枯蘆原わたしは誰か知らないか マツコ・デラックス蓮の枯るるは無駄なこと 逡巡をおそれず平成枯れ芒 師といえど宙に及ばず竜の玉 瓢々と去りゆく背中手毬唄 雑煮餅自分で搗いた記憶あり 猫までの一歩が遠し初日影 葉牡丹の路上にありて路上に死す 着ぶくれて宇宙にあれば帰らざる 子の視線絶えて真冬の造り滝
青い地球といふ句誌ありぬ久女の忌 青臭き師の人生や冬鴎 革命はなかったことに浮寝鳥 寒禽といふまい人類は滅びたり 海鼠の涯地上にありや砂うごく 地上に降りた天使と言われ酢牡蠣食ぶ 最上階にあるは佳きこと寒椿 何か終り何か始まる冬桜 山茶花の白さを讃え師を讃ふ 蓮の骨換骨奪胎といふことば
成人式どこかでやっているのだらう 成人の日のエスカレータは下りのみ 御下りやオノコロ島の揺れ続く 御下りや宇宙の欠片パラパラと 東京の山削られて淑気満つ 譲られて護るものなし初景色 矢立初めの地に川流れ淑気満つ 初霞引き込み線の行き止まり 初凪ぎや江ノ島電鉄極楽寺 初晴れや遊行の寺に人の列