竹皮脱ぐ人間はやめてをけ 特攻兵冷酒の冷え極まりぬ ラムネ飲む縄文ビーナスかくあらん 冷房の途切れ火宅の人と遭ふ 籐椅子に巨人の足音にじり寄る ソドムより逃れし記憶キャンプの灯 父死後の母饒舌に髪洗ふ 夏落葉地べたに我が名を刻むとき 新緑のここから先は虚ろなる 空見上げまたも胡瓜の弾けをり 若葉寒かなはぬことの二つ三つ 青葉冷わたしはモラトリウム症候群 農すでに滅びて久し田植唄 空缶にくじらの匂ひ西日差し グアム・サイパン・テニアン無数の木下闇 失速のサイレン遥かソーダ水 浅草の何処も昏し花氷 究極の孤独厭はず柿若葉 岩清水岩を離れて過疎の町 白シャツの一群念仏行者めき ジオラマの空中庭園熱中症 都知事選これで三度目七月尽(7月31日)