年移る私の影を消してゆく 年の瀬の身は繕はず抗はず 年送る餅は餅屋にゆだねられ カウントダウンツリーもタワーも揺れ続く 年越蕎麦越せぬ月日の茫とあり 物言わぬ鳥完璧に年越せり 小晦日猫たるものの飢ゑはじむ 数え日や人類滅亡教いまも 年詰まる超常現象頻発す 煤払い尽し誰もが黙しけり
クリスマスパイプ一本転がれり 二〇世紀少年全十三巻クリスマス アルミホイールにくるまれてゐるクリスマス 紀元後のバブルの続くクリスマス 青春の過剰といふことクリスマス わが町の富士見通りの冬霞 走り出て醤油臭きや寒夕焼 屋上より身を投じたる冬の虹 山眠るグラウンド一周また一周 枯野道ホースで水をぶち撒ける ズームレンズ絞りに絞る大枯野 涸れ滝をカラス無心でよぎりけり 涸川に杭を何本打つのやら