ニュートウキョーのハンバーグランチ赤門祭* 僕の恋人東京へ行っちち いま最果て 続いていくまた反転す瀕死の我 ヨーヨーのピタっと止まり秋暮るる* 火のようなもの食べて訣れのことば吐く 二十世紀の誰も知らなない秋日記* ツベルクリン反応が陽性に秋の蝶* 鏡月に張り付く秋蝶の遥かな死 二百三高地の高倉健は凍死せず スサノヲの世紀の恋に宙(そら)揺らぐ
あしたのジョーと力石徹酉の市 ペーパームーンのいろはにほへと酉の市 三の酉ことしは無きや夢また夢 吉原を抜けて幽けき酉の市 おかめ撫で母さんと呼ぶ酉の市
芭蕉忌の千住曙町出火 時雨忌や田母神俊雄は小さき人 パチンコの「奥の細道」驟雨来る 矢立初めの顔抜き看板芭蕉の忌 時雨忌や北斗の剣に続編あり
紅蓮の空生き通すべし秋燕 柿たわわ人生は一度きりなのか 天岩戸開きか紅葉の発火せり 仏典に未完の章あり秋黴雨 神の留守母の不在は二日のみ 沖遠く泳ぐ少年不死を得る(藤田湘子『愛されずして沖遠く泳ぐなり』) 蒲池法子の「よか夢を見せてもろた」は至言なり(松田聖子の本名) 十一月の黒海艦隊無灯なり イスラム国にあらず十一月の特攻服 柿落下クトゥルー神話の空近し
ボサノバがこの世に溢れ秋終る* ナベサダの新宿ピットイン月朧 秋刀魚まだ喰ってをらぬを恥とせり* 里芋の煮っ転がし猛犬に注意せよ* 里芋をタロいもと呼び根絶す 雁行や日本海溝のまさらなる* コクーンタワー人類滅亡寂しけれ(東京モード学園) 芋煮会の母は在日朝鮮人(舛添東京都知事) 大根炊く空一枚の遠ざかる* なでおかめ十一月十日もひとりなり(浅草鷲神社一の酉)