に立つということである。なぜならば、地上スタッフは福岡便専属ということはなく、新千歳便にも従事することから、この分がコストとしてANAに勝るからだ。
つまり、羽田というドル箱路線の黒字で赤字地方路線を維持する構造が航空事業にはかつてあったが、今回の搭乗率保証も、一方のJALだけが福岡というドル箱路線で新千歳のANAとの価格競争に楽勝できるという構図だ。
そもそも一企業に地方自治体が肩入れしてよいのか。
地方自治法第232条の2では「普通地方公共団体は、その公益上必要がある場合においては、寄附又は補助をすることができる。」こととされている。
県は損失保証の理由として「JALの静岡&汢ェ便だけが1日3便あり、東海道・山陽新幹線と競合することなどから、JAL側のリスクを軽減する必要がある」(2009.2.11読売新聞)としているが、一営利企業がやはり営利企業であるJRとの競合を踏まえて参入した営業活動のリスクを、後になってから一方だけを行政が助けましょうというのは明らかに公平とはいえないだろう。不公正な競争そのものだ。
まして同業者のANAから見れば、今話題の簡保の宿売却で最初の条件から次々と条件を変えて最後の入札者を1社だけにした出来レースと変わらない不当な手順・手続きというべきものだ。それだったら最初からそういう条件(=赤字にしない)だといえば、ANAどころかほかの航空会社だって参入したはずだ。条件も70%15,800円よりも低い条件で競争させることも出来たのは明白だ。
癒着もここまで堂々とやられるとかえってあっけにとられごまかされる。
競合の代替手段がなく公益性が主張できる能登空港の損失補償とは根本的に異なる違法性が高いものであることを認識すべきである。

また、もう一つの疑問もある。
これは「法人に対する政府の財政援助の制限に関する法律」第3条「政府又は地方公共団体は、会社その他の法人の債務については、保証契約をすることができない。ただし、財務大臣(地方公共団体のする保証契約にあつては、総務大臣の指定する会社その他の法人の債務については、この限りでない。」規定の問題だ。
元々はこの法律の目的は「政府又は地方公共団体の不確定な債務がむやみに増加することを防止し、もって財政の健全化を図ることを一つの重要な目的としていたものと認めるのが相当である」(H18.11.15横浜地裁)
しかし、総務大臣の指定という煩雑を逃れるため旧自治省が昭和29年に自治省行政課長による見解、いわゆる行政実例という形で「損失補償については制限法3条の寄生するところではない」と逃げ道を作ってしまった。
まるで、公務員の渡り禁止の法律を政令でひっくり返したのとそっくりだ。

結局債務保証ではなく損失補償と名を変えれば合法とばかりにはびこってしまったのだが、平成18年11月15日の横浜地裁で実質は損失補償も債務保証と変わらないから違法と、ひっくり返った。
まだ判例が少なく事例も第三セクターであったり金融債務であったりと限局したものばかりだが、法の趣獅ゥらすれば、能登空港のような「2億円まで損失を補填する」というような保証上限が示されていない以上、何億になるか不確定極まりない債務を負う恐れがあり違法の可能性が高いというべきだろう。
参考
http://www.ombudsman.jp/3rd-sector/

いずれにしても、前提として、今回の70%という高率の保証と15,800円という金額の積算根拠だけは県民に対してしっかりと説明責任を果たしておいてもらいたいものだ。

(これ以上処分の必要がないのは)「当然」とのたまう石川君の浅ましさ

2009-02-12 23:33:46 | 日記
年末のボーナスカットと3か月30%給与カットで既に責任は取ったという知事。
これに対し、記者が「これ以上、自ら処分を課す必要がないということか」と問うたのに対し、何と石川君は「当然です」と答えたそうだ。(毎日新聞朝刊)

判断の遅れから1億1千万円もの県民負担を強いながら、自身は(自ら決めた)総額450万円程度の減額ですまそうという浅ましさ。
財政が厳しい折、何の失態もないのに給与を自主減額する知事がいることは先日紹介(http://navy.ap.teacup.com/hikaritoyami/330.html)したところだが、給与どころか退職金も辞退する知事もいる(http://www.kyudan.com/data/chiji_kyuyo.htm)というのに。
これも、かつて逮捕者を続出させた裏金事件でさえ金で済ませた経験から、「どんな失態も金で片がつくんだ」と学習してしまったからだろう。
県のトップがこの認識では、その取り巻きはもちろん、教育者であっても責任感とかモラルを説くことはできないだろう。説得力がない。
これは県民にとってというより国家にとって金銭の損失以上に不幸なことだ。

信頼関係どころか金のつながりも薄い麻生はついに見限られた。
一方、石川君は・・・
背に腹はかえられないご時勢だけにしがみつく御仁も多いようだ。